東洋史学専攻

清華大学歴史学系教授 Hou Xudong(侯旭東)氏 の研究報告会が行われました

2017年09月05日

 以下の通り、日本学術振興会外国人招へい研究者による研究報告を実施いたしました。

 

<研究者氏名>

清華大学歴史学系教授 Hou Xudong(侯旭東)氏
(受け入れ担当教員:阿部 幸信)

 

<テーマ>

中国古代の王権をめぐる諸問題


<実施日>

2017年8月23日(水)


<概要>

 これまでの皇帝制度に関する研究は、皇帝という存在を抽象化・記号化しており、個人としての皇帝を度外視する傾向にあった。そこに(皇帝の)日常生活の実態という視点を導入したり、具体的な政治過程の中で皇帝が果たした役割を仔細に分析することなどをとおして、制度としてではない皇帝の生の姿を描き出すことによって、従来の皇帝制度研究を全面的に見直すことこそがいまもっとも必要であるというのが、侯氏の主張である。報告の中では、その実例として、氏が近年試みつつある皇帝制度の多角的な「観察」の成果――皇帝の命令の限界、皇帝の「被支配者」としての側面、儒学者によって「手なずけられ」士人化する皇帝の姿、など――が紹介され、さらにそうした新しい皇帝像をとおして、王朝交替とか研究者が想定する「変革」とかいうものが歴史上どの程度の意味をもったのか、そもそも「中国」の王権・支配の本質とは何か、といったところにまで言及がなされた。