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感情の波が不安定で周りとトラブルを起こしている学生がいたら・・・

感情の波が極めて不安定で、ちょっとしたことで、周りとトラブルになっている学生がいます。口癖が「自分が付き合ってやってるだけありがたく思え」「ほんと使えない奴だ」などで、自分は注目されたいが人には攻撃的です。ゼミの雰囲気も良くないので、どのように対応したらいいでしょうか?

背景に発達障害の存在を思わせるケースです。第三者の立場にある先生が介入するには、慎重を期さなければなりません。ポイントは「本人の困り感をいかに引き出すか」でしょう。避けなければならないのは、短絡的に「君がゼミの雰囲気を壊してしまっているようだ」と指摘してしまうことです。彼らは「木を見て森を見ず」なところがあります。トラブルの原因が周囲にあると考えている以上、ゼミの雰囲気が良くないことには気付いても、その発端が自分であるとは考えていないことが多いと思います。そのような状況で、このように声をかければ、学生は先生を敵視するようになるでしょう。
まず、「最近ゼミの雰囲気が悪いようだけど、どうしてなんだろう?君はどうしてだと思う?何か困っていることはある?」などと声をかけてみてはどうでしょうか。おそらく能力は高いものの空気が読めない彼/彼女は、「頼られているのかも」「わかってもらえそうだ」などと感じ、周囲への不満を吐露しはじめるはずです。同意できるような内容でなくても、最初は否定せず共感を示してあげましょう。また、同意できる点があれば一緒に解決策を話し合うなどしても良いかもしれません。
「話がわかる先生」と感じたら、「気づき」のある学生は「私もこういうところはよくないんですが」などと「困り感」を口にし始めるはずです。そうなれば「一度、学生相談室に行って相談してみたら?」などと声をかけ、支援者を増やしてください。他方、「気づき」のない学生から「困り感」は出てきませんので、十分に時間をかけ関係ができたら、その学生の問題点を具体的に指摘してみましょう。発達障害者には曖昧な表現の解釈が苦手な人たちが多いので「君のこういう物言いは不愉快に感じる人が多いと思う」などと明確に伝えることが重要です。「自分は少し人と違うのかもしれない」というような「困り感」を口にしたら、他の支援者に繋いでください。弱みを見せず他者を攻撃してきた人たちは、共感を得られず孤立する経験を繰り返してきているため、頑なになっているケースが多いように思います。労を惜しまず、時間をかけて関係を作ることが最も重要です。