国際連携・留学
国際センター主催 アントレプレナーシップ入門「想像を超えるミライへの挑戦術」を開催しました
2026年04月21日
2026年4月17日(金)、中央大学のアントレプレナーシップ教育推進の一環として、アントレプレナーシップ入門「想像を超えるミライへの挑戦術」を多摩キャンパス グローバル館7階ホールにて開催しました。本イベントでは、文部科学省アントレプレナーシップ推進大使・フリー株式会社 編集長の磯貝美紀氏を講師としてお迎えしました。アントレの定義や考え方、身近な行動とのつながり、そして学生だからこそ広がる可能性まで、これから挑戦したい学生にとっての“最初の一歩”となる講義でした。
登壇者のご紹介
講師:磯貝 美紀 氏(Miki ISOGAI)
NTT東日本、ベネッセコーポレーションにて、マーケティングや商品開発に従事。2022年よりフリー株式会社にて、起業応援メディア『起業時代』のブランド立ち上げを担当。編集長として100名超のスモールビジネス起業家に取材した知見を生かし、セミナーにも数多く登壇。高校・短大での起業プログラムの設計・授業実施や、大学のアントレプレナーシップ講座での登壇も多数。
国家資格キャリアコンサルタント。文部科学省アントレプレナーシップ推進大使。武蔵野大学アントレプレナーシップ研究所研究員。
イベント内容のダイジェスト
初めて訪れる場所に向かうとき、多くの人が、スマホの地図アプリが示す最短ルートを何も疑うことなく歩いています。でも、皆さんの中には、歩きながら周囲をよく観察して、「この細い道を抜けた方が早く着けるのでは?」「この坂道を通った方がきれいな景色が広がっているのでは?」そんなふうに考え、自ら選択して新しい道に一歩を踏み出してみた経験もあるのではないでしょうか。
講師の磯貝氏は、こうした一歩こそが「アントレプレナーシップ」だと語り、「自分の問いを見つけ、自分の答えをつくり、自分の道を歩んでほしい」そして「自分の花を咲かせてください」と学生にエールを送りました。
アントレプレナーシップとは
磯貝氏の講義を通じ、アントレプレナーシップはまるで “種を見つけ、育てていく” プロセスのようです。
🌱 種を見つける — 身近な“困った”に気づくこと
アントレプレナーシップの出発点は、特別な発想ではなく「身近な困りごとに気づくこと」だと強調します。日常の違和感や不便さこそが、未来の可能性を秘めた“種”になるのです。
💧 🌞光と水を与える — 解決方法を自ら考えること
見つけた種は、考え、試し、また考えるというプロセスを通して育っていきます。失敗しても、思うようにいかない時も、挑戦を止めずに進んでいく。磯貝氏は「何が正解かわからない。あらゆる方法を洗い出し、試してみることが大切」と学生に語りかけました。
🌿 仲間と一緒に育てる — 志を共にする人を集めること
ひとりで抱え込まず、仲間と繋がり、協力することで、アイデアはより強く、豊かに育ちます。
磯貝氏は「一人ではできないから、周りに頼っていこう」と話します。
🌸花を咲かせる — 困りごとを解決し、感謝が循環すること
誰かの“困った”を解決すると、そこには「ありがとう」という形の報酬が生まれます。
講義では、フリー株式会社の創業者でCEOの佐々木大輔氏の起業に至ったきっかけも紹介されました。
当時、佐々木氏はGoogleでアジア太平洋地域のマーケティングを担当していました。国内企業の99.7%を占める中小企業(スモールビジネス)が、大企業と比べて労働生産性が大きく下回り、テクノロジー導入も進んでいないという構造的な課題に着目し、その解決方法を探っていました。そんな時、下町で美容院を営むご両親が、夜遅くまで帳簿をつけていた姿を目にします。
「煩雑な経理業務を自動化し効率化できれば、日本の中小企業の現場を支える力になるのではないか」と考えた佐々木氏は、創業当初わずか3名のメンバーとともにクラウド会計アプリの開発に取り組んだといいます。今や2,000人近い従業員を抱え、クラウド会計ソフト市場でトップシェアを誇るフリー株式会社も、はじまりは佐々木氏の関心と気づき、身近な困りごとへの「ナントカシタイ」という思いだったのです。
起業の本質とは
起業の本質は、顧客側の見えている課題(顕在ニーズ)だけではなく、見えていない課題(潜在ニーズ)に気づくこと。そこに対して、「ナントカシタイ」の思いを「サービス」として提供し、顧客に価値を提供する。このサービスの提供の仕方(解決の仕方)が新しい場合に起業が成り立つのです。また、この価値に対して報酬が生まれ、このいただいた報酬が、また誰かを支えるフェーズに繋がり、循環させることでビジネスが成立します。
学生のうちにやっておくべき10のコト
磯貝氏からは、参加者に「学生のうちにやっておくべき10のコト」が紹介されました。その中から、3つをご紹介しましょう。
自分のコトだけではなく、世の中に、周囲に興味を持とう。
日々の生活の中で感じたちょっとした違和感や「気になること」を、すぐに携帯にメモする習慣をつけてみましょう。意識的に記録することで、身の回りの出来事や社会への関心が高まり、自然と外に向けたアンテナが広がっていきます。
見つけた時に、すぐにそこに行きつかずとも、今できることを見つけよう。
少しでも興味を持ったことがあれば、まずは小さな行動を起こしてみましょう。
「どうせ無理」「意味がないかもしれない」と感じる気持ちは一度手放し、結果にかかわらず、すべてが自分の経験値になると前向きに捉えてみましょう。その積み重ねが、将来的にできることの幅を大きく広げてくれます。
人資源を増やそう。
大学生という今の立場だからこそ、積極的に外へ出かけ、大学の枠を超えて多様な人と出会いましょう。さまざまな価値観や考え方に触れることで、新たな学びやつながりが生まれ、その経験があなたの挑戦を後押ししてくれます。
磯貝氏から学生の皆さんへのメッセージ
アントレプレナーシップ(起業家精神)は「自分の花を見つけて咲かせる力」 です。
挑戦すると、「どうせ、無理」という人が現れたり、自分でもそう思ってしまったりすることがあるかもしれません。でも、あなたの挑戦を止める人ではなく「難しいかもね、だったら、こうしたら?」という人と行動してください。失敗はしてもいいのです。それを経験値として、踏み台にして、進んでいく。それがアントレプレナーシップに繋がります。
アントレプレナーシップは、困りごとをよくしていくスタートです。身近にできることから進め、粘り強く動いてみましょう。そして、一人ではできないから、どんどん周りを頼っていきましょう。そうすれば、アントレプレナーシップが駆動します。
アントレプレナーシップは未来を創造する力であり、自分らしく生きることに繋がります。
「自分」という核を持った「世界に一つだけの花」を、限られた人生の中で咲かせてください。
参加者の声
・大学生の時期が挑戦するにはとても良い機会であること、また、挑戦に向けて具体的にどのようなことをすれば良いか教えていただきとても感謝しています。
・起業について漠然としたイメージから具体的なイメージに変わりました。
・とりあえず「挑むこと」の大切さを再認識しました。
・起業は自分にはハードルが高いと感じていましたが、話を聞く中で、起業家精神には参考にしたい考え方が多いと感じました。私は失敗を恐れて行動できないことがよくあるので、起業家の例にあったように「とりあえずやる!」「失敗もプラスにとらえること」を意識するようにして今後の大学生活で、たくさんの経験をしていきたい。
・問いを立て、動き続ける大切さを学びました。
・「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」についての説明が特に印象に残りました。
・起業家は利益を求めず自分の好きなことをするというイメージがありましたが、報酬も大事であるという現実的な話があってとてもためになりました。
・自分の好きな領域でビジネスをしたいと考えていますが、その領域での需要を知らないので、自分からいろんな場所に行っていろんな人に話を聞くことが大事だと思いました。行動力を大切にします。
まとめ
磯貝氏は、アントレプレナー(起業家)とは、人や社会への思いを持ち、大胆に、愚直に挑戦することをためらわず、出会いと経験を糧に「その人ならではの価値を生み出す人」と語ります。
アントレプレナーシップは、特別な才能を持った人だけのものではありません。ふとした瞬間の「これ、なんとかならないかな」という気づきから、誰でも始められるものです。日常の中にある小さな“種”を見つけ、「ナントカシタイ」という思いでアイデアという“水”と“光”を注ぎ、仲間と一緒に動き出す力に育てていくこと。これこそがアントレプレナーシップの第一歩です。
大学生の今だからこそ、あなたも一歩を踏み出してみませんか。
現代に求められるアントレプレナーシップ教育と本学の取り組み
近年、AIやデジタル技術の進展により、社会の変化のスピードがかつてないほど速くなっています。こうした環境の中で求められるのは、既存の枠を超えて自ら考え、行動し、新たな価値を生み出す力です。
文部科学省も、アントレプレナーシップ教育を「すべての学生に必要な基盤的能力」と位置づけ、全国的な普及を進めています(文部科学省「アントレプレナーシップ教育の現状について」2021)。
一方で、文部科学省が引用する国際比較データ(GEM/GEI)では、日本の起業への意識や態度、活動は主要国と比べて依然として低い水準にあります。こうした状況を踏まえ、国内ではアントレプレナーシップ教育の必要性が高まり、大学での取り組みが急速に広がっています。
本学においても、アントレプレナーシップ教育を「不確実な状況で新しい価値に挑戦する精神を育てるための基礎教育」として、起業という限定的な活動に留めず、世界に通じるエコシステムのなかで力を発揮できるグローバルなマインドを持つ人材の養成を目指し、行政・企業と連携しながら推進を行っています。こうした背景のもと、本講義「アントレプレナーシップ入門」は、学生が自ら課題を見つけ、価値を創造する力を育むことを目的として実施されました。
