2026年6月20日(土)、駿河台キャンパス18階会議室において、モンゴルにゆかりのある本学関係者約30名が集まり、「モンゴルと中央大学をつなぐ交流の集い」を開催しました。
冒頭、本企画の主催者である国際センター所長の国松麻季(副学長・国際経営学部教授)より開会の挨拶があり、本学のモンゴルに関係する方々のご貢献に対する謝意が述べられ、和やかな雰囲気の中で始まりました。
続いて、長年にわたり日本とモンゴル両国の関係強化に貢献されてきた清水武則氏(元駐モンゴル日本国大使・元中央大学商学部特任教授)が登壇し、ご自身のモンゴルとの関わりを振り返りながら、両国の交流の重要性および、モンゴル人留学生への継続的な支援の必要性についてお話しいただきました。
その後、本学に在籍するモンゴル人留学生デンベレル・ツェルメグさん(国際経営学部2年)とガントムル・アルタンザヤさん(文学部2年)から、日本との出会いとこれまでの歩み、そしてこれからの「夢」について発表がありました。(発表の詳細は本ページ下部をご覧ください)
発表後には、商学部の高岡正人特任教授(元駐モンゴル日本国大使)より講評があり、二人の発表に対する深い感銘と高い評価とともに、今後への期待が述べられました。
集いの最後には、参加者全員が自己紹介を行い、それぞれのモンゴルとのつながりや現在の活動などが共有されました。その後の懇親会では、懐かしい仲間との再会と新たな出会いが生まれ、所属や世代を超えた交流が広がりました。
本学では、モンゴルにゆかりのある卒業生および本学関係者からのご寄附による「モンゴル人留学生支援奨学金」を創設し、2022年度以降、延べ4名のモンゴル人留学生に対する支援を行ってきました。今回の集いは、これまでモンゴル人留学生に対する支援や、モンゴルとの関係構築に寄与されてきた方々の長年のご貢献を振り返るとともに、モンゴルに関わる本学関係者がつながる貴重な機会となりました。
中央大学は、母国と日本の架け橋となることを目指す留学生が安心して学べる環境の充実に向け、今後も努めてまいります。

国際センター所長 国松麻季(副学長・国際経営学部教授)による開会の挨拶

清水武則氏(元駐モンゴル日本国大使・元中央大学商学部特任教授)による挨拶

中央大学 商学部 高岡正人特任教授(元駐モンゴル日本国大使)による講評
モンゴル留学生の発表|デンベレル・ツェルメグさん(国際経営学部2年)

英語と日本語を自在に使い分けながら発表するツェルメグさん

清水先生からの質問に答える
日本での学びを社会に還元し、次世代に貢献できる自分へ
ツェルメグさんは、「中央大学の一員として」「日本社会の一員として」「モンゴル人として」の3つの立場それぞれを大切にしながら、日本での生活を送っています。
中央大学の一員としては、国際色豊かな国際経営学部で日々学びに励んでいます。
また、日本社会の一員としては、これまで多くの人に支えられてきた経験から、「恩返しをしたい」という思いを抱くようになりました。その思いを形にするため、現在は英会話スクールや塾で幅広い年代の子どもたちに英語を教えています。指導する中で、英検の合格報告に訪れた小学生たちが「先生、ありがとうございます」と自分の言葉で感謝を伝えてくれた経験は、特に印象に残っています。この出来事を通して、単に英語を教えるだけでなく、子どもたちの自信を育てることにもつながっていると実感しています。その自信は、将来の可能性を広げ、日本社会にも役立つものになると信じています。
さらに、モンゴル人としては、次世代のために貢献できる存在になることを目標に掲げています。幼い頃は医師を志していましたが、社会にはさまざまな形で人々の生活や命を支える方法があると気づき、社会課題の解決やリーダーシップに関心を持つようになりました。将来は、倫理観と責任感を持ったリーダーとして、人々がより健康で幸せに暮らせる社会づくりに貢献したいと考えています。
また、中央大学で出会ったダニエル・ヘラー特任教授(国際経営学部)との対話を通じて、教師が学生に与える影響の大きさを実感しました。将来的には自身も経験を積んだ後、モンゴルの大学で教鞭をとり、次世代を担う学生の成長を支える存在になりたいと考えています。
最後に、ツェルメグさんは次のように力強く語り、発表を締めくくりました。
「教育は、自分のためだけのものではなく、次の世代のために自分自身を準備するものだと考えています。そして将来どのような立場にあっても、日本で学んだことを社会のために生かしていきたいです。今後は大学院進学に向けて努力し、これまでお話しした責任を果たせるよう励んでいきます。」
モンゴル留学生の発表|ガントムル・アルタンザヤさん(文学部2年)

流ちょうな日本語で発表するアルタンザヤさん

モンゴル出身のノミンさん(法学研究科修了)からの質問
誰かの「知りたい」に応えたい
モンゴルの首都ウランバートル出身のアルタンザヤさん。流ちょうな日本語での発表に、会場には驚きが広がりました。10歳のころに家族と1年間日本で過ごした経験を持ち、次のように語ります。
「この1年で日本語そのものを身につけたというより、日本語ができるという自信を得たのだと思います。その後も母国で日本語に積極的に触れ続け、独学で学んだ10年の積み重ねが今につながっています。」
帰国後も日本語の学習を続け、日本語教師や通訳としての経験を積んできました。そうした中で、「自分は本当に何に取り組みたいのか」と自問するようになりました。本を読んだり、文章を書いたり、身体を動かしたりとさまざまなことに取り組む中で、何百年も前の文学に強く心を動かされました
モンゴルでは、日本に関する情報を自国語で十分に得ることが難しく、英語など別の言語を使って調べる必要があります。こうした経験から、「自分にできることで、誰かの『知りたい』に応えたい」と強く思うようになりました。さらに、中央大学のホームページで目にした「文学には、人間の表現の歴史と精神の歴史が詰まっています。まじめに生きようとする人には、転ばぬ先の杖になってくれるでしょう」という言葉に心を動かされ、日本留学を決意しました。
来日後はホームシックに加え、「日本語が堪能なモンゴル人」という立場で、「自分は何をもってモンゴル人といえるのか」とアイデンティティに悩む時期もありました。しかし、母国で日本人の観光客に同行し、現地の暮らしを伝える経験を通して、「誰かの知りたい」に応えることの喜びを実感し、新たな気づきと楽しみも見出しています。
現在は、中央大学の学生として今だからこそできることをしようと、日本史や日本文学を積極的に学んでいます。また、コミュニケーション力を高めるため、スーツの販売店で接客の仕事にも取り組み、さまざまな経験を重ねています。学業とアルバイトを両立させる中で、時間管理能力も磨いています。
将来は、自分の語学力やこれまでの経験を活かし、モンゴル人と日本人が気軽にお互いの文化に触れられる「プラットフォーム」をつくりたいと考えています。その実現に向けて、今後はプログラミングや英語の学習にもさらに力を入れていきます。