広報・広聴活動

青と緑を区別する赤ちゃん
ー言語以前の脳内メカニズムを探るー

2016年02月09日

報道関係者各位

プレス発表会ご案内

青と緑を区別する赤ちゃん

ー言語以前の脳内メカニズムを探るー

中央大学・日本女子大学・東北大学

 

・中央大学・日本女子大学・東北大学の共同研究「乳児のカテゴリカル色知覚の脳内処理」に関する研究成果の発表

・“Cortical response to categorical color perception in infants investigated by near-infrared spectroscopy” Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌に掲載予定(online版ではアメリカ東部時間2月8日15時に掲載)の研究成果に関する、本年2月5日(金)中央大学後楽園キャンパス2号館2743号室で行われるプレス発表会について、ご案内をさせていただきます。

 

○日時: 2016年2月5日(金) 10時00分~11時00分

○場所: 中央大学後楽園キャンパス 2号館7階2743号室

○担当者: 楊 嘉楽 中央大学人文科学研究所 客員研究員

金沢 創 日本女子大学人間社会学部 教授

山口真美 中央大学文学部 教授

栗木一郎 東北大学電気通信研究所 准教授

 

○概 要:

知覚や思考が言葉の影響を受けるというサピア=ウォーフ仮説は、心理学や言語学、文化人類学などの多分野で古くから浸透しています。色知覚も言葉が決定すると提唱するサピア=ウォーフ仮説に対し、私たちの研究は、世界で初めて、言葉が分からない乳児における色カテゴリの存在を証明しました。すなわち、乳児期もカテゴリカル色知覚※1に対応した脳活動が存在し、その神経基盤が後側頭領域にあると明らかにしました。これは、サピア=ウォーフ仮説を覆す驚くべき成果です。

実験では、言語獲得以前の乳児を対象に近赤外分光法(NIRS)※2を使用して、カテゴリカル色知覚に関連した脳内処理の有無を調べました。具体的には、乳児が同じ緑カテゴリの2色変化と、青と緑の異なるカテゴリの2色変化を観察したときの後側頭領域の脳血流反応をNIRSによって計測しました(図1、図2)。その結果、カテゴリ内の色変化と比べ、カテゴリ間の色変化を観察する際により強い脳活動が確認されました(図3)。また、言葉を獲得した成人においても類似した脳血流反応が存在することも確認され(図4)、言語獲得の有無にかかわらず、カテゴリカル色知覚に関わる脳内処理は存在し、言語システムとは独立であることを証明しました。