大学紹介

新年のご挨拶 -学長 河合 久-

2026年01月01日

学長 河合 久

 皆様におかれましては、お健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。2026年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。

 本年は、10年後の本学のあるべき姿を目指して、その羅針盤ともいえる中長期事業計画「Chuo Vision 2035」の出発点となる年です。昨年までに着手した継続事業の完了を図るとともに、新規事業については効果的な体制を整えて計画を実施に移すという、本学にとって極めて重要な一年になります。創立150周年に当たる2035年に向けた更なる発展を期して、教職員一丸となって大きく踏み出して参ります。

 早速、本年4月1日に、現在の理工学部を再編成して「基幹理工学部」、「社会理工学部」、「先進理工学部」の3学部を後楽園キャンパスに新設します。また多摩キャンパスにおいては、2027年度以降に「スポーツ情報学部(仮称)」と「情報農学部(仮称)」の2学部新設を構想し、そして、経済学部の現行4学科から「経済学科(仮称)」と「社会経済学科(仮称)」の2学科への改組を構想しており、本年はそれらを更に具体化するための検討を加速します。このような本学の教育組織の改編構想は、本学の学びの場を理工農系分野へと拡充すると共に、各分野の特徴をいっそう明確にして、世界の様々な舞台での活躍を望む向学心溢れる若者の希望に応えていくことを企図しています。

 また、社会からの要請に応えていくために、本年特に注力したい取組みを高等教育機関の基本機能である教育・研究・社会貢献の観点から3点挙げておきます。まず教育面については、近年急速な進歩と普及が見られる人工知能(AI)の有効活用を目指し、本学における生成系AIの教育への活用基盤を全学的に整備します。次に研究面では、本学の研究成果を社会実装やイノベーション創出に繋げるために、研究の卓越性と多様性を更に進めて学際的・分野融合的研究をいっそう推進する取組みに着手します。そして、社会貢献に関しては、正課教育と正課外教育の両面において本学が推進してきた諸活動を更に高度化することに加え、地域とりわけ地方都市を拠点とする大学や行政機関との連携を進めて、地域在住者に対し高等教育へのアクセス機会を提供するためのプラットフォームの構築に着手します。

 さて、当職の姿勢を改めて申し述べるとすれば、「未来に向けた本学のチャレンジは、伝統と実績に裏付けられた質の高い教育を展開している各学部・大学院各研究科および各研究所の弛まぬ変革を基本としつつ、それぞれの力を結集して、全ての教育研究機関の努力を全学的な教育力、研究力、社会貢献力のいっそうの向上に結びつけ、『更に開かれた中央大学』を目指す」ということです。

 開かれた大学というと、大学と外界との関係性に注目が集まりますが、上に掲げた取組みはどれも、学内の個別組織の枠を超えて、各組織の機能を覆うように、あるいはシナジーをもたらすようにデザインされなければなりません。言い換えれば、学内の教育研究組織間の内なるオープン化を進めていくことが重要となります。内なるオープン化による相乗効果を外界に開放することができる中央大学、これこそが「更に開かれた中央大学」の意味するところであり、社会情勢に適応する柔軟な学びと研究の場を形成し、学生に閉塞感を与えることのない就学環境の構築に通じると考えています。

 次期中長期事業計画「Chuo Vision 2035」の初年度に当たり、中央大学の輝かしい未来を創造し、学生が充実した大学生活を送れるように、これまで以上に教職協働による創発力を発揮することが肝要かと考えております。皆様におかれましては、本学のこうした不断の前進についてご理解賜り、あるいは共に歩んでいただきながら、本年が素晴らしい一年となりますことを心からお祈り申し上げます。

2026年1月1日     

 中央大学学長 河合 久