「究める」では、大学院に携わる人々や行事についてご紹介します。今回は「在学生の声」として文学研究科の宇田川 恵さんへのインタビューをお届けします。大学院でのご自身の研究をはじめ、進学した理由や大学院での研究活動・課外活動など、大学院の様子が伝わる様々なエピソードが載っています。
宇田川 恵(うたがわ めぐみ)さん
研究科:文学研究科
専 攻:独文学専攻
課 程:博士前期課程1年
大学院でのご自身の研究について教えてください
19世紀ドイツ語圏を対象に、音楽と医学・生理学の関係に視点を据え、歴史学的視点から研究を行っています。
19世紀は、ドイツ語圏における医学・生理学が発展した時期であり、音楽文化の点でも一つの盛りを迎えていました。それぞれの分野が独自の発展を遂げる中で、音楽の医療への利用はどのような状況にあったかという点から研究に取り組んでいます。方法としては文献研究で、19世紀当時の史料を用います。最終的に見えてきた実態から、19世紀ならではの社会的要因と結びつけて論じることを目指しています。
大学院へ進学した理由と、中央大学大学院を進学先に選んだ理由を教えてください
進学を決めた当初は、ドイツ語圏の近代史を更に学びたいと考えたのは勿論ですが、自身の持つ根源的な問いや考え(自分が本当に取り組みたいことは何か?など)をより深めたいと感じていたのだと思います。中央大学大学院では、ドイツ語圏に対する多角的な視点を養うことができると共に、迷いの多い自分が受け入れられ、向き合う環境があると感じたため、進学しました。
実際に入学してみて、大学院はいかがでしたか
実際、自身と向き合うことが求められました。また、それぞれの分野で扱われる研究手法・視点により意識的になると共に、分野間での繋がりを見つけ、相乗効果的な学びを体験しています。学部3,4年の時にゼミで分野と視点を絞りましたが、再び様々な分野・視点に晒され、自己を深める機会を得られていると思います。
大学院の授業はどのように行われていますか。学部との違いや特徴を教えてください
資料を読む/見るという点では学部時代と変わりないかもしれません。しかしより意識的に読むこと(あるいは見ること)が求められます。また、学部時代よりも人数が断然少ない点も特徴です。よって授業は対話型となり、ゆえに資料に対する理解や気づきがより必要となってくる点が一番の違いだと思います。
実際に履修した授業について、印象に残っていることを教えてください
学部にはなかった授業として、2週ごとに異なる分野の授業がリレー形式で行われる科目があります。この形式の授業は、一層分野間での手法の違いが明らかになる点が特徴的です。例えば、全14回の授業のうち2回を使って詩の分析に取り組みました。自身の研究とは全く分野が異なり、予備知識がほとんどないため、自由な考察が可能となりました。このように普段とは全く異なるアプローチを行うことは、自分の研究にも刺激となると感じています。
中央大学大学院に進学してよかったことについて

ドイツ エアフルトにて
研究会や他専攻の報告会への参加など、新たに踏み出す選択肢に恵まれていることです。夏には専攻の先生の紹介で、ドイツに短期留学をする機会を頂くことが出来ました。大学院に進学し、新たな問いや悩みに直面した時点で、初心に帰って研究対象であるドイツを実際に目で確かめることが出来たのは、今後更に研究を進めていくうえで貴重な体験でした。
授業以外の時間はどのように過ごしていますか
博士前期課程1年生で授業数が比較的多いので、授業準備・振り返りやアルバイトの時間を縫って研究を進めるという形です。ですが、それ以外の時間もかなり重視しています。友人に会うことや趣味の時間を含め、全てが自分及び研究への刺激になると思っています。研究とは関係のない展覧会を訪れても、意外な繋がりを発見したりする点が面白いです。
大学院進学を目指すみなさんへ
大学院での時間は、非常に密度の高い、自分と向き合う時間になると思います。それと同時に外からの刺激も一層感じると思います。大学院でしか味わえないものがあるので、進学を目指すことはとても素敵なことだと思います。進学前にも大学院を覗く色々な機会があると思うので、覗いてみることをお勧めします。