スポーツ振興

五輪3大会連続出場の飯塚翔太選手が母校で語る「心身の整え方」 ~学生相談室主催講演会~

開催の挨拶を行う鳥居 伸好副学長・学生相談室長(左)と飯塚選手(右)

6月21日、リオデジャネイロオリンピック銀メダリストで本学卒業生の飯塚翔太選手(2014年法学部卒業、現所属:ミズノ)が、「心身の整え方」をテーマに多摩キャンパスで講演会を行いました。

 

本講演会は、学生相談室と文学部開講科目「運動と心理」(法学部 村井剛准教授)とのコラボ企画として開催されました。会場にはFLP(学部横断型の学修プログラム)の履修学生やスポーツに興味のある学生、学生アスリートなど、学部を問わず300名を超える学生・本学関係者が集まり、オリンピックメダリストが実践してきた心身の整え方に熱心に耳を傾けました。

 

講演会を主催した学生相談室の豊田課長は、飯塚選手が在学時代から陸上コーチを務め、ロンドン・リオ・東京五輪にも帯同。近年、悩みを抱える学生が増加していることを受け、心の整え方について飯塚選手に尋ねたところ、「後輩の力になれるなら」と今回の講演会が実現しました。

 

講演会冒頭では、銀メダルを獲得したリオ五輪の4×100mリレー映像を飯塚選手の解説付きで上映

「心身を整えることは、心を味方につけること」

 

講演会開始直後は、オリンピックメダリストで日本陸上界のレジェンドである飯塚選手を目の前に、少し緊張した面持ちで参加していた学生たちでしたが、飯塚選手の自己紹介が始まると会場の空気は一変。笑顔でフレンドリーに語りかける飯塚選手の幼少時代のエピソードや、こだわりの空気椅子写真に学生たちも笑顔を見せ、講演会は和やかな空気でスタートしました。

 

続いて飯塚選手は「本題に入る前に心と体は一心同体で繋がっているということを、皆さんに感じてもらってから話に入ろうと思います」と声を掛け、実際に競技前に行っているストレッチを来場者全員で挑戦。成功イメージや楽しいイメージを思い描く前後で、身体の動きが変わることを体験した学生たちは、「心身を整えることは、心を味方につけること。心が味方になると困難にも前向きに乗り越えるきっかけを掴める」と語る飯塚選手の話に引き込まれていきました。

 

その後、心身を整える5つのポイントについて飯塚選手が長年実践してきた習慣など紹介されました。

 

会場全員でストレッチに挑戦。心を整える前と後での結果の違いに会場からはどよめきの声が上がる

「今日からできる心を味方につける習慣作り」

 

今日からできる心を味方につける習慣作りのテーマでは、飯塚選手が高校時代から実践している発想法を紹介。ささいなことでも『〇〇だけど、良かった』と物事をプラスに変換する力が大切と説きました。さらに、もう一つの習慣として、『今日の満点を狙う』心の在り方を紹介。「満点というのはperfectじゃなくてgoodで良い」と言葉を続け、「背伸びをしてよく見せようとしない。今のベスト(good)を尽くし、何があっても『・・・だけど、良かった。』と考えることができれば楽になる」と、心を味方にする習慣について力説しました。

 

中大のユニバーシティ・メッセージ「行動する知性」を体現する飯塚選手

「2流と開き直り」

 

「2流と開き直り」の話題では、2流について「いわゆる一流二流のことではなく、今この瞬間が全てではないという考えを前提に、次へ行こうと「流す」ことと「流動的に行動する」こと」と飯塚選手オリジナルの造語であると解説。「例えば、誰かと意見がかみ合わない時、そういう考えもあるという前提で『流す』。相手を肯定すると相手も自分を肯定してくれるので、そうして人間関係をうまく築き、自分がやりやすい環境を作っていくように『流動的に行動する』ことが大切。」と自身の経験を踏まえて説明しました。また、開き直りについては、「開き直ることは受け入れること。どんな自分も開き直って客観視すると楽になる。」と続け、開き直ったり、流す強さを持って流動的に行動するということが大事になると後輩へ説きました。

 

「最終的には『無敵になる』ことを目指して欲しい」と、後輩たちに向けて熱く語る飯塚選手

「無敵になる」

 

「無敵になる」では、心を味方につけて最終的に目標とする姿だと話し、「無敵になることは、自分が強くて敵がいないという状態ではない。自分に対して敵対する人がいないことが一番の無敵」と説明。ゲームソフトのマリオカートを例に挙げ、自分が強くなって敵がいない状態をマリオカートのスター状態(全身が星のように光り輝き、敵をはじいて寄せ付けない)に例えた飯塚選手は、「マリオカートでのスター状態はほんの7秒程度。敵対する人がいればスター状態が切れたところで一斉に攻撃を受けることになる。攻撃を受けない人になることが重要」と学生に分かりやすく語りました。

 

※マリオカート:スーパーマリオシリーズに登場するキャラクターたちがカートに乗り、レースやバトルを行う任天堂(株)のゲームソフト。

文学部授業「運動と心理」を担当する村井准教授と対談

続けて飯塚選手は「自分が頑張れる、前向きにいられる環境は自分で作っていかないといけない。環境は色々あるが、一番大きいのは人の環境と心の環境だと思う。環境がいい状態だと無敵になれる。いい状態とは相手を肯定したり、前向きに生きることで横のつながりを持った状態。自分が長く陸上競技を続けられたのも、このような生き方をしてきたから。」と締めくくりました。

怪我で悩む選手をサポートする上で心掛けることはあるかと質問するマネージャー学生

<講演後半には質疑応答が行われました>

Q.目標を設定しても、うまくいかないとメンタルが落ち込む。ハングリーでいつづけるためには?

A.チャレンジの結果は成功か学びしかない。うまくいかなかったと終わるのではなく、それを自分の中で学びに変える。学びを得た時点でそれは失敗ではなくなる。

 

Q.自信はどのように高めるのか?

A.小さな成功体験をつくる。「明日8時に起きる」といったような小さなチャレンジで良いので目標を達成した体験をつみかさねていくと、達成できたという自信が少しずつ出てくる。その過程で、目標をステップアップしていく。小さなその日の満点を設定して、達成して、自分の中で評価していって、どうすれば自分が燃えてくるのかを考える。面白くやらないと続かない。

講演会最後に会場全員で記念撮影。左手に花束、右でCマークの飯塚選手。チュー王子も両手を広げてCマーク

Q.学生時代から今も現役で活躍している秘訣について。意識して取り組んでいることはあるか?

A.内面的なことで言えば、いい意味で楽観的に、一喜一憂しすぎない。気持ちをフラットに保つことを意識している。悪い日は悪い日と割り切って切り替え、良い時もそれが全てではないと割り切って過ごす。

 

講演会の最後は、中大応援マスコットのチュー王子から花束が贈呈され、講演会参加者と記念撮影をして和やかに講演会は終了しました。

学長との懇談後に記念撮影。左から学生相談室の豊田課長、飯塚選手、河合学長、村井准教授

<河合 久学長との懇談>

 

盛大な拍手が鳴りやまない中、講演会場を後にした飯塚選手。講演会後は河合 久学長を訪問し、パリ五輪への展望等について懇談が行われました。

河合学長からは、中央大学のシンボルアスリートになって欲しいという激励とともに、「日々真剣に打ち込むアスリートは悩みが多く、心身ともにバランスを崩しやすい。今日の講演は学生アスリートのみならず悩みを持つ学生達にとって具体的なアドバイスになったと思います。心から感謝します」と、謝辞が送られました。

<飯塚翔太選手から全国の学生アスリートの皆さんへ応援メッセージ(動画)をいただきました>

世界に挑戦を続ける飯塚選手の活躍にご注目ください

 

One Chuo

想いは、ひとつ。