大学紹介

新年のご挨拶 -学長 河合 久-

2024年01月01日

学長 河合 久

 皆様におかれましては、お健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。2024年の年頭にあたり、学長より謹んでご挨拶を申し上げます。

 昨年は、茗荷谷キャンパス及び駿河台キャンパスの開設という、まさに本学の歴史に残る一大事業を成し遂げた年でございます。
「Chuo Vision 2025」で構想した二大キャンパス体制が実現し、本学の新たな時代が始まりました。最も重要なことは「都心キャンパスと多摩キャンパスという新たな体制のもとで、本学が使命を果たしていくために何を実行していくか」であると認識しております。したがって今後10年、20年と、まさにこれからが勝負であるといっても過言ではありません。

 多摩キャンパスについては、法学部の都心移転によって生じるリソースの有効活用にあたり、教育研究組織および教育研究環境のあり方について中長期的視点での検討を行いました。この検討の結果は、「多摩キャンパス将来構想検討委員会答申」としてまとめられ、「Chuo Vision 2025」を補完するものとして位置づけられています。本答申では、人文科学系・社会科学系を擁する多摩キャンパスに、学問領域の拡大と文理融合・横断型の新たな学びを展開するため、新学部の創設を行うことや、「シナジー効果を発揮する広く開かれたキャンパス」として、多様な経歴や背景を持つ学生や教職員が交流することを通じて、学際的な新たな価値を生み出し、その成果を産業界や地域社会へ発信するキャンパスを目指して環境整備にあたることが示されています。
2024年は、これらの答申に示された方向性に沿ってさらなる検討を進め、実現に移す段階に入ります。このうち、次の四点を成長戦略と位置づけ取り組んでまいります。

 まず一点目は、DXの推進です。多摩と都心の二大キャンパス体制が確立し、本学が複数キャンパスとなった強みを発揮するためには、キャンパス間・キャンパス内において、組織の壁を越えた相互連携を一層強化し、キャンパス立地にかかわらず、教育研究活動にかかわる支援を学生・教職員が享受できる体制を構築する必要があります。これらの実現には、教育・研究DXと事務DXの推進を基盤として、教育研究支援機能のワンストップサービス化や共用施設の管理運営機能の構築等、事務機能の見直しと業務全体の最適化が求められます。

 二点目は、文理横断教育のいっそうの推進です。法学部移転後の多摩キャンパスにおいて、リソースの有効活用と多摩地域に立脚したキャンパスの特性を活かし、地域連携のニーズに応える学部を新たに創設する方向で検討が進められています。
既に「令和5年度 大学・高専機能強化支援事業」(学部再編等による特定成長分野への転換等に係る支援)に本学が選定されたことを踏まえて、人文科学系・社会科学系を擁する多摩キャンパスに、健康スポーツ科学部(仮称)及び農業情報学部(仮称)を新設し、デジタル・グリーン等の成長分野におけるデータサイエンス人材の養成を行い、本学における文理融合・横断型の学びを推進しながら社会的要請に貢献してまいります。

 三点目は、グローバル化のいっそうの推進です。グローバル戦略として、学生の海外派遣や留学生の受入れを通じて、教育研究の国際化を図り、外部資金(補助金等)獲得を視野に入れた学部横断型グローバル人材育成プログラム(ダイバーシティ教育およびグローバル・アントレプレナーシップ教育)の実施をしてまいります。
また、国際化の将来構想に向けた検討や推進を通じて、総合学園としての国際ブランディングを図ってまいります。

 四点目は、地域連携・地域貢献のいっそうの推進です。「中央大学の社会連携と社会貢献に関する理念」に基づく本学の社会貢献活動を推進し、周辺地域や社会と連携して産学官共同研究やリカレント教育の推進を通じて、将来において存在感を増す教育研究基盤を形成してまいります。

 このように、引き続き本学の教育研究成果の向上につながるよう各計画に取り組み、私立学校法の改正や大学設置基準の改正等に対応するとともに、次期中長期事業計画の策定に向けた具体的検討を行う時期に差し掛かりました。中央大学の輝かしい未来を創造するためには、これまで以上に教職協働による創発力を発揮することが肝要かと考えております。皆様におかれましては、本学のこうした不断の前進についてご理解賜り、あるいは共に歩んでいただきながら、本年が素晴らしい一年となりますことを心からお祈り申し上げます。

2024年1月1日     

 中央大学学長 河合 久