7月16日(水)5限のゼミ(文学部、田口教員)において、「OB・OGトーク」を開催しました。
ゼミのOB・OGを講師としてご招待し、「仕事とは何か」「進路を考えるとはどういうことか」について、お話をいただくイベントです。
イベントでは、三者三様の就活体験の紹介、そして、ゼミ生たちとの質疑応答という方式を取りました。
多忙な仕事の合間を縫って来てくださったのは、高山瑠美さん(日本航空)、石田初夏さん(スカパーJSAT株式会社)、西村拓杜さん(イナバインターナショナル)です。

全体。最前列右から、石田さん、西村さん、高山さん

右から2番目が高山さん

一番右が石田さん

右から2番目が西村さん
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社会人として多くの経験値を積んでこられた講師の皆さんに対し、ゼミ生からは素朴な質問が多数寄せられました。
―進路との関連で、学生時代にやっておいてよかったと思うことは何ですか?
―就活支援のアプリが沢山ありすぎて、何にアクセスすればよいのか迷ってしまいます。どんなことに気をつけながら、選んでいけばよいのでしょうか?
―就活の過程で最も大変だったこと、しんどかったことは何ですか? また、そのしんどさをどのように乗り越えましたか?
―インターン経験について、どういう考えをお持ちですか? インターン先を選ぶときに、どういうことに注意するとよいのでしょうか?
―仕事と趣味のバランスについて、どのような考えをお持ちですか?
―実際に仕事経験を積んでみて、気づいたこと、苦労したこと、やりがいを感じたことなど、具体的に教えていただけませんか?
などなど・・・
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講師の皆さんからの回答もまた、さまざまな次元に及びました。すべてを網羅することは不可能なので、印象に残ったエピソードを箇条書きにしてみます。
★昔から、感性を使って、責任あるコミュニケーションに基づく仕事を果たしたい、と希望してきました。どれだけ多くのお金を稼げるかよりも、会社の理念(社会貢献や、働き手に対する考え方)はどうなのか、その理念が自分にとってしっくり来るのかを重視してきました。
★自分が働く現場のリアリティーを理解するために、ニュースはよく読んで、世界でどのような事件が起きているのか、それらが現場にどのような影響を及ぼしているのかを、勉強するように心がけてきました。また、就きたい仕事や、会社の歴史を具体的に学んだり、その歴史に関わる現場を訪れてみることも大切だ、と思っています。
★幼少期から演劇やミュージカルなどに関わってきたため、業界や職種をしぼるという方向ではなく、人を楽しませる仕事に就きたいと思うようになりました。いま仕事で取り組んでいる企画も、若者や子供にどう受け止めてもらえるかを、いつも念頭に置いています。また、きちんと仕事を続ける一方で、自分の好きなことを追求する姿
勢は、ずっと持ち続けたいとも思っています。
★学生時代の塾講師としての経験(=一人ひとりの理解度や困難を汲み取りながら、きめ細かに勉強を教えていくという経験)が、実際に就活を進めていく上でも、現在の仕事においても、自分の強みになっていると実感しています。お客さんが求めていることもケースごとにまったく異なるため、じっくりと一緒に考えることが大切だと
思っています。
★「志望していた会社に選んでもらえなかった」という辛い経験については、自分を知る上での貴重な勉強の機会をもらった、とポジティヴに受け止めるようにしてきました。そのように捉え直すことで、自分の進路をしぼっていくための材料にするように心がけました。
★第一志望の業界に進めなかったという挫折の経験を味わいました。しかし、そこで不貞腐れないように気持ちを切り替えました。前向きな気持ちへとリセットすることによって、結果的に、いま携わっている仕事からも沢山のことを学び、やりがいを感じています。
★業界や職種によって、面接等で質問されることは、びっくりするほど異なります。
付け焼刃のような解答を暗記したり、自分を飾り立てようとするよりも、自分の経験や失敗について、「どうしてだろう?」、「どうすればもっとうまく行っただろう?」と、納得の行くまで深堀りしたことを話すほうが、長い目で見てよいのではないか、と思います。
いわゆる「就活ノウハウ」を超えて、大学時代にどれだけ切実な問題意識をもって、自分の力でどのようなことをどこまで学ぼうとしたのかが、講師3名の皆さんの「今」に直結しているのだと、たいへんよく理解できました。
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今回のイベントで感銘を受けたのは、ひとりひとりの声を傾聴し、それぞれのケースにふさわしい方向性は何かということを、<ともに考えていこう>とする講師の皆さんの姿勢でした。
一教員として傍聴していて、<学生と向き合うことの初心>のようなもの(特に、<チャレンジしようとする若い人を励ます精神>)を思い出させていただきました。私自身にとっても貴重な振り返りの機会をくださった講師の皆さんに、心より感謝申し上げます。
トーク後の懇親会の様子や、前期ゼミの流れについては、以下をご覧ください。
https://chuo-bun-futsubun-gobun.blogspot.com/2025/07/ob.html
残念ながら今回は参加が叶わなかったものの、直前まで調整を試みてくれたOB・OGの皆さんも沢山いらっしゃいました。
2023年度卒4名の皆さん、2024年度卒2名の皆さんからは、自分の進んだ各業界(不動産、通信、IT、出版、事務職、金融など)について、この間勉強してきたこと、就活時に気をつけていたことなど、様々な観点から貴重なアドヴァイスを寄せていただきました。
後輩たちに対する思いやりに満ちたOB・OGのメッセージは、きっとゼミ生の心にも響いたことと思います。ありがとうございます。
なお、本イベントは、「特色ある学部教育補助予算」の支援をいただきました。
文責=田口卓臣