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ドイツ語文学文化専攻
授業探訪

ドイツ語

留学のドイツ語

ドイツ語文学文化専攻 Hans=Joachim Dethlefs 教授

Blicke auf Deutschland ―現代ドイツ探訪―

ドイツ語文学文化専攻

Hans=Joachim Dethlefs 教授

授業のテーマ

ドイツに関心がありますか? もしあれば、この「留学のドイツ語」ゼミで、興味深い情報をたくさん見つけることができます。ドイツの町や風景、ドイツの諸州、その他、1年間のドイツ留学、あるいは短期の語学研修参加を考えている人はもとより、我々の専攻で学ぶ学生としてぜひとも知っておきたいことを学びます。上に挙げたテーマの他、ドイツ現代史、環境問題、移民問題、学校や教育制度、ドイツの祭日・祝日、ドイツ人の日常生活、家庭像や結婚観の変化、ドイツの美術館等を扱います。

授業の進め方

各テーマについて、個人やグループで発表の準備をし、授業の中でディスカッションをします。ドイツと日本が抱える問題やメディアにおけるその報道について、比較して議論することもあります。自分が生きる時代や社会についていきいきした関心を持ち、考える学生が多く来てくれることを期待します。

受験生へのメッセージ

外国語を学ぶことは自分の世界を広げることです。異文化に接することによって物事を別の視点から見ることができるようになります。これは自分と異なる考えや生き方を受け入れられる寛容への道でもあります。

講義

ドイツ語学Ⅰ

ドイツ語文学文化専攻 林 明子 教授

ドイツ語発見、日本語再発見 ~ことばを通して見る社会と文化~

ドイツ語文学文化専攻

林 明子 教授

授業のテーマ

わたしたちのことばには、「知っているけどわからないこと」がたくさんあります。「君を愛す」は言えるのに、なぜ「君に愛す」はだめなのか。ドイツ語 "Ich liebe dich" も同様です。日本語の名詞がドイツ語になると性が決まります。Sushiは中性名詞、Tatamiは女性名詞です。Mangaは、男性か中性かまだ決まっていません。何気なく使っていることばの中に規則を見出し、背景にある社会や文化との関係についても考えます。

授業の進め方

身近な例を取り上げ、個々の言語事実に基づいて言語変種を客観的に記述・分析する方法を学びます。学生は、社会言語学や言語史などの専門用語や方法論を学んだ上で、必ず実際の資料を分析し、考察した結果を報告します。具体的には、言語行動の日独比較や言語政策などについて議論をしたり、修道院などに保存されている資料を元にドイツ語の変遷を辿ったりします。

受験生へのメッセージ

ことばには、ひとの心を動かし社会を変える力があります。積み重ねられてきた歴史や、ことばを使う人たちの文化も隠されています。異なる言語との比較を通して、身近ゆえに気づかないことばの魅力を探ってみませんか。

ドイツ文学史

ドイツ文学の森を歩く

ドイツ語文学文化専攻

羽根 礼華 准教授

授業のテーマ

中世から現代までのドイツ語圏の文学の歴史を学びます。文学作品のひとつひとつが木であるとすれば、文学史の授業は森を歩く時間です。ルターが活躍した頃、本はどのように作られていたのか。グリム兄弟が童話集を編纂した頃のドイツとフランスの関係は。デーブリーンが『ベルリン・アレクサンダー広場』を書いた頃、ベルリンはどのような都市だったのか。作品が成立した時代を知ることで、作品自体の理解も深まります。

授業の進め方

時代ごとに、まずは文学の土壌となった政治社会と文化の状況を概説します。その上で、代表的な作品を講読します。いわば、森の中で立ち止まって木を眺め、枝葉に触れる時間です。講読には日本語訳を用いますが、ドイツ語の原文を参照することもあります。シラーの戯曲に基づくオペラ「マリア・ストゥアルダ」、ハイネの詩にズィルヒャーが曲をつけた歌曲「ローレライ」、トーマス・マンの小説が原作の映画「ヴェニスに死す」など、講読作品に関連の深い芸術も鑑賞します。学生は興味を持った文学作品を取り上げ、レポートを執筆します。

受験生へのメッセージ

たくさんの本を読んで、心に響く作品、頭を揺さぶる作品に出会ってください。ドイツ文学史の授業も、そのような作品と出会い、付き合いを深める場となることを願います。

現代ドイツ事情

ドイツ語文学文化専攻 川喜田 敦子 教授

ドイツを深く、広く見つめる。過去から現代までを網羅

ドイツ語文学文化専攻

川喜田 敦子 教授

授業のテーマ

「現代ドイツ事情」は、今日のドイツについて基本的な知識を得るための授業です。例年、重点テーマをひとつ選び、そのテーマについて詳しく勉強します。昨年度はユダヤ系マイノリティやイスラーム系移民など、ドイツのマイノリティについて解説しました。重点テーマは毎年変わります。これまでに取り上げたテーマには、欧州統合とドイツ、統一ドイツ20年の歩み、ドイツの政治と選挙、ドイツの教育制度などがあります。

授業の進め方

現代ドイツを分析するうえで前提となる知識と語彙を共有するために現代ドイツの歴史、政治、法、社会等に関する基本的な事項の概説から入り、そこから重点テーマの解説へと重心を移していきます。また、ドイツ語圏の時事的な話題について歴史的な背景や変遷にも言及しながらそのつど紹介します。

受験生へのメッセージ

私たちは生まれ育つ過程で、自分たちの社会の価値観を当然のものとして身につけてきました。外国について知ることの面白さは、違う国の異なる考え方を知ることによって、自分の無意識の価値観、常識を問いなおす機会が得られることにあります。地域統合、環境意識、歴史の見つめ方、多文化社会…。今日のドイツが発信する様ざまな価値を知ることを通じて、自分の価値観を鍛え直し、日本を、世界を考えるための確実な基準と広い視野をもってみませんか。

ゼミ演習

縄田ゼミ(ドイツの文学・思想・文化)」

美術を通じてヨーロッパを学ぶ

ドイツ語文学文化専攻

縄田 雄二 教授

ゼミ生の声

文学部人文社会学科ドイツ語文学文化専攻には、ドイツの現代史、文学、演劇、言語学などをテーマとするゼミがあります。私たち縄田ゼミの今年度のテーマは美術です。毎年美術ゼミを担当するDethlefs先生が研究専念期間に当たるため、今年度は縄田先生が美術に関するゼミを開いてくださいました。私は入学当初から美術をテーマに卒論を執筆したいと考えていたので、迷わずこのゼミを選びました。

前期は、古代ギリシア・ローマ神話、旧約聖書や新約聖書、ダンテの『神曲』といった古典を中心に授業を行いました。これらの古典の知識は、ヨーロッパ美術を理解するために必要です。「西洋美術史のさまざまな時代区分」や「リルケのロダン論」など、ヨーロッパ美術に関する一連の発表題目から自分の関心の高いものを選んでゼミ論を執筆し、授業で口頭発表を行いました。私は「美術の題材としてのヘラクレス」をテーマに選びました。ヘラクレスはギリシア神話に登場する英雄であり、多くの彫刻や絵画の題材になっています。私は理想の男性像としてたくましく描かれることの多いヘラクレスが、女性らしく描かれている作品があることに興味を持ちました。調べてみると、ギリシア神話にヘラクレスがオンファレという女王に奴隷として売られる場面があり、ヘラクレスはオンファレとともに描かれる時に女性らしさが表れると分かりました。現代よりもさらに男性が優位であった社会が、男女の立場が逆転した構図を求めたのです。ある文化の彫刻や絵画を理解することは、その社会や時代背景を理解することと深く関係していると感じました。

前期の授業の成果の確認と後期の授業の準備を兼ねて、私たちは九月に上野の国立西洋美術館に行きました。美術館の前庭では、ロダンが彫ったアダムとエヴァの像や地獄の門の彫刻を鑑賞しました。ここでは授業で行ったルター訳の旧約聖書の読解と、ダンテの『神曲』についての議論が役に立ちました。館内には作品が描かれた時代順にたくさんの絵画が並んでいましたが、前期の授業のおかげでどの古典のどの場面を取り上げているのかが分かりました。私が発表した「ヘラクレスとオンファレ」の絵も飾られていたので、自分の論文の確認も込めて鑑賞しました。国立西洋美術館の常設展は中央大学の学生証があれば無料で観ることができるので、一度訪れることをおすすめします。

後期の授業では、印象派を中心とした絵画について詩人リルケの書いた文章をあつめた原書を精読しています(Rainer Maria Rilke, »Im ersten Augenblick«. Bildbetrachtungen, hg. von Rainer Stamm, Berlin: Insel 2015 (= Insel-Bücherei Nr. 1407))。取り上げられている絵画はゴッホやモネが描いた、誰もが一度は目にしたことのある有名なものばかりです。みんなで議論をするうちに、リルケが文章中で言及していない点に気が付いたり、違う解釈が生まれたりと、絵画鑑賞の楽しさを感じています。

このように、縄田ゼミではドイツ語圏だけでなくヨーロッパ全体の美術を学んでいます。私はこのゼミで、四年間の学生生活の集大成となるように、「ドイツ語圏画家の描く裸婦像」をテーマに卒論を執筆しています。前期にヘラクレスを題材とした美術作品について調べたことが、卒論の方向を明確に示してくれました。絵画について論じることは易しくはなく、頭で考えていることを的確に表す言葉が見つからずになかなか書き進められないこともありますが、授業での先生や友達の発言が執筆のヒントになることがあるので心強いです。

縄田ゼミに入り美術をテーマに議論を重ね、文献を調べて論文にまとめる中で、確かな知識を得たと感じる充実した一年間を送ることができました。ゼミ活動や卒論執筆は大学生活で大きく成長できるチャンスと思うので、これからゼミを選ぶ人たちは興味のある分野を早めに見つけて、しっかりとゼミ選びを行ってほしいと思います。

ドイツ語文学文化専攻4年 吉井汐希(2017)

指導教員からゼミ生へ

われわれの所属するドイツ語文学文化専攻は、人文科学・社会科学のなかの「地域研究(area studies)」という分野に位置する。狭く言えばドイツ語圏、広く言えばヨーロッパという地域を良く知る者として皆さんが卒業してくれることを私は願う。言葉(ドイツ語)を学ぶこと。ドイツ語圏・ヨーロッパの歴史、宗教、文化、社会を知ること。日本・東アジアと、ドイツ語圏・ヨーロッパとをさまざまに比較すること。両言語や両地域の差を越えてコミュニケーションした経験を重ねること。こうした訓練をしっかりと積んでほしい。われわれのゼミで、前期の授業における準備を経て、ともに上野公園に赴いたのも、国立西洋美術館という、日本のなかのヨーロッパに遊び、その宗教的背景も含めてヨーロッパを理解する訓練であった。

ドイツ語圏についての学びは他地域にも応用できる。例えば皆さんが、就職先からタイへの赴任を命ぜられたとしよう。すべきことは、大学でおこなったのと同じである。言葉を学び、歴史、宗教、文化、社会を知り、日本と比較し、差を乗り越えて意思疎通するための鍵を把握する――ドイツ語圏についておこなった作業を別の言葉、別の地域について繰り返せばよい。要領よくできるはずだ。国際的な状況で働き成果を挙げるための能力は、世間のひとびとに比べ、皆さんの方がはるかに高いはずである。皆さんが大学で身につけている能力は、社会に出てから幅広く生かせる普遍的なものだ。生かして、活躍してほしい。

皆さんが後期の授業で読んでいるのは、百年前の詩人が書いた、学習者にとり全く容赦の無いドイツ語である。この原書を、教師の助けこそ有れ、ドイツ語を学び始めて三、四年で読めているのは驚くべきことだ。この高みに立ったことを、卒業後も忘れないでほしい。皆さんは、外国語習得の成功者だ。言語学の授業も履修し、言語の習得・分析能力全般を高めたのだ。ドイツ語を磨く、英語の力を上げる、あらたな言語に挑む、なんでもいい。卒業後も言語の学習を続け、中央大学で高めた能力を生かしてほしい。

縄田雄二(2017)
『草のみどり』第300号より再録

川喜田ゼミ(現代ドイツの歴史・政治・社会)

現代ドイツの歴史と社会について学ぶ

ドイツ語文学文化専攻

川喜田 敦子 教授

ゼミ生の声

「独文専攻」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。ゲーテ、シラー、トーマス・マンにニーチェ、ベートーベン…。もちろん間違いではありません。ドイツ語文学文化専攻ではゼミ演習が三年次より必修に組まれ、これら名立たる文豪、哲学者、芸術家達の残した文学・文化に関心のある学生が集まるゼミ、そして言語学を学ぶゼミが開講されています。しかし今回紹介するのは「独文」の枠に収まりきらない歴史、社会問題を研究対象とする川喜田ゼミです。

このゼミでは日独両言語の研究文献・史資料の精読を行っています。それに加え、ゼミの柱となるのが個人研究です。卒業論文執筆に向けて三年次から準備を進め、年度末のゼミ論文を目指して個人研究の現状報告を行います。四年生になると卒論の中間報告です。各々の研究レベルは非常に高く、他の学生の研究から自分の研究に関する刺激を得ることもできます。時には九十分では終わらず時間が足りない時もありました。学生から出た疑問点への回答、報告に対するコメント等、ご指導くださる川喜田先生からの助言は毎回大きな刺激となっており、毎回のレジュメは報告のメモも含めいつも真っ黒になります。

個人研究のテーマは近代史からナチズム、東西ドイツまでと様々です。私自身は特に労働面から見た旧東ドイツの女性問題と統一後の変化を研究対象としています。元々ジェンダー問題への関心が強く、二年次の長期休暇中に講読した上野千鶴子ほか著『ドイツの見えない壁 女が問い直す統一』をきっかけにこの研究を志しました。研究を進めるにあたり、具体的な史資料が日本には乏しく、アレンスバッハ世調査研究所のようなドイツの研究機関から資料を取り寄せるなどしましたがやはり限界を感じたため、文学部学外活動応援奨学金を利用しドイツ渡航を決めました。八月にドイツ・ベルリンに渡り、ベルリン州立図書館、同市労働局、女性センター等の訪問を通して資料収集とインタビュー調査を実施する予定です。

膨大な数の資料から自分の求める情報を探し出し、どういった媒体で、どのような経路から入手し、得た情報をどう吟味し、理解し、使いこなすか。字面では簡単そうに見えるこの作業が実は非常に骨の折れる、しかし重要な作業です。史料に基づく実証的研究に重きを置くこのゼミではこの作業をこなす力が必然的に鍛えられ、それは就職という一つの通過点を超えて情報化社会を生きる上で大きな意義を持つものだと考えます。

実学重視傾向社会のなかで何故歴史・社会を学ぶのか。その意義を考えるとき、「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」という故ヴァイツゼッカー大統領の有名な演説があります。ナチズムの過去とドイツが向き合うことを促したこの演説は、ドイツの「過去の克服」のみならず全世界の人に言えることではないでしょうか。目を開き考え続けるべき「現在」とは自分の生ある限り常に付きまとうものです。私達ゼミ生は、ドイツ現代史の事例を通して「現在」を見つめるまなざしを日々磨き続けています。

ドイツ語文学文化専攻4年 澤田乃梨子(2017)
『草のみどり』第289号より再録