ドイツ語文学文化専攻

卒業論文

卒業論文・卒業研究の執筆にあたって

ドイツ語文学文化専攻では、専任教員の指導の下、4年次に卒業論文または卒業研究を執筆します。卒業論文・卒業研究は学生生活の集大成です。指導教員からゼミ、個別面談などの形で指導を受けながら執筆を進めます。毎年、個性と熱意に溢れた論文の数々が生まれることを、教員一同、心から楽しみにしています。

論文の執筆にあたり、本専攻では、3年次に「専門演習」、4年次に「専門演習」ならびに「卒業論文」または「卒業研究」を履修します。例年11月に開催されるガイダンスでの説明、専攻ホームページの教員紹介の情報等を参考にしながら所属するゼミを選択します。複数の方法論を勉強したいという意欲のある方のために、主たるゼミのほかに第二ゼミを履修することもできる制度になっています。卒業論文と卒業研究のどちらを選択するかについては指導教員とよく相談してください。

卒業論文・卒業研究のテーマ

卒業論文・卒業研究の執筆は、まずテーマを決めるところからはじまります。論文のテーマは、ドイツ語学、ドイツ文学、ドイツ思想、ドイツ芸術(美術、演劇、映画)、ドイツ現代史・現代社会、ドイツ語教授法、日独語の対照、日独文化比較、日本におけるドイツ文化の受容など、ドイツに関するもののなかから自分で選びます。これまでに各ゼミで執筆された論文のテーマには以下のようなものがあります。

林ゼミ(テクスト言語学、社会言語学、対照言語学)

  • グリム童話における文体の変遷 ―浮き彫り付与、時制、指示からみる―
  • 宮沢賢治作品におけるオノマトペの日独対照 ―語彙化レベル・統語・音韻的特徴に注目して―
  • Bernhard Schlink Der Vorleserにおける「語り手」の意図を探る ―werden受動文や呼び名に着目して―
  • 人称指示の照応連鎖 ―Franz Kafka Ein Hungerkünstlerを例に―
  • 古典文学作品とその教材化テクストにみるテクスト間相互関連性 -Friedlich Schiller Die Räuberを例に-
  • 会話分析からみる推理時の会話展開 ―映画 Detektiv Conan: Der Killer in ihren Augen. のコナンの推理シーンを分析対象として―
  • 映画Chihiros Reise ins Zauberlandにみる登場人物間のやりとりの様相 ―出会いのシーンと最後の接触シーンの比較から―
  • 映画„Heidi“の叱る発話、呼称から見る上下関係を基に現れるポライトネスの違い ―RottenmeierのHeidiとKlaraに対する発話比較を通して―
  • ドイツ語翻訳における役割語の表現について ―夏目漱石『坊っちゃん』/Der Tor aus Tokio : Romanを分析対象として―
  • マンガ翻訳におけるスコポス理論 ―漫画『この世界の片隅に』/In this corner of the worldの分析を例に-
  • 日本とドイツの言語行動対照研究 ―「詫び」を通して―
  • 手紙群(Briefe)からみる言語的なストラテジー ―旧東ドイツの日常テクストを分析対象としたテクスト言語学的分析―
  • „Fernsehansprache von Bundeskanzlerin Angela Merkel(新型コロナウイルス感染症対策に関するメルケル首相のテレビ演説)“(2020年3月18日)のテクスト分析 ―時制・テクスト機能・人称の観点から―
  • 雑誌広告における言語情報の表意成立にあたっての非言語情報の役割 ―DER SPIEGEL に掲載されたドイツ語雑誌広告を例に―

縄田ゼミ(ドイツ文学、ドイツ思想、比較文化)

  • 国立西洋美術館のキリスト教絵画 旧約聖書・新約聖書に基づく解釈
  • Mit SNS “Gaisha” verkaufen. Audis digitales Marketing
  • ドイツ語と日本語のアクセント構造の違い:歌曲《菩提樹》を例に
  • 日独の都市における町並み保存:川越市とノイルピーン市の比較
  • 博物館の財政運営の日独比較:両国の文化政策との関連において
  • ラグビーとサッカーがいかにヨーロッパと世界に広まったか
  • 自伝『詩と真実』から読むゲーテ『若きウェルテルの悩み』
  • ドーリス・デリエの作品における愛の諸相
  • ドイツのファッション業界の新動向:フランクフルト・ファッション週間とThe New European Bauhaus
  • ゴットフリート・フォン・シュトラースブルク「トリスタンとイゾルデ」に基づく視覚芸術 ~写本とオペラ~
  • フリードリヒ・シラーの詩「手袋」「女性の気高さ」にみる女性像 ―ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデのミンネザングとの比較において―
  • 現存する最古の地球儀製作者マルティーン・ベーハイム ―"Erdapfel"製作の経緯と後世のニュルンベルクにおける受容―
  • 20世紀初頭における天使と人間 ―リルケとベンヤミン―
  • 河合浩蔵の建築とドイツ建築
  • 絵本の表現 ―『Der Herr Augustin』を題材として―

磯部ゼミ(ドイツ近現代史、グローバルヒストリー、ドイツ現代社会論)

  • 職業教育史にみるドイツの伝統と変容 ~時代的要請に対する適応の歴史~
  • 第一次世界大戦下のドイツ人俘虜と地域住民との関わり
  • 「思い込み」に支えられたナチ体制 ―支配が可能になるまで―
  • 西ドイツの外国人労働者の経済的貢献、文化的貢献
  • 難民問題と社会的共存
  • 「森の幼稚園」から読み解くドイツ環境教育
  • 日本林業における人材育成の向上 ―ドイツ林業の人材育成を事例に―
  • ドイツで⾏われている移⺠への教育⽀援
  • 環境教育の役割と可能性 ―現代の日本とドイツにおける実態比較と今後の課題―
  • 戦間期チェコスロヴァキアにおいての民主主義 ―ジャーリスト カレル・チャペックの作品群の影響から―
  • 国民国家を超越した「中欧」連邦構想とは ―「小ドイツ主義」とも「大ドイツ主義」とも異なる「第三の選択肢」―
  • なぜ日本において「ナチ・コスプレ」は起こるのか? ―「カッコいい」と判官贔屓の視点から―

羽根ゼミ(近現代ドイツ文学、比較文学)

  • エルフリーデ・イェリネク『ピアニスト』における社会批判 ―父権制社会から多様性社会への転換に向けて―
  • W.G.ゼーバルト『アウステルリッツ』における語りの手法 ―過去への眼差しをめぐって―
  • 戦争裁判と『朗読者』が持つ啓蒙的側面について
  • ヘルタ・ミュラー『澱み』における自己と共同体の関係
  • 男性依存からの脱出に伴う破滅 ―インゲボルク・バッハマン「ゴモラへの一歩」のシャルロッテにおける自立の可能性と希望―
  • ケストナー作品における登場人物の家庭外での相互理解関係
  • 『車輪の下』と『トニオ・クレエゲル』における主人公の愛の対象 ―対極の存在への嫉妬と憧れ―
  • 「大理石像」における幻想文学への転換点
  • ノヴァーリス『青い花』におけるマティルデに見る女性像と「夢」の役割
  • ゲーテ『親和力』における自然と自由意思
  • 『ヘルマンとドロテーア』に見られるギリシア・ローマ文化の姿
  • レッシングの「ラオコーン」における詩画の支配領域と現代の「芸術」の模倣媒体