保健体育研究所

社会貢献活動

「社会貢献稼働(社会に向けた活動)」を本研究所の研究成果として社会に還元するために本ページで情報を公開します。

野外運動研究班

野外運動研究班主査・布目靖則の論文「スノースポーツ(スキー・スノーボード)の安全管理」が、『体育の科学vol72 №2』(杏林書院)に掲載されました。
野外運動研究班では、「スノースポーツ(スキー・スノーボード)の安全管理」に関する研究に取り組んでいます。これまでに、①スノースポーツ重大事故のデータベースを完成させ、②それをもとに事故の実態と傾向を分析し、さらに、➂事故防止に向けた安全管理および安全教育のあり方について種々の提言をしてきました。
この度、専門誌『体育の科学 2月号』(杏林書院)の特集「安心・安全のスポーツ科学」に、研究班主査・布目靖則(文学部スポーツ文化系教授)の論文「スノースポーツ(スキー・スノーボード)の安全管理」が掲載されています。安全で楽しいスノースポーツの実践に役立てていただければ幸いです。

《主な内容》
1スノースポーツ事故の概況
1-1傷害事故の分析
1-2死亡事故の分析
2スノースポーツの事故防止に向けて
2-1安全滑走の基本
2-2ルールの理解と遵守
2-3対物衝突
2-4自己転倒
2-5コース外転落
2-6深雪にはまる(窒息)
3その他の問題
3-1高齢者と子どもの事故
3-2バックカントリー事故と境界線

【著書情報】
《タイトル》「体育の科学 2月号」
《編集者》海老原 修
《発行所》株式会社 杏林書院
《ISSN》0039-8985

身体運動文化研究班

当研究所身体運動文化研究班に所属する、法学部助教 浦谷 郁子の記事が「草野みどり」(2021年7月号発行)”巻頭のことば”に掲載されました。
2021年08月24日

リモート観戦を楽しむ    法学部助教 浦谷 郁子

今、スポーツ観戦の方法は大きく変化しています。私が審判員として参加した2020年11月開催の全日本新体操選手権大会は、無観客試合でした。「選手が技を繰り広げる度に鼓舞する」「技が成功した時に歓喜する」「技を失敗しても激励を送る」といった新体操の声援は、選手や観客にとって欠かせないものです。しかし、2020年に入りその声援を耳にすることはなくなりました。無観客試合はこれまで以上に清らかさを演出する雰囲気となり、選手にとってはより緊張感を感じさせるものになったかもしれません。新体操は音楽を用いるスポーツ競技であるため、審判員としては音楽が聞こえやすいというメリットもあります。一方で、声援がない大会にはどこか寂しさを覚えますが、 2020年の状況を考えると、大会が開催されたことへの喜びを感じて演じる選手が多かったように思います。練習も不十分な中で大会に出場した選手が多いせいか演技の失敗も見られましたが、それでも笑顔で退場する選手の姿が良い意味で輝いて見えました。
国際大会の試合も、無観客などで運営されているようです。そんな中、面白い対策として、演技終了後に声援音源を流すという手法が見られました。それだけ、新体操にとって声援は欠かせないものと理解されているのでしょう。また、オンラインの活用により、国際大会の試合をリアルタイムで見られるようになったという側面もあります。これは良い影響であり、今後も続いてほしいです。
今はまだ過去が忘れられず、新型コロナウイルス感染拡大前の状況を取り戻したいと強く思うことがありますが、この状況だからこそ生まれた良い面は大事にしていきたいところです。そして、過去と現在の長所が共存する日がくることを願いたいです。その日まで、今はリモート観戦という新たな楽しみ方で、スポーツに親しんでいただければと思います。

スポーツ健康政策研究班

オリンピックのレガシーと幻夢

総合政策学部教授小林勉

小林勉

東京にとって五輪とはいかなる意味を持つのか。たとえば前回の1964年五輪を見てみると、「ゴミはゴミ箱に」「立小便禁止」を周知するチラシが都内各戸に配布され、「海外から人を迎える」という対外的な羞恥心をかき立てつつ近代都市の在り方が啓発された。また道路整備をはじめ鉄道各線の建設、上下水道の整備等の公共事業が行われ、同時にホテルオークラやホテルニューオータニといった施設の建設など民間による開発事業も行われた。当時の東京では交通渋滞や通勤ラッシュなどの問題が生じ、加速する人口集中に耐えられなくなった都市の問題を、五輪を契機に片付けようとしたのである。この文脈において1964年大会とは都政にとって目的ではなく、手段であったと指摘する研究者は少なくない。もちろんその根底には、五輪のようなメガイベントはいかなる理念を掲げているものであれ権力と癒着していて、権力側もそれを意識変容や都市開発等の事業として巧みに利用し、巨額のコストと不都合な真実(多くの人々と店舗が否応なく移転を迫られた)をしばしば隠伏させてきたとの批判的まなざしがある。ちなみに1964年五輪をきっかけに全国各地にスポーツ少年団が創設され、都道府県単位の競技大会も開始されたことで、勝利をめざす競技志向が若年層世代で台頭し、その余波を受ける形で指導員や部活顧問の負担は急増し、無償のボランティア指導員という、世界的にみても珍しいレガシーが構築された。

五輪実施に伴う持続的効果を期待するという文脈から、レガシーという言葉が使われ始めたのは2012年のロンドン五輪以降だが、東京2020大会はいかなるレガシーを遺すのか。 2016年の大会招致の際に掲げた「環境五輪」では支持が得られなかったため、「復興五輪」は東京2020大会の正当化の便法として用いられ、被災地での部分的開催が模索された時期もあった。ただ、その中に被災地の声は含まれることは少なく、あくまで都政側の大会運営コストの都合であった事態に、被災地側は東京2020大会の欺瞞に興醒めする。大学という研究機関が、理念と実態が乖離するこうした五輪の現実を見誤り、単に迎合するのは論外としても、しかし最終的には「東京2020大会と大学の連携」といった協定によってレガシーという語りの枠組みへと取り込まれていく。見落とされがちな五輪の隠された複層性やレガシーをめぐる問題をあらためて見定めること。研究機関としての意義が問われている。

野外運動研究班

スノースポーツ安全手帳

スキーヤーおよびスノーボーダーが、国内外を問わずどこのスキー場を滑る場合にも守らなければならない【10FISルール】について、ピクトグラムを用いてやさしく解説。また、用具や服装、標識やネット・ロープ等による表示、緊急時の対応など、安全滑走のためのヒントや豆知識が満載です。

スノースポーツ安全手帳

スキー場安全マニュアル

スキー場で遭遇しそうな『危険場面』をピクトグラムで再現。“気づいていそうで、気づいていない”危険について知り、“わかっていそうで、わかっていない”対処法について考えるための【安全教材】です。vol1~3、あわせて30の危険場面について解説している。

スキー場安全マニュアル