社会科学研究所所長挨拶

所長 鳴子 博子

 思いがけず昨年末の選挙で社会科学研究所長に選出され、2021年4月にその任に就かせていただいてから2ヵ月が過ぎようとしております。研究員・客員研究員・準研究員、そして研究活動を支える研究所合同事務室のスタッフの方たちと十分なコミュニケーションをとりつつ、社会科学研究所の円滑な研究活動の推進に微力ながら尽力させていただきます。

 新型コロナ感染症の収束はなお見通せませんが、今年度は昨年度1年分の経験があるため、コロナ禍でも可能なこと、前に進めることを見極め、それらを優先的に選択・実行 することが可能になってきております。2021年度は、2025年に創立140周年を迎える本学の中長期事業計画「Chuo Vision 2025」第2期の初年度にあたります。同Visionには「教育を支える力となる研究の基盤整備に努めるとともに、人類社会に貢献する研究の一層の高度化を促進する」ことが明記され、院生を含む若手研究者の育成を支え、学術研究における貢献や研究成果の社会実装、つまり技術革新、政策・社会システムへの反映、意識改革を推進してゆく必要が述べられています。以上を踏まえて、本研究所の取り組むべき課題のいくつかを挙げさせていただきます。

①学際的研究の発展、拡充
社会科学研究所は、名称が表しているように社会科学の個別科学の研究を行う場であるとともに、学際性の豊かな総合的な研究を行うにふさわしい場です。今後、さらに多様な学際的研究、融合的研究を推進できればと考えます。

②研究成果の発信力強化
中央大学は伝統ある私立大規模校としての責任を社会に対して負っています。学術研究を推し進め、研究成果が学内外の研究者、より広く社会に発信され、社会実装にも貢献するための新たな工夫、試みが必要になってきます。皆様と議論を進め、具体的な方策を編み出してゆきたいと思います。

③開かれた研究所運営
研究員に自由に意見を表明していただくため、風通しの良い研究員会、運営委員会等を心がけます。客員研究員、準研究員の意見、要望を聞く機会(アンケート等)も必要かもしれません。

④各世代への研究サポートの拡充
本研究所が各研究科と連携して院生(若手研究者)への研究のバックアップを行うことは必要不可欠であり、査読制度の導入、実施はすでに行われていますが、若手研究者へのサポートの充実はさらに進めてゆかなければなりません。それと同時に、若手研究者以外の各世代の研究者の研究が円滑に行われるよう配慮することも忘れてはならないことと考えます。

⑤ジェンダー研究や女性研究者へのエンカレッジ
先日オンライン開催された中規模の社会科学系学会で女性研究者限定の懇親会が開かれました。出席者はわずか9名という結果に、改めて日本の女性研究者の層の薄さを痛感させられました。縁あって所長の任に就かせていただいたのですから、女性研究者の研究促進やジェンダー研究推進の拠点としても本研究所を機能させていければと思います。

 以上の5点以外にも、海外の研究者との研究連携を推進するという重要課題があります。ビフォーコロナの時期、目まぐるしく走り回っていた私たちにコロナ禍が教えてくれたことは、いったん立ち止まってこれまでのこと、これからのことを考えよとのメッセージではないかと思います。皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2021年5月30日 鳴子 博子