企業研究所研究チーム

本研究所では、研究員を中心に、客員研究員(学外研究者)、準研究員(大学院生等)を交えた共同研究チームを組織して、研究活動を行います。活動内容は、各種研究会の開催や、工場見学・ヒヤリング等の出張調査、研究合宿などです。研究期間は原則として3年間で、最長5年間まで延長できます。研究成果は刊行物の発行により公表しています。今年度活動中の研究チームは以下のとおりです。

2019年度

研究チーム名 研究期間 主査 人数
研究の目的・方針 研究員 客員研究員 準研究員
社会経済システムの革新とビックデータの研究 2015.4.1~2020.3.31 有賀 裕二 3 4 0
社会経済システムは、サービスシステムを中心に革新が行われ、従来の物財中心の経済観・社会観はサービスセントリックビューに変更を迫られている。そうした革新のコアをなすマテリアルとテクノロジーが「ビックデータ」である。ビッグデータを無視した経済分析は不正確性を増すだけである。最近、注目を浴びる「東大日次物価指数」はビッグデータで物価指数を作成しているが、これは政府発表の物価指数と正反対の動きをしている。実際消費税引き上げ後、ビッグデータはデフレ状態と判定しているが、政府指数はインフレ状態を示している。このような相違は誤差の問題ということはもはやできない。しかし、ビッグ・データを利用した解析は莫大な費用がかかる。本研究は、ビッグデータによる研究事例を学びながら、制度分析を加味して、研究推進したい。
グローバルコミュニケーション戦略 2015.4.1~2020.3.31 三浦 俊彦 5 6 1
グローバルビジネスを展開していくうえで、コミュニケーションのツールとしての英語の重要性が久しく唱えられている。最近、BELF(Business English as a Lingua Franca)という言い方も、とくにヨーロッパでは、研究テーマとして取り上げられている。近年、英語の社内公用語化などが話題になっているが、言語とビジネスの成否はどのような関係にあるのかを論究することが当チームの目的である。
研究方針としては、実態調査は不可欠であるが、研究対象国として、英語が公用語であるインド・シンガポール・日本企業内でも圧倒的に現地語が使用されているインドネシア、また、英語の使用レベルに大きな違いのある中国本土を予定している。
企業文化とCSR(企業の社会的責任) 2015.4.1~2020.3.31 武石智香子 4 4 0
企業文化とは、企業の成員が企業内で準拠している習慣・慣行・規範・価値などの複合体で、経営者も従業員もそれに沿って思考し行動することが当然とされている、一定の行為パターンを意味している(石川他編 (2012) 『グローバル化のなかの企業文化』中央大学出版部)。いかなる国のいかなる企業も、工業化と経済発展の過程でおのおのの国(社会)に特有の企業文化を発展させてきた。しかし、前世紀末の経済のグローバル化による企業の世界規模でのビジネス展開を背景に各国の企業文化も大きな変容を余儀なくされ、従来の慣行や規範も見直しを迫られてきた。そして、「企業文化の空洞化」(同上)と言われる現実の中で逸脱的企業行動が発生し、企業の社会的責任(CSR)が厳しく問われるようになってきた。こうした現象は、計画経済から市場経済へのシステム転換を経験しつつある市場移行国においてとくに顕著である。
本研究は、いかなる型の企業文化が企業の社会的責任行動と関連しているかを、市場移行国(中国・ロシア・中東欧・ベトナム)を中心に、日米欧の先進国との比較、東アジアの新興国との比較をおりまぜながら、理論と実際の両面から検討していくものである。
ビジネスコミュニケーションの諸問題 2016.4.1~2020.3.31 平澤 敦 3 2 1
国際ビジネスにおける文化(国、地域、特定の企業あるいは業界等に関わるもの)、契約、リスク、コミュニケーション等に係る諸問題を、主として商学からのアプローチで研究を行う。インタビュー調査、文献調査等を行い、特定の国あるいは文化を対象とせず、幅広く自由な研究を行うことを目的としている。本プロジェクトの成果は国内および海外で開催される学会で研究発表を行うと共に、中央大学企業研究所が出版する出版物において公表する。
世界金融危機後の各国の金融制度・金融規制・金融政策の比較研究 2016.4.1~2020.3.31 高橋 豊治 14 11 0
本共同研究は、日本では「リーマン・ショック」として認識されることの多い世界金融危機後の世界の代表的な国々の金融制度・金融規制・金融政策の実際とその背景について、日本を中心にして比較研究を行うものである。2011年度より「金融危機後の日中の金融制度・金融規制・金融政策の比較研究」として進めてきた中国厦門大学との共同研究をベースとする日本と中国の比較研究を、他の諸国との比較研究として発展させることを考えている。参加するチーム・メンバーの専門領域を中心とした研究をもとに、外部の専門家も含め、公開研究会等で議論を進める形で、チームとしての成果を形成する。研究成果は、『企業研究』、研究叢書等で積極的に公表する予定である。
定量的リスク管理の研究 2017.4.1~2020.3.31 石村 直之 6 4 0
現代社会における企業活動では様々なリスク要因を考慮する必要がある。例えば,金融機関においては市場リスクをはじめ,信用リスク,地政学リスク,大災害リスクなどなど,企業の根幹に影響を与えるリスクも多い。世界的な事業展開を行う企業では,リスク管理は必須の事項である。その上,これらのリスク要因は互いに影響しあうことが多く,単にそれぞれ独立なリスクとして評価するだけでは,全体的なリスク管理が正しく行われることとならない。この研究テーマでは,様々なリスク要因を定量的に管理する理論や手法の発展を目指す。また,既存研究では手薄であったアジア地域に特有なリスクを考慮したモデル構築を重視する。
日本におけるスポーツスポンサーシップの効果に関する研究 2017.4.1~2020.3.31 渡辺 岳夫 7 2 0
近年,世界における企業のスポンサーシップ投資は急増しており,特にアジアにおけるそれは,2010年度には前年度から5%増加し,総額106億ドルに達したとされている。そのスポンサーシップ投資のなかでも,スポーツ組織に対する企業の投資は,全体の約70%を占めるとされている(Lough et al., 2000)。このような現況を踏まえ,スポーツスポンサーシップに関する研究は増加してきている。とりわけ,スポンサーシップの効果の測定方法,例えば,メディア露出時間測定法(Parker, 1991),ブランド認知法(Bennett et al., 2002),ブランドイメージ法(Dees et al., 2008)などに関する探究が,多くの海外の研究者によって行われてきた(Walliser, 2003; Cornwell and Kwon, 2010)。
しかし,日本におけるスポンサーシップ効果に関する研究は非常に少ないのが現状である(大西,2009)。日本企業に対する調査によれば,スポーツスポンサーシップの主たる目的は社会・地域への貢献であることが分かっているが(大西,2009),このことは,それ以外の各種スポンサーシップ効果が明確になっていないことがゆえに現出している状況であると考えることもできる。スポンサー収入が非常に重要なスポーツ組織の収入源であることを考慮すると,日本におけるスポーツ産業のさらなる健全な発展を企図した場合,日本におけるスポーツスポンサーシップの効果を定量的に明らかにする研究の意義は非常に大きいと思量する。
新たな事業モデルと経営課題に関する研究 2017.4.1~2020.3.31 日高 克平 12 8 3
現在,企業経営は転換期を迎えている。先進国市場の成熟化と新興国市場への期待,Iot等の技術革新を背景とする新たなビジネスへの期待,情報漏洩や政治的不安に対するリスクマネジメント,BOPビジネスやソーシャルビジネス等新たな事業分野,CSRからCVS経営への深化,といった新たな経営課題に現代企業は直面している。
こうした現在,企業が抱える新たな経営課題について多角的な分析を試みたい。研究員の研究報告だけでなく,研究課題に関連する企業・団体からゲストスピーカーを招聘するとともに,企業・団体への訪問調査も実施する予定である。
社会経済制度の理論研究と実証分析 2017.4.1~2020.3.31 江口 匡太 10 0 1
経済学的な研究アプローチは,ゲーム理論と計量経済学の目覚ましい発展の結果,家計や企業などの個々の行動の深い分析と,それに影響を与える社会制度の役割について理解を深めてきた。その影響力は大きく,市場システムと企業組織の分析にとどまらず,選挙制度や統治制度といった政治システムや法制度の在り方,制度の歴史的形成過程にまで研究スコープは広がっている。こうした国際的な研究の潮流に即し,企業研究所の研究者を中心にチームを構成して,社会経済制度の理論と実証の両面にわたる研究を行う。具体的には,企業組織のガバナンスや企業の取引関係について,市場環境や政治環境といった社会制度の影響を視野に入れながら,数理的な理論モデルの構築とデータ分析を進め,査読付英文学術誌への論文掲載を目指す。
地域医療における情報化と病院経営に関する研究 2017.4.1~2020.3.31 斎藤 正武 9 7 0
都心の一極集中による疲弊する地方経済が社会問題化されている。地方での人口減少や超高齢化の歯止めがかからない中,医療においては,地域住民全体の健康を地域全体で支えて行こうという地域医療を国・自治体は中核病院を中心に推進している。しかしながら,70%の病院が赤字経営という実態(日経調べ)もある。
そんな中,IT技術を駆使した病院経営が赤字体質脱却の切り札とされ,病院内,地域内でのITシステムや,遠隔診療等のITを利用した新たな取り組みが進められている。
地域医療における情報化や病院経営に関しては,まだまだ研究は緒がついたばかりで企業研究所の研究チームで研究を進める価値があると考える。
最新の情報技術によるビジネスプロセスの革新 2017.4.1~2020.3.31 堀内  恵 5 6 0
ビジネスプロセスを革新するためのこれまでの情報化に目をむけると,1960年代のMISやDSS,1980年代のOA,1990年代のリエンジニアリングなどのスローガンがある。これらは,最新鋭の技術を用いれば経営のやり方を変革することができるという考え方であり,いずれも「はじめに技術ありき」の発想や技術決定論に基づいている。しかしながら,現実には,技術が一方向的に組織に影響を与えるものではない。「全ての知識は社会的に構成されたものであり,事実は社会的過程を通して作られる」(Leonardi, 2012)のであり,ビジネスプロセスを革新するための情報技術もその利用目的やコンテキストなどを通して解釈し,再構成するという視角が重要になる。本研究は,とくに最新の情報技術(例えば,Iot,ブロックチェーン,人工知能等)によるビジネスプロセスの革新を社会構成主義,状況論的学習理論を基本的視角として,とくに社会的物質性の考え方の妥当性に注目して文献サーベイ,事例調査および企業・団体への訪問調査等により理論的な実践基盤を確立する。
企業システムの国際比較―パラダイム転換の時代 2018.4.1~2021.3.31 関口 定一 8 10 0
本研究チームは、21世紀に入ってから加速化されている企業環境の変化の中で、これに対応する企業システムの変化とその行方を、19世紀、20世紀の企業システムとの対比の中で、検討することを課題としている。その際に、日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパにおける企業システムの比較検討を行い、趨勢としての企業システムの変化(市場媒介的システム①⇒組織内部化的システム⇒市場媒介的システム②)の中で、各地域、各国に表出する変化の多様性に比較史的な視点からの分析を加えることによって、この大きな変化がいかなる要因によって規定されているのかを明らかにしたいと考えている。
管理会計と組織能力の向上についての研究 2018.4.1~2021.3.31 河合 久 6 4 1
管理会計システムには、意思決定を支援する情報を提供する機能(情報機能)と従業員の行動に望ましい影響を及ぼす機能(影響機能)が具備されており、システムの導入主体がいずれの機能を重視するかに違いはあっても、必然的に両機能を有してしまうとされている。このようなパースペクティブに立脚すると、管理会計システムの導入効果について議論する際には、一方において意図した機能発揮の程度を他方において意図せざる機能発揮の程度を考慮しなければならないことを意味する。本研究の目的は、かかる複眼的な視点から、管理会計システムの導入効果を実証的に検証することであり、単眼的視点に立脚する多くの先行研究とはアプローチを異にするものである。
本研究では、かかる研究目的を実現するために、実証的なアプローチをとる。すなわち、ヒアリング調査ならびにラージサンプル・リサーチを併用するとともに、必要に応じて実験室実験も実施し、方法論についても複眼的な視点を重視していく予定である。
グローバル競争の進展と流通・都市の変容 2019.4.1~2022.3.31 佐久間英俊 21 20 0
昨今グローバル競争が激化するとともに、情報化の進展や消費生活の変容など環境の変化と相まって、商品流通やマーケティング、都市も急速に変容を遂げている。
本研究の目的は表記研究テーマに関して、①今日におけるグローバル競争の特質、②流通変容の特質、③都市の流通変容の特質を分析することによって、これら三者の連関を明らかにすることにある。
そのために国内外の商品流通やサービス、都市の実態を調査し、そこで得られた知見を研究会や研究合宿で報告・討論し、チームメンバーの認識を相互共有するとともに、チーム全体の認識の到達点を高めていく。
なお可能であれば、欧米の複数の研究者との国際共同研究も実施する。
最終的には、それら研究を通じて得られた知見を研究叢書の形で公表する予定である。

2018年度

チーム名 研究期間 主査 人数
研究員 客員研究員 準研究員
流通システム変容の現代的特徴 2014.4.1~2019.3.31 木立 真直 22 18 0
社会経済システムの革新とビックデータの研究 2015.4.1~2019.3.31 有賀 裕二 4 3 0
グローバルコミュニケーション戦略 2015.4.1~2019.3.31 三浦 俊彦 6 5 1
企業文化とCSR(企業の社会的責任) 2015.4.1~2019.3.31 武石智香子 7 3 0
ビジネスコミュニケーションの諸問題 2016.4.1~2019.3.31 平澤 敦 3 2 1
世界金融危機後の各国の金融制度・金融規制・金融政策の比較研究 2016.4.1~2019.3.31 高橋 豊治 10 9 0
定量的リスク管理の研究 2017.4.1~2020.3.31 石村 直之 4 2 1
日本におけるスポーツスポンサーシップの効果に関する研究 2017.4.1~2020.3.31 渡辺 岳夫 6 1 0
新たな事業モデルと経営課題に関する研究 2017.4.1~2020.3.31 日高 克平 14 7 2
社会経済制度の理論研究と実証分析 2017.4.1~2020.3.31 江口 匡太 7 0 1
地域医療における情報化と病院経営に関する研究 2017.4.1~2020.3.31 斎藤 正武 10 6 0
最新の情報技術によるビジネスプロセスの革新 2017.4.1~2020.3.31 堀内  恵 6 4 1
企業システムの国際比較―パラダイム転換の時代 2018.4.1~2021.3.31 関口 定一 9 9 0
管理会計と組織能力の向上についての研究 2018.4.1~2021.3.31 河合 久 5 4 1