中大で研究する(研究支援)

ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ『君も考古学の最新研究に挑戦!縄文土器を研究する・年代を測る』を実施しました

2020年10月15日

文学部教授・小林謙一が本学で初めて科研費「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ」に採択され、プログラム『君も考古学の最新研究に挑戦!縄文土器を研究する・年代を測る』の第1回が8月29日(土)、第2回が10月10日(土)に実施されました。

当日はコロナ感染防止対策を行い、多摩キャンパスにて開催しました。

第2回では中学生8名、小学生1名の参加があり、みなさん熱心に取り組んでいました。今回のプログラムを通して考古学の素晴らしさや楽しさを感じることができたのではないでしょうか。

小林教授からのコメントは次の通りです。

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ひらめきときめきサイエンスの第2回目を10月10日に無事終了することができました。第一回の時から、残念ながら1名が風邪をひいたということで欠席になりましたが、9名の中学生と保護者数名が参加してくれました。

ワークショップでは、前回採取した土器付着物を、先月のうちに私が年代測定用に前処理し、東京大学総合博物館年代祖実験室へ持ち込んで炭素14年代測定をおこなったことを参加者に報告し、その測定方法の内容をパワーポイントを使いながら紹介しました。そのうえで、測定値を皆に配布し、それがそのままでは実際の年代ではないことと、どのように補正して実年代を推定するかを説明し、実際に一人ずつ前に出てパソコンでオクスフォード大学のホームページ上に公開されている計算ソフトに測定値を打ち込むことで較正年代の算出をしてもらいました。数値を入れるたびにグラフが変わり、統計的に算出された年代推定値が画面に映し出されるので、それぞれが自分が測った土器の年代と、ほかの参加者が測定した土器の年代を見比べながら、数値をよみとってワークシートに記入してもらいましたが、みなしっかりと理解して年代を読み取っていました。

さらにそれらの年代が縄文時代のどの時期に当たるかを、配布した参考資料(これまでに私が研究した成果による年代表など)から読み取ってもらい、それぞれ発表してもらいました。

その後、土器自体の変化から時代変化を読み散る考古学的な方法についても話をし、その研究手段の一環として、土器の文様を写し取る「拓本」作業を体験してもらいました。実際に土器の模様を画仙紙に拓墨で写し取るのは、多少むずかしいのですが、みな2、3回行ううちに模様が写し取れるようになり、夢中になっていました。それらの拓本を乾かして最後に紙に裏打ちし、持ち帰ってもらいました。

以上のプログラムが終了したうえで、修了証(未来博士号)を授与し、質問などを受けて解散となりました。アンケートも受講生、保護者に書いてもらいましたが、好意的な意見をいただきました。受講生からは「拓本」作業が難しいが面白かった、保護者からは最新の科学と考古学の協業による研究成果が興味深く聞けて良かったとの声が多かったのですが、その最新科学の説明の部分は受講生にはやや難しく受け取られたようなので、そこをいかにわかりやすく説明するかが課題として残されました。なお、車での来校を認める、教室を二つにわけるなどコロナ拡散防止に努めましたが、その点も保護者からは評価する声をいただき、ほっとしたところです。研究成果を活用する手段の一つとして、子供たちへの普及活動および考古学・科学への興味をもってもらうことは大きな意義があると考えます。来年度も機会があれば同様のプログラムをおこないたいと考えているところです。

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