令和2年度 中央大学学術研究奨励賞受賞者一覧

(順不同・敬称略)

氏名
(ふりがな)
所属身分
研究業績等の内容(要旨) 他機関からの受賞
○受賞名
○授賞機関
○受賞日
奨励賞推薦理由(要旨)
本庄 裕司
(ほんじょう ゆうじ)
商学部 教授
 本研究では、バイオスタートアップ企業に関する独自のデータセットを用いて、設立時点のベンチャーキャピタルや大学の関与がその後のIPOに与える影響を、主にIPOまでに費やした期間といった観点から明らかにした。分析結果から、設立時点でベンチャーキャピタルが関与するバイオスタートアップ企業、また、大学発バイオスタートアップ企業ほど早くIPOを達成することを明らかにした。 〇企業家研究フォーラム賞
〇企業家研究フォーラム
〇2020年7月22日
【受賞した賞の概要】
企業家研究フォーラムは、大阪商工会議所大阪企業家ミュージアムと連携し、「企業家活動」研究の促進とその成果の普及を図るとともに、経済社会が真に求める人材の育成に資することを目的とした学会である。現会長は上智大学教授 山田幸三先生であり、副会長も全員著名な大学教授が就任している(東京大学1名、一橋大学2名、関西大学1名)。なお、本学会は、日本学術会議協力学術研究団体である。
企業家研究フォーラムでは、企業家活動の研究調査を通じて経済と社会の活性化を図るため、優秀な著書及び論文を選定し、その業績を広く顕彰することを目的として、企業家研究フォーラム賞を制定している。企業家研究フォーラム賞は著書の部、論文の部、特別賞の3種類を設けており、毎年、各賞とも1点に授与する。そして、会長および副会長によって選任された審査委員で構成される審査委員会において審査がなされ、合議により企業家研究フォーラム賞の選考を行っている。
【受賞した研究業績の貢献】
本推薦研究論文は、ベンチャーキャピタルや大学の関与が、バイオスタートアップ企業の成長、ひいては、バイオテクノロジー産業の発展に寄与することを明らかにした点で貢献が認められ、評価できる。また、同論文では、IPOまでの期間といった観点のみならず、IPO時の時価総額といった観点からも分析を行っている。この分析結果によると、ベンチャーキャピタル投資において一般的に行われている段階的投資やシンジケーションの2つの投資手法が、必ずしも良好な時価総額につながるとは限らないことも明らかにしており、日本のベンチャーキャピタルによる投資能力の限界を示唆する点でも貢献が認められ、評価できる。そして、本論文において、1995年から2014年までの20年間といった長期間にわたる独自のデータセットを構築し、そのデータセットを利用して精緻な分析を実施している点も評価できる。最後に、本推薦研究論文は、経済学・経営学分野においてFinancial Timesが指定するトップ50の学術雑誌の1つであるResearch Policyに掲載されている。その点でも学術の発展に寄与し、または社会的に高く評価されており、本学にも多大なる貢献をしたことが評価できる。
【研究における候補者の役割】
本推薦研究論文では、本候補者が論文全般を執筆しており、分析に利用するデータセットの構築、モデルの推定も本候補者が担当している点、さらに、本候補者が責任著者(Corresponding Author)となっている点から、本論文上、本候補者が中心的な役割を果たしている。よって、本候補者は本研究において必要不可欠な役割を担っていると認められる。
以上より、企業家に関する学術研究の発展に寄与したと認められるため、本候補者を中央大学学術研究奨励賞に推薦する。
橘高 俊一郎
(きったか しゅんいちろう)
理工学部 准教授
「角度分解磁場中物性測定装置の開発と超伝導対称性の研究」
0.1 K以下まで磁場方位を精密制御しながら比熱や磁化を測定できる独自の装置を開発し、非従来型超伝導体のギャップ対称性を特定できるバルクの実験手法を確立し、長年の定説に一石を投じる独創的な成果をあげた。
〇令和2年度文部科学大臣表彰若手科学者賞
〇文部科学省
〇2020年4月14日
 
 文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって我が国の科学技術水準の向上に寄与することを目的とする科学技術分野の文部科学大臣表彰を定めている。橘高俊一郎氏は、0.1 K以下まで磁場方位を精密制御しながら比熱や磁化を測定できる独自の装置を開発し、非従来型超伝導体のギャップ対称性を特定できるバルクの実験手法を確立し、長年の定説に一石を投じる独創的な成果をあげた。この研究成果は、超伝導研究を大きく進展させるだけでなく、回転磁場下の熱測定法の高度化によって強相関電子系分野の発展にも多大な貢献をもたらすものと期待されている。橘高俊一郎氏の本学におけるより一層の活躍を祈念して、学術研究奨励賞に推薦する。
白井 宏
(しらい ひろし)
理工学部 教授
 候補者である白井教授が、本学大学院学生と共同で執筆した学術論文「Kirchhoff Approximation Analysis of Plane Wave Scattering by Conducting Thick Slits」が、電子工学および情報通信に関する学問技術の発展に貢献する優秀な論文として認められ、本年6月に電子情報通信学会から論文賞を受賞した。
本論文では、厚みのある導体スリットによる平面電磁波の散乱界をキルヒホッフ近似によって導出している。高速な伝搬解析を可能とするように、スリットの開口部に入射波によって作られる等価磁流を仮定し、その波源からの放射の形で散乱波を表現している。厚みのあるスリットの開口を通してスリット下部に伝搬して放射する寄与についても考慮するための工夫として、スリット部を導波管とみなして、伝搬波を導波管モード和に変換し、再度開口部に等価磁流を仮定して放射波を求めている。
この解析によれば、物理的な電波の伝搬のイメージに基づいた形で定式化が可能であることから理解しやすく、最終的な解は非常に簡単な形で表され、高速で数値計算が可能である。さらに他の解法との比較により、主なる回折ビームの方向や大きさ等を推定するには、十分な精度が得られていることが示された。ここで示された解析手法は、今後建物壁に設けられた波長に比べて大きな窓開口による電波散乱の予測等に有効な解析手法となると考えられ、今後の発展が期待できると高く評価された。
〇電子情報通信学会 第76回論文賞
〇電子情報通信学会
〇2020年6月4日
 本賞は、電子情報通信学会が毎年、4ソサイエティが発行する和・英論文誌から優れた論文を3件程度選び、授与する賞である。
今回の受賞論文は、研究指導をしている本学大学院博士後期課程在学中のNguyen Nam Khanh君との共著論文であり、候補者は対象論文研究全体の統括並びに研究指導を行った。
この学術受賞は、本学の名声を高めるものであり、中央大学学術研究奨励賞を受賞するに十分値するものとして同賞に推薦する。
長塚 豪己
(ながつか ひでき)
理工学部 教授
 劣化現象の確率モデルにおいては、これまでLevy過程に属するIG過程とGamma過程を中心に研究がなされてきた。候補者らは、これら2つの過程の一般化であるGIG過程とIG過程、それぞれにべきパラメータを導入した新たな劣化モデルとその推定法を提案し、その数理的妥当性についての議論とデータセットによる既存法に対する優位性を示した。本研究の成果は、製品や建造物の劣化度合いや寿命の予測、更には最適なメンテナンススケジュールを精度よく構築するのに役立てられることが期待される。 〇18th The Asian Network for Quality (ANQ2020)
Best Paper Award
〇18th The Asian Network for Quality
〇2020年10月22日
 Asian Network for Quality (ANQ)は、2003年に発足した、アジア諸国により構成される品質組織であり、毎年国際会議を開催している。Best Paper Awardは、提出されたフルペーパー(8ページ)の中から優れていると認められる上位約10%の研究に与えられる賞である。受賞論文は、修士1年生(伏原卓哉)との共著であり、長塚は研究総括と論文指導、伏原は研究遂行と論文執筆を担当した。
西田 治文
(にしだ はるふみ)
理工学部 教授
 西田治文氏は長年植物化石研究を行い、多数の研究成果を出版しており、2012年から4年間は国際古植物研究機構の副会長も務めた。加えて、日本学術会議派遣の国際生物科学連合(IUBS)代表や、学協会の役員、生物多様性JAPAN事務局長などを歴任して自然史科学の振興や、生物多様性の保全など多岐にわたる社会活動も行っている。 〇第28回松下幸之助花の万博記念賞
〇松下幸之助記念志財団
〇2020年2月1日
第28回松下幸之助花の万博記念賞(松下幸之助記念志財団)
標記財団が毎年行う、「自然と人間との共生」という花の万博の基本理念実現に貢献した、すぐれた学術研究や実践活動を顕彰するものである。同財団は学会組織ではないが、専門家による十分な学術審査を経て授与され、社会的に評価の高い顕彰である。受賞理由は、古植物学の分野において、世界的に活動し、古生代の絶滅裸子植物の精子の発見など傑出した業績をあげ、著作を通して化石研究の魅力と可能性を一般に普及した功績である。
以下の財団サイトに記念講演の内容などが公開されている。
公益財団法人 松下幸之助記念志財団 助成・顕彰プログラム
〇2019 Best Paper Award(共著者3名の共同受賞)
〇日本古生物学会
〇2020年6月26日
2019 Best Paper Award(日本古生物学会、3名連名)
日本古生物学会の国際誌、Paleontological Researchの掲載論文から、毎年選考される最優秀論文賞で、2018年に発表した以下の論文が顕彰された。兵庫県の篠山層群から前期白亜紀の希少な植物群を記載、日本の植生と生物相の起源を明らかにするための重要な業績として評価された。
Yamada, T., Legrand, J., and Nishida, H. 2018. Late Early Cretaceous (Albian) Sasayama Flora from the Sasayama Group in Hyogo Prefecture, Japan. Paleonotological Research, 22(2): 112-128.
Late Early Cretaceous (Albian) Sasayama Flora from the Sasayama Group in Hyogo Prefecture, Japan
早川 健
(はやかわ たけし)
理工学部 准教授
 近年、マイクロ流体チップを用いた単一細胞解析デバイスが盛んに研究されている。候補者は、チップ上の広い範囲で強い操作力が発生可能であり、チップ作製が容易なオンチップ微細操作法として、振動誘起流れを用いた独自の方法を提案してきた。振動誘起流れとは、チップ上にマイクロ構造体を作製し、チップに高速振動を印可した際に構造体周囲に局所的な流れが生じる現象である。この現象を利用することで、様々な細胞操作を簡便に実現できると期待されており、候補者はこれまでに一細胞分離操作、マウス卵子の回転操作、および運動細胞の並列捕捉操作等に成功している。 〇若手優秀賞
〇化学とマイクロ・ナノシステム学会
〇2020年5月26日
 候補者が受賞した賞は、化学とマイクロ・ナノシステムに関連する新規性に富む優れた研究を行った若手研究者を対象とした学会賞であり、学会から毎年最大3名のみが授与される賞である。候補者は、独自の細胞操作手法の提案を行い、学術的な基盤となる現象の解析から実用化に近いシステム構築まで総合的に研究している稀有な研究者である。このような研究業績は今後の中央大学の学術基盤となる可能性を秘めており、中央大学学術研究奨励賞の受賞者に値すると考え、ここに推薦した次第である。
船造 俊孝
(ふなづくり としたか)
理工学部 教授
 超臨界流体中の輸送物性、特に拡散係数の測定法の開発、膨大な測定データの報告と拡散係数と粘度の各推算法を提案した。また、高圧流体中の拡散係数の測定について、2点法の開発や2次流れの定量的な誤差評価、信号のノイズ処理など、測定法の根本的な改良を行い、格段に測定精度を向上させ、さらに極性物質についての測定を可能としたCIR法を開発した。 〇池田亀三郎記念賞
〇化学工学会
〇2020年3月15日
 賞の規定は化学工学会正会員であって、化学工学に関する優れた研究を行い、学術上特に大局的に顕著な業績のあった個人。
氏は高圧流体の輸送物性の測定と推算に顕著な業績を示し、国内外より高い評価を得ている。
古田 直紀
(ふるた なおき)
理工学部 教授
 申請者は誘導結合プラズマ(ICP)発光分析法(ICP-OES)における理論的基礎を明らかにするとともに、ICP質量分析法(ICP-MS)を用いた高精度同位体測定法の基礎研究をすすめ、その開発に大きな役割を果たした。さらに、ICP-MSによる環境科学、生命科学、材料科学分野での応用を進め、幅広い分野における有用性を明らかにした。 〇2020年度プラズマ分光分析研究会学術賞
〇プラズマ分光分析研究会
〇2020年5月22日
 本賞は、プラズマ分光分析に関する優れた研究実績をもつプラズマ分光分析研究会会員で、分野の発展に特に顕著な功績のあったものを対象として年に1件以内で授与されるものである。候補者は、ICPの分析化学的特性の解明から、環境・生命・材料科学への応用におよぶ広範な研究において、国内外から高く評価されている研究者であり、この分野の発展に多大な功績を残したことから、ここに推薦致します。
山西 博之
(やまにし ひろゆき)
理工学部 教授
 山西博之氏は、初級者から中・上級者まで幅広い学習者を対象とし、評価が困難と言われる英語ライティングの研究を行っている。山西氏の研究の特徴は、一貫して教育現場での指導上の問題を出発点として、得られた成果を教育現場に還元していることである。その一例として、英語ライティングの豊富な指導実践例を理論的な研究成果に基づいた形で取りまとめ公刊した『中・上級英語ライティング指導ガイド』(2019年、大修館書店)が挙げられる。同時に外国語教育メディアの観点からは、一連の研究の基盤となる、大規模エッセイデータ収集・分析のためのWebシステムの開発も行っている。また、山西氏が執筆した学術論文は、これまで国内の外国語教育の主要学術誌に複数掲載されている。これらのことから、山西氏は外国語教育分野における学術レベルを高めることに大いに貢献しているものと判断される。 〇第15回(2020年度)外国語教育メディア学会「学術賞」
〇外国語教育メディア学会(LET)
〇2020年9月19日 
 外国語教育メディア学会(LET)学会賞は、同学会が、会員のより一層の研究・実践活動を奨励し、同学会の質的向上をはかるため、会員の顕著な研究・実践活動等の業績に対し顕彰をおこなうという制度である。そのうち、「学術賞」は、同学会が目指す、外国語教育全般において顕著な学術貢献をした個人会員に授与される。授与対象となる業績は、同学会が扱う研究領域に関する実証的・理論的研究を含む学術書、論文を対象とし、論文は一連のテーマによる複数編としている。学術賞授与対象となった山西氏の業績は、「外国語教育におけるライティング指導・研究の展開と、その基盤としてのWebシステムの開発」であり、同テーマに関する編著書の学術図書2冊、分担執筆の学術図書4冊、学術論文31本のうち、実証・理論の融合と言える学術図書である『中・上級英語ライティング指導ガイド』(責任編者)および近年刊行された一連の学術論文(筆頭著者)である。これらの業績は、同学会学術賞の規定が定める通り、外国語教育全般において顕著な学術貢献をもたらしているものと言える。以上の理由により、候補者である山西氏の業績は、本学学術研究奨励賞にふさわしいものであるとしてここに推薦する次第である。