研究開発機構

理工学部教授 竹内 健:研究成果のプレスリリースを2件実施

2019年06月11日

理工学部 教授(電気電子情報通信工学科)竹内 健の研究成果について、2件のプレスリリースを行いました。本研究成果は、6月10日~14日にかけて開催された「IEEE Symposia on VLSI Technology」で発表されたものです。
 

①機械学習向け、“Approximateコンピューティング”を採用した、高速低電力ReRAMストレージ実現に見通し ~エラーを許容して7倍高速化と90%消費エネルギーを低減~

機械学習を用いた応用に向けて、“Approximateコンピューティング”を採用した、高速低電力なReRAM(抵抗変化型メモリ)ストレージの実現に見通しをつけました。画像や音声の認識、SNSの分類、Web広告のレコメンデーションなど統計的機械学習の応用では、多少のエラーが許容されます。それを活かして、メモリのデータマネジメントの簡略化や、読み出しや書き込みの動作条件を変える事で、ReRAMを用いたデータセンタのストレージシステムに対して、従来のコンピューティングでは実現不可能な、7倍の高速化、90%の消費エネルギーの低減を実現しました。本技術により、将来のデータセンタのストレージが高速・低電力になるのみならず、次世代メモリReRAMの更なる微細化、大容量化が期待できます。
なお、本研究は研究開発機構 機構助教 松井 千尋らを含むグループで実施されました。
 

②ニューラルネットワークでフラッシュメモリの寿命を予測 ~出荷先の選別の自動化に期待~

フラッシュメモリがデータを保持できる時間や、読み出し可能な回数といった「メモリの寿命」を、ニューラルネットワークによって出荷前に予測する技術を開発しました。スマートフォンやパソコン、クラウドデータセンタのSSD、ストレージなどに使われているフラッシュメモリですが、データを記憶する寿命に制約があり、しかも、メモリの寿命は実際に使ってみなければわからない、という問題があります。今回、ニューラルネットワークを用いて事前に(工場で出荷前に)、データを保持できる時間や読み出し可能な回数を予測することで、長いデータ保持が求められるアーカイブなどの市場や、頻繁に読み出しが行われる市場それぞれに、適したメモリを出荷する(選別する)ことが自動的に可能になると期待されます。
また、出荷後には、ニューラルネットワークを用いて、エラーしているメモリセルを検出することも可能になり、その結果エラーを訂正することも可能になるため、フラッシュメモリの耐久性の向上にも貢献します。本技術により、幅広い用途で要求される様々な寿命(信頼性)を的確に満たすことができるため、フラッシュメモリが更に多くの用途で使用され、フラッシュメモリの市場の拡大が期待されます。


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