研究

人文科学研究所 客員研究員 鶴見 周摩、文学部教授 山口 真美:中央大学と北海道大学、赤ちゃんには錯視が生じない?

写真左:鶴見 周摩 北海道大学大学院文学研究院 助教、中央大学大学院人文科学研究所 客員研究員
写真右:山口 真美 中央大学文学部 教授(心理学研究室)
 

 北海道大学の鶴見周摩助教、日本女子大学の金沢創教授、中央大学の山口真美教授は、生後半年未満の乳児では複数の特徴を誤って統合する「misbinding」という錯視現象が生じず、これらの乳児は大人とは異なり、世界をありのままに見ている可能性を示しました。
 本研究では、「misbinding」という錯視現象に注目し、乳児にこの錯視が生じるか実験用動画を使って、映像に見慣れていく行動を元に調べ、特徴統合に関与するフィードバック処理の発達過程を検討しました。
 「misbinding」とは、2種類の特徴(例えば色と運動方向)が誤って統合される錯視現象で、曖昧な知覚を安定させようとするフィードバック処理の関与によると言われています。実験の結果、生後半年以降の乳児ではmisbindingの錯視が見えて、誤った特徴の統合が生じることがわかりました。一方で、生後半年未満の乳児はmisbindingの錯視が見えませんでした。つまり、半年未満の乳児は特徴を誤って統合せずに曖昧な外界をあいまいなまま知覚することがわかったのです。本研究の知見は、われわれ大人の意識世界の形成過程を知る手がかりの一つとなると考えられます。

 本研究成果は、2023年12月6日(英国時間)付で『英国王立協会紀要(Proceedings of Royal Society B)』でオンライン掲載されました。

 詳細は、大学ホームページの「プレスリリース」をご覧ください。

 また、ご興味をお持ちの方は下記もご覧ください。

プレスリリース「赤ちゃんには錯視が生じない?~生後半年未満の乳児における特徴統合能力~」