
※本プレスリリースは、日本郵船株式会社と中央大学との共同発表です。

学校法人 中央大学(以下「中央大学」)と日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)は、このほど、海洋生物からの天然物探索に関する共同研究を開始しました。この共同研究は、船底等に付着した海洋生物から、新規創薬資源をはじめとする人類に役立つ未知の物質を発見し、その作用を明らかにすることを目的としています。
共同研究の経緯とこれまでの成果
アオカビから世界初の抗生物質であるペニシリンが発見されたように、自然界の生物がつくる物質(天然物)には、画期的な新薬やその開発のヒントとなる物質が存在しています。特に海洋生物は、人類に有用な未知の天然物の発見が期待される重要な資源です。
中央大学理工学部応用化学科の生物有機化学研究室(岩崎研究室)と日本郵船は、2023年から試行的に、船底等に付着した海洋生物を採集し、分析する活動に取り組んでいます。この活動の中で既に未知の天然物を発見し、その作用を東京大学大学院医学系研究科の野崎智義教授のグループと解析した結果、“顧みられない熱帯病”のひとつとして知られるアフリカ睡眠病(注1)の病原生物「ローデシアトリパノソーマ」の増殖阻害に効果を示すことが明らかになりました。この成果については、2025年3月に開催された日本化学会 春季年会で岩崎研究室所属学生が口頭発表(注2)しています。
(注1)アフリカ睡眠病
サハラ以南のアフリカに見られる、主にツェツェバエを媒介として感染する疾患。睡眠サイクルの障害が大きな特徴で、重症化すると死に至る危険性が高い。
WHOのデータを引用している厚生労働省検疫所の「感染症トピックス」アフリカ・トリパノソーマ症のファクトシート
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/02091028.html
(注2)2025年3月に開催された日本化学会 春季年会発表について
詳細は以下の講演情報の通り。
[[A]A305-4am-08] 2025年3月29日伊計島産海洋シアノバクテリア由来、新規シクロプロパン含有ポリケチド ikeiamide 類の単離及び構造決定
田島 旦斐1、岩﨑 有紘1、山中 遼2、上田 貴裕2、大東 鷹翔2 (1. 中央大学、2. 日本郵船株式会社)
https://pub.confit.atlas.jp/ja/event/csj105th/presentation/A_A305-4am-08

詳細は、大学ホームページの「プレスリリース」をご覧ください。
また、本共同研究および岩崎准教授の研究にご興味をお持ちの方は、下記もご覧ください。
岩崎 有紘(研究者情報データベース)
https://c-research.chuo-u.ac.jp/html/100004541_ja.html
研究室Webサイト
https://sites.google.com/g.chuo-u.ac.jp/bioorganic/
応用化学科・専攻Webサイト
https://www.chuo-u.ac.jp/academics/faculties/science/departments/chemistry/