研究

中央大学ELSIセンター主催でRome Call for AI Ethics(AI倫理ガイドライン)署名記念ウェビナーを実施しました。

2023年03月29日

 中央大学は2022年10月、日本の高等教育機関として初めてRome Call for AI Ethics(AI倫理ガイドライン)に署名し、日本の大学で唯一の署名機関となりました。これを記念して、3月2日、ELSIセンター主催による「人間の尊厳のためのAI倫理とは?」とのテーマでウェビナーを開催いたしました。

 

【開催日時】
 2023年3月2日(木)10:00-12:00

【テーマ】
 『人間の尊厳のためのAI倫理とは?』

【プログラム】

 開会挨拶:平野晋教授(中央大学国際情報学部長)

 講演1:「高等教育におけるAI倫理の新たな課題」

 ジョセフ・グローバー教授(フロリダ大学 プロヴォスト)

 講演2:「尊厳ある個人の選択か、個人の尊厳ある選択か」

 大屋雄裕教授(慶應義塾大学 法学部)

 ディスカッション

 モデレーター:須藤修教授(中央大学ELSIセンター所長)

 パネリスト :

 ジョセフ・グローバー教授(フロリダ大学 プロヴォスト)

 大屋雄裕教授(慶應義塾大学 法学部)

 平野晋教授(中央大学国際情報学部長)

 石井夏生利教授(中央大学ELSIセンター副所長)

 閉会挨拶:加藤俊一教授(中央大学副学長)

【主催】
 ELSIセンター/研究推進支援本部

 

【内容】

 Rome Call for AI Ethics(AI倫理ガイドライン)は2020年にバチカンが発表した国際的イニシアティブで、AIの設計、開発、導入に対する倫理的アプローチの確立を目指し、倫理、権利、教育にまつわるコミットメントを行い、国際機関、政府、機関、民間企業が共通の責任感を持って未来を創造していくことを目指しています。中央大学は、AI倫理の6原則、透明性、包含性、責任性、公平性、信頼性そしてセキュリティとプライバシーについて、教育研究機関としてELSIセンターを中心に具体的にコミットしていきます。

 

 本ウェビナーでは本学と共にRome Call for AI Ethicsに署名したフロリダ大学から、プロヴォスト(研究副学長)のグローバー教授から、フロリダ大学で実装しているAIによる履修管理及び学生への働きかけについて先進的事例を紹介いただき、人間の尊厳を守るだけでなく、民主的な社会構造を守るためにも必要な、AI倫理の6つの原則すべての重要性について言及がありました。

 慶應義塾大学、法哲学専門の大屋教授からは、学術的歴史的な具体例を示していただき、ナッジ、行動経済学の議論も踏まえた上で、「個人の尊厳ある選択」ができる環境と個人の主体性を最大限発揮できるシステムを考えていかねばならないというお話がありました。

 ディスカッションでは現在世界的に話題になっているチャットGPTについて、高等教育機関での利用についての見解をパネリストから示していただきました。表現面については今後もAIが更に使われていくことになるだろうとの予想でした。ただ、内容的な創造力、発想力はAIで代われるものではなく、表現されたものに対する評価基準や能力を教育機関で身に着けていくような方法を考えていくべきではないかといった意見が出されました。

 中央大学ELSIセンターは、今後もRome Call for AI Ethicsを前提にして、AIと人間の関係について議論し、未来社会のさまざま課題とそのソリューションについて発信していきます。