研究

国際基礎科学年企画 第二弾 哲学X物理学セッションを開催しました

2023年01月20日

本学は「持続可能な発展のための国際基礎科学年」の協賛機関となっています。
https://www.chuo-u.ac.jp/research/news/2022/05/60707/
研究推進支援本部では、2023年1月11日、哲学と量子力学のセッションを企画・実施いたしました。

イギリスの哲学者であるアルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861年 ~1947年)は著書『科学と近代世界』(1925年)の中で量子論における粒子性と波動性に着目し、『過程と実在』(1929年)では、相対性理論や量子力学を基底に据え、自らの有機体の哲学を展開しています。彼の哲学は、明らかに前期量子論や相対性理論の影響を受けており、これがActual Entity(活動的存在)という世界最小の構成要素といった概念にも移行していきます。 
ホワイトヘッドはCosmic Epoch(宇宙時代)という概念を提唱しており、現在のCosmic Epochを「電磁気学的な時代」と言っています。これは恐らく、同じケンブリッジ大学で学んだ30歳年上の物理学者マックスウェル(1831年~1879年)の「電磁場」 という概念の重要性を述べているのではないかと思われます。
これを受けて、本セッションでは現在の「場」という概念の多様性について、本学の哲学及び量子力学の研究者間でディスカッションを実施しました。
特に古典的な場である「電磁場(Vector場)」「重力場(Tensor場)」や、それらの「場」と「量子場」との関係、そして「場」における位置、時間発展、方向などの相違について示されました。
宇宙の四つの力(強い力、弱い力、重力、電磁気力)と、それを統一的に説明できる可能性のある「超弦理論」に基づいた宇宙や世界のあり方 についても議論されました。

科学者でもあった哲学者(ホワイトヘッド) のテキストを読んでいくには、物理学の考え方が必要であり、一つの物理学的概念をとらえるときには、哲学的な議論も時には必要であり(ハイゼンベルクの『部分と全体』を読めばわかるように) 、互いに親和性の高い分野であることが再認識されたセッションとなりました。

中村真(理工学部 教授)
https://www.phys.chuo-u.ac.jp/labs/nakamura/

中村昇(文学部 教授)
https://researchmap.jp/read0086309

寺本剛(理工学部 教授)
https://researchmap.jp/7000004613

佐藤陽祐(文学部 助教)
https://researchmap.jp/yosuke-sato