研究

国際基礎科学年企画 第一弾 哲学X生物学セッションを開催しました

2023年01月20日

本学は「持続可能な発展のための国際基礎科学年」の協賛機関となっています。
https://www.chuo-u.ac.jp/research/news/2022/05/60707/
研究推進支援本部では、2022年12月8日、哲学と生物学のセッションを企画・実施いたしました。
 

アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(1861年~1947年)は、自身の哲学を「有機体の哲学」と呼び、主著である『過程と実在』においては「細胞理論」(cell theory)という用語も登場します。さらに、近年の研究においては、ホワイトヘッドが進化論に影響を受けた当時の有機体概念を受容することによって自身の哲学を形成したことが明らかにされつつあります。つまり、ホワイトヘッドは、生物学からどのような影響を受け、有機体の哲学を展開したのかという問題があります。
こうした問題意識のもと、本セッションでは特に植物学、広くは生命現象について議論が行われました。まず、生物学的現象をいかにとらえるのかという議論として、原子・分子レベルの研究から地球環境、さらにはラブロックのガイア説にまで話が広がります。また、生命の定義、生態系、「動的平衡」、進化といった根本的な概念について、植物学を土台とした検討が行われました。さらに、有機物がいかに生成してきたのか、バクテリアやウィルスと生き物との関係、DNAと進化との関係が議論されました。加えて、かつての共産主義と自由主義の対立のなかで、自然科学がイデオロギーをはらんだ時代におけるルイセンコ学説などの問題点などについても論じられました。
以上のような議論から、生物学と哲学の両者において、生命現象をいかにとらえるのかという根本的な問題や基礎科学の重要性について大学院生も交えて問題意識の共有が行われました。

中村昇(文学部哲学専攻 教授)
https://researchmap.jp/read0086309

西田治文(理工学部生命科学科 教授)
https://researchmap.jp/read0023978

佐藤陽祐(文学部哲学専攻 助教)
https://researchmap.jp/yosuke-sato