研究

研究開発機構 機構教授石川幹子: 「神宮外苑再開発計画」に対し、日本イコモス(国際記念物遺跡会議 ICOMOS/International Council on Monuments and Sitesの国内委員会、本部パリ)より第三次提言を発信

2022年10月14日

経緯:
2021年12月14日:東京都が神宮外苑再開発計画の都市計画原案を提示。
                           計画図書の縦覧に基づく意見書の提出期間は2週間(締め切り:2021年12月28日)。
2021年12月28日:学術調査(研究開発機構グリーンインフラ研究室:実施)を踏まえて、日本イコモス(国際記念物遺跡会議ICOMOS/ International Council on Monuments and Sitesの 国内委員会)より、意見書を提出。
                           参照:https://icomosjapan.org/
※東京都原案
:神宮外苑の都市計画公園を削除し、超高層ビルを3棟(三井不動産・伊藤忠)、建設。新国立競技場より高い屋内ラグビー場を建設。少年野球場を会員制テニスクラブにします。これに伴い、既存樹木約1000本が、伐採もしくは移植される計画。
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/saisei07_02.htm

2022年2月7日:日本イコモス:神宮外苑の再開発計画の見直しを提言(第一次提言)  「国民の献費と献木、奉仕により創り出された
優れた文化的資産である神宮外苑の未来への継承についての提言
参照:https://icomosjapan.org/
2022年2月7日、8日:毎日新聞『神宮外苑危うし』、東京新聞『歴史の緑、1000本風前』
2022年2月9日:東京都都市計画審議会:再開発を承認。
2022年2月10日:東京新聞『再開発承認、100年の森900本伐採へ』
2022年2月10日~現在:市民団体、署名活動を開始、3月3日現在5万2000人。
2022年3月1日:神宮外苑の歴史的経緯、近代を代表する文化的遺産、樹木は国  
民からの献木等の学術調査を、現地にて説明。
        『一本ずつ歴史、代え利かぬ』(東京新聞3月2日)報道
2022年4月26日:日本イコモス:樹木の伐採を回避し、「近代日本の名作・神宮外苑を再生する提案」  (第二次提言) 参照:https://icomosjapan.org/
2022年10月3日:日本イコモス:「近代日本の公共空間を代表する文化的資産である神宮外苑の保全・継承についての提言」(第三次提言) 参照:https://icomosjapan.org/

日本イコモス第三次提言の内容:7つの提言
「近代日本の公共空間を代表する文化的資産である神宮外苑の保全・継承についての提言」 参照:https://icomosjapan.org/

提言1 国民の貢献により創り出された「神宮外苑」は、国際社会に誇る「近代日本の公共空間を代表する文化的資産」です。永続的保全のために、「名勝」の指定を提言いたします。

提言2 再開発により、約900本にのぼる樹木の伐採が計画されています。新宿区長及び港区区長におかれましては、風致地区条例を遵守し、樹木の保全を、確実に行うことを提言いたします。 

提言3 東京都環境影響評価審議会に事業者が提示したデータは、根拠を確認することのできないものであり、事業者は、明確な説明を国民に対して行うべきです。また、東京都は、市街地再開発事業対象地に限定したエリアの伐採樹木数のみを公開しているため、大幅に伐採本数が減少したとの誤った理解が流布しています。情報の公正・明確な開示をすべきです。

提言4  イチョウの直近に野球場、商業施設等が建設されることにより、「いちょう並木」は存亡の危機に瀕しています。「いちょう並木」の保全について、事業者は、「永続的保全を確約する根拠となるデータ」を明確に提示し、説明責任を果たすことを提言いたします。

提言5 秩父宮ラグビー場の移設計画は、「公園まちづくり制度」の不適切な適用に より、商業的利用の増進により利益追求を目的とするものとなっております。文化的資産と、貴重な自然環境を完膚なきまでに破壊するものであることから、再開発計画を見直すことを提言いたします。 

提言6 日本イコモスは、大量の樹木伐採を回避する具体的提案を、2022年4月に発出しております。これは秩父宮ラグビー場の現地再建を行うことにより可能となります。10万人にのぼる市民の反対運動を真摯に受け止め、外苑の未来を再考していただきたく提言いたします。

提言7 伐採樹木数に関しましては、事業者報告と日本イコモス調査は著しく乖離しております。公明正大な議論を行うために、神宮外苑の現地にて両者立会いのもと、公開で伐採樹木の確認をすることを提言いたします。

 

日本イコモス提案:夢のかけはし(文化的資産の保全、樹木伐採の大幅な回避(伐採2本)