研究

経済学部・佐々木創教授が、韓国・チェジュで開催された国際学会(ISEE)で招聘報告を行いました。

2019年06月18日

本学経済学部・佐々木創教授が、5月21日にInternational Symposium on Electronic Waste and End-of-Life Vehicles (ISEE)(※1)において招聘報告を行いました。

 

2017年末からの中国廃棄物原料輸入規制の影響により、中国に依存してきたリサイクルの在り方の見直しが世界中で課題となっています。特にタイ、ベトナム、マレーシアなどのアジア新興国は、中国廃棄物原料輸入規制により自国で発生した廃プラスチックの輸出先を失ったと同時に、日本や欧米など先進国からの輸入も急増したため、2018年中頃から各国政府は喫緊の対応を迫られることになっています。また、海洋プラスチック問題の主要な排出国としてアジア新興国は国際的な対応も求められています(※2)。

 

このような背景から企画された特別セッション “Plastic and Packaging Waste”において、佐々木教授は、中国廃棄物原料輸入規制による先進国からの家庭系廃プラスチックの流入の影響を受ける前から、タイは廃プラスチックやE-waste(電子廃棄物)輸入規制を導入していたにもかかわらず、今回の密輸や不適正輸入に対して有効に機能しなかったこと、これらに対する禁輸措置はこれまで適正に廃プラやE-wasteの輸入許可を取得しリサイクルしてきた日系企業の事業機会を奪い、「悪貨は良貨を駆逐する」市場が形成されてしまったこと、などを示した上で、適正な国際資源循環を担保し、廃プラのリサイクルの国際的な需給バランスのミスマッチが解消されることが必要である、と報告しました(※3)。

 

 また、佐々木教授はこの前日の一般セッションで、日本と韓国の廃鉛バッテリーの貿易に関する経済分析についても報告しています(※4)。

 

これらの報告は科学研究費助成事業 若手研究(A)「国際環境ビジネス促進策に資する環境サービス貿易定量評価手法の開発(17H04722)」及び基盤研究(B) 16H05687「自動車リサイクルの国際比較(東・東南アジア圏、欧州圏、北中米圏を対象として)」(研究代表:外川健一)による成果の一部です。

 

※1 http://www.isee.or.kr/programs/speakers.asp

※2 https://www.chuo-u.ac.jp/research/news/2019/06/43904/ 

※3 (DOI: 10.13140/RG.2.2.22047.00164)で発表資料を公開

※4 (DOI: 10.13140/RG.2.2.15336.11529)で発表資料を公開