理工学研究所

Prof. Michael J. CHETCUTI(University of Strasbourg, France)による国際交流・公開研究セミナー を開催しました

2019年12月23日

Prof. Michael J. Chetcuti(University of Strasbourg, France)に、N-ヘテロ環カルベン(NHC)に関してご講演いただきました。


国際交流・公開研究セミナー "Nickel Complexes with N-Heterocyclic Carbene Ligands: Chemistry and Homogeneous Catalytic Reactions"

【日 時】2019年12月19日(木)16:00-18:00
【場 所】中央大学後楽園キャンパス 5号館1階5133号室
【講演者】Prof. Michael J. Chetcuti(University of Strasbourg, France)
【主 催】中央大学理工学研究所(担当:理工学部応用化学科 石井洋一教授)


【概 要】N-ヘテロ環カルベン(NHC)は、その金属錯体がさまざまな合成反応の触媒として利用できることから、近年注目を集めている。本講演では、NHCを利用することのメリットやNHC配位子の特徴を解説した後、主にNi-Cp錯体系にNHCを組み合わせた有機金属種に焦点を当て、その合成、触媒反応への利用、それらNi錯体上での特色ある反応について解説した。NHCは合成が容易で、さまざまな構造のものを作ることができることから、カリックスアレーンなどの特色あるペンダント基をNi錯体に組み合わせることが可能である。また、Ni-Cp-NHC系の錯体は、極めて高い触媒活性をクロスカップリング等の反応において示すことが明らかにされた。さらに、これらのNi錯体上ではニトリルやケトンのα-CHの酸性が顕著に高まり、容易に脱プロトン化が進行するとともに、C-配位のエノラート錯体へと異性化が進行し、特徴的な生成物が得られた。これらの反応はNiを用いた有機金属触媒反応の展開として大変興味深いものである。講演後の質疑では、大学院学生からも質問が出るなど、大変活発な議論が行われた。