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2019年05月21日

理工学部教授 不破 春彦:欧州総合化学誌にVIP “Very Important Paper”として掲載

 理工学部応用化学科教授 不破春彦が、東北大学、高知大学および慶應義塾大学と連携した共同研究の成果が、欧州総合化学誌Chemistry – A European JournalにVIP “Very Important Paper”として掲載され、あわせてカバーピクチャーに選ばれました。

 大環状ラクトン骨格をもつ化合物はマクロリドと呼ばれ、これまで感染症治療薬や抗悪性腫瘍薬として人類の健康の維持・増進に役立ってきました。イリオモテオリド-2aは、沖縄県西表島沿岸の海底砂泥に生息する渦鞭毛藻Amphidinum種HYA024株の培養液から、高知大学のグループにより単離された新しいマクロリド天然物です。本天然物は数種の培養ヒトがん細胞に対し強力な細胞毒性を示すほか、担癌マウスの腫瘍縮小効果が報告されていました。本研究では、イリオモテオリド-2aの完全化学合成(全合成)を初めて達成するとともに、有機合成化学およびNMR解析にもとづいて全立体構造を正しく決定することに成功しました。一方、全合成で取得した合成品が天然標品で見られた細胞毒性を再現しなかったことから、イリオモテオリド-2aの生物活性は再検討の必要があることを明らかにしました。

 本研究成果は、天然物の構造決定および生物活性の確認において、有機合成化学が果たす基礎的な意義を強調するものです。本論文は、二名の論文審査員がともに“very important”と評価したことから、VIP “Very Important Paper”として採択されました。VIPに選定されるのは投稿された全論文の上位5%未満です。

 本研究成果は、科学研究費助成事業(文部科学省)新学術領域研究「天然物ケミカルバイオロジー」(平成23〜27年度)、基盤研究(C)および住友財団基礎科学研究助成の支援を受けて得られたものです。

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