理工学研究所
第29回学術シンポジウム 「コグニティブダイバーシティの総合的研究」
研究の目的
意思決定や行動に現れる「人」の感性の多様性は、柔軟で活気ある社会の重要な基盤であるとともにイノベーションの原動力である。Society5.0では、QOL (Quality of Human Life) の向上、即ち、個々人の「なりたい自分、目標の姿」の実現とそれによる社会参加の促進が求められる。また同時に、感性の多様性に基づく知的活動の変化を柔軟に受容しつつ持続的な成長を続ける社会環境の構築が必要である。「人」は個人かつコミュニティの一員として、変化する状況(TPO)の中で多様な役割と目的をもって意思決定し行動する。これを「生活文脈とその多様性」と呼ぶ。生活文脈は多重かつ並行的に進むと考えられるが、現状、生活文脈の多様性・多重性に対応した意思決定支援は不十分である。また、個々人を区別しないIoTやビッグデータ解析では、個々人がもつ感性の多様性への対応も不十分である。更に、個々人の感性の多様性、知的活動の多様化に伴い変化する個人規範に対し、社会規範、法、政策決定はどうあるべきかを統合的に議論した研究はない。意思決定や行動に現れる「人」の感性の多様性を起点に、価値観やライフスタイル、社会的規範、政策、文化などの様々な面に現れる多様性(ダイバーシティ)にインターディシプリナリーかつトランスディシプリナリーにアプローチし、Society 5.0をリードする概念・方法論・社会実装のあり方を明らかにする必要がある。
これらを踏まえ、本学術シンポジウムでは以下の3つの柱となるテーマを設定し、感性工学、法学、心理学、経済学、データ科学など異分野の研究者の協力の下、研究を推進する。
①多様な考えを柔軟に取り入れることのできる社会性や人・組織の発達に資する研究
②非日常的空間における共存・共生の在り方を追求する研究
③多様性重視社会における「個」のあり方を追求する研究
キーワード
感性情報学、多様性の相互理解、感性の多様性、価値観の多様性、行動の多様性、規範の多様性、生活における文脈、サイバーフィジカル、サイバーバイオメトリック、Society 5.0、行動科学、ナッジ、Quality of Human Life (QOL:人生の質)、規範、SDGs
研究実績
2022年3月22日2021年度第1回シンポジウム開催
https://www.chuo-u.ac.jp/research/news/2022/06/61143/
2022年6月29日2022年度第1回小シンポジウム(セミナー形式)
テーマ「文化心理学と認知多様性」
開催形態:対面およびオンライン ※学外公開なし
登壇者:浜村武 カーティン大学Faculty of Health Sciences准教授
新妻実保子 理工学部教授
ファシリテーター:加藤俊一 理工学部教授
2022年10月25日2022年度第2回小シンポジウム
テーマ「ドイツと日本のコミュニティにおける高齢者のインクルージョン〜市民参加と新型コロナウイルス感染症の影響〜」
主催:ドイツ日本研究所 共催:中央大学理工学研究所
会場:中央大学後楽園キャンパス 6701号室
プログラム:
開会挨拶
加藤俊一理工学部教授、髙橋陽子(日本フィランソロピー協会理事長・ベルリン日独センター評議員)、ローター・メニケン (ドイツ連邦共和国大使館参事官) 手倉森一郎(内閣府参事官)、進行:工藤裕子法学部教授
「市民参加と社会包摂」
コルネリア・クリヘルドルフ(元フライブルク・カトリック大学教授) ゲルト・ネゲレー(元ドルトムント工科大学社会学部教授) 松田智生(三菱総合研究所主席研究員) 藤田依久子(山陽学園大学総合人間学部准教授) 司会:フランツ・ヴァルデンベルガー(ドイツ日本研究所所長)
「新型コロナウイルス感染症から学んだ教訓」
マルティーナー・ブラント(ドルトムント工科大学社会学部教授) ヒルデガルト・テオバルト(フェヒタ大学組織ジェロントロジー所長) 岡田憲夫(元京都大学教授・関西学院大学災害復興制度研究所顧問) 長谷川敏彦(未来医療研究機構代表理事) 司会:工藤裕子法学部教授
閉会挨拶 フランツ・ヴァルデンベルガー(ドイツ日本研究所所長)
2023年3月22日2022年度第3回小シンポジウム
https://www.chuo-u.ac.jp/aboutus/communication/press/2023/03/65108/
2023年6月14日、16日2023年度第1回小シンポジウム(セミナー形式)
https://www.chuo-u.ac.jp/international/globalization/news/2023/08/75559/
2023年10月5日、6日2023年度第2回小シンポジウム(中央大学・ハワイ大学合同国際シンポジウム)
https://www.chuo-u.ac.jp/research/news/2023/10/68192/
2023年11月7日2023年度第3回小シンポジウム(セミナー形式)
https://www.chuo-u.ac.jp/international/globalization/news/2023/12/75751/
2024年1月12日総括シンポジウム
https://www.chuo-u.ac.jp/research/news/2024/01/69694/
研究代表者
中央大学理工学部教授: 加藤 俊一 研究者情報
中央大学学術シンポジウムについて
中央大学学術シンポジウムは、本学附置の研究所における共同研究の成果をシンポジウムにおいて市民や研究者に公表するという目的で、学長主催のもと1980年にスタートしました。第29回のテーマは「コグニティブダイバーシティの総合的研究」で、2020年4月から4年間の研究プロジェクトを理工学研究所が担当しました。