研究開発機構

研究開発機構 福岡ユニット:土木学会賞 技術賞Ⅰを受賞しました

2015年06月23日

研究開発機構 福岡ユニット(ユニット責任者:福岡捷二機構教授)が平成27年6月12日の土木学会総会において平成26年度土木学会賞の技術賞Iを受賞しました.

 

「技術賞Ⅰ」
 具体的なプロジェクトに関連して、土木技術の発展に顕著な貢献をなし、社会の発展に寄与したと認められる計画、設計、施工または維持管理等 の画期的な個別技術。(いわゆる「ハード技術」のみならず、情報、マネジメント、ビジネスモデル、制度の導入等の「ソフト技術」についても対象とする。

 

「受賞理由」

急流河川における治水と環境の調和した新たな河岸防護技術(巨石付き盛土砂州を用いた河岸防護工)

国土交通省 北陸地方整備局

国土交通省 北陸地方整備局 富山河川国道事務所

中央大学研究開発機構 福岡ユニット

 

 常願寺川等の急流河川では、洪水流のエネルギーが大きく、澪筋が不安定であり、河岸の侵食、洗掘による破堤はん濫の危険性が高いため、コンクリート護岸を主体として河岸侵食に対する安全性を向上させてきた。しかし、これらの工法は護岸前面で深掘れ流路が発達し、洪水の主流が堤防から離れず、河岸侵食が堤防まで到達する危険性を高めるという課題があった。

 このため、常願寺川をフィールドとして現地実験及び現地試験施工の実施により、石礫河川の河床変動機構や護岸全面で深掘れ流路が発達するメカニズムを解明し、急流河川の自然特性や河床材料を最大限に活かした河岸防護技術「巨石付き盛土砂州を用いた河岸防護工」を開発した。

 本工法は、河岸沿いの砂州上流端の水衝部に河道で生産される巨石を配し、巨石と砂州を一体とした連続した水制のように水流をはねることにより、洪水流を滑らかに河道中央に導き、それにより河岸を洗掘・侵食から防護するとともに、河岸防護工前面の水あたり部に配置される巨石の重量とかみ合わせ効果で洗掘を抑え、砂州を保全・回復する自然性の高い技術である。さらにこの工法を手引きとして取りまとめ公表している。

 開発された工法は、急流河川における治水と環境の調和した新たな河岸防護技術であり、さらに手引きを用いて、他河川でも本工法を実施することが可能であることから、土木技術の発展と広く社会へ貢献するものとして高く評価され、技術賞に値するものとして認められた。