災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト

特別講演「港湾管理について考える―港湾法、港湾施策のこれまでとこれから―」を開催しました

2018年07月23日

 本公開講座は、「文部科学省:私立大学研究ブランディング事業災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト」の一環として開催されました。

【日時】2018年7月21日(土)13:00-16:00
【主催】中央大学理工学部都市環境学科 有川太郎研究室/災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト
 

講演1「日本と海とみなと(港湾序論)―知ってほしい10のみなとの知識―」小和田 亮 氏(中央大学研究開発機構客員研究員(機構教授)、元 独立行政法人港湾空港技術研究所理事長)

 港湾に関する基本的な知識について,10個を代表的にとりあげて説明いただきました。
1)島国日本、島嶼国日本の海
2)港湾と漁港
3)港湾の管理と国
4)小樽築港と広井勇博士
5)“天然の良港„と港湾の整備
6)貿易立国日本と港湾
7)日本と世界の大港湾
8)“一国の経済は、その国の港湾を超えることはできない。”
9)国民1人25トン
10)防災と港湾
 また、番外編として,“想定外”という言葉について講義いただきました。

 

講演2「近世日本における港湾制度」木阪 恒彦 氏(元 運輸省港湾技術研究所計画設計部長)

 港湾法ができあがるまでの歴史を主として講演いただきました。江戸時代末期に運上所として設置されたものが明治になって税関となり、近代の港湾は明治4年の太政官布告からはじまり、戦後の港湾法の制定に至るまでの経緯と、そのなかで、PFI(プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ)としての発想があったことや、社会資本というよりも営繕としての役割が強かったことを説明いただきました。

 

講演3「港湾への期待」山根 隆行 氏(特定非営利活動法人 港湾保安対策機構 理事長、元 国土技術政策総合研究所副所長)

 近年における港湾の役割と、最近の港湾政策および港湾計画について、主として説明いただきました。そのなかで、港湾に対して関心を持つことは、「日本」の置かれた現状、世界及び国内の状況変化、将来に向けて持続可能な「国づくり」に関心を持つことと同じであると主張されました。

 また、クイズ形式で港湾にまつわる数字を説明しながら、言葉の定義の大切さを講義し、さらに「物事」にける「物」と「事」の意味から港湾の役割を説明いただきました。

 

参加者アンケートおよび感想

 本公開講座は、「文部科学省:私立大学研究ブランディング事業」の趣旨の一つである「教育への還元」に基づき、中央大学理工学部都市環境学科の学生の参加を得て、アンケートおよび感想が学生から寄せられました。

 

学生の感想(例)

 

A) 港湾の魅力が長い時間に渡って聞けて、貴重な体験でした。私自身、東京都庁に務めたいと思っていて、港湾局に配属になる可能性もあるので、今日の特別講義で聞いた内容を頭に入れて活かしていけたらと思います。

 

B) 講演会では港湾について、国内と国外の状況を対照しながら行われて来た。山根先生の講義は主にクイズという形で、すべての選択肢が意味を持つなが印象だった。「物」+「事」=「物事」という考えか新しかったが意味深いです。

 

C) 小和田さんがおっしゃった「港湾こそが、国の経済を握っている」という一言が面白いと思いました。これは、港湾の背景には都市・地域があり、これらを守っているのは港湾であるということで、見方はこれまで私にはありませんでした。しかしこれを言うためには、災害時に堤防など街を守る役割とするものが、壊れないことが前提であるということにもまた難しさを感じました。

 

D) 港湾の定義から教えてもらったことで、港湾が何かということが分かったと同時に、自分が港湾を何も知らないことが分かった。それぞれの講演者の方の説明により、港湾を色々な角度から港湾の勉強することができた。