災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト

災害適応科学プラットフォーム国際シンポジウムを開催しました。

2018年04月16日

 3月27日(火)に本学後楽園キャンパスにて、「災害適応科学プラットフォーム国際シンポジウム」を開催しました。

 このシンポジウムは、文部科学省私立大学研究ブランディング事業に選定された「災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト(通称)」のキックオフシンポジウムとして開催したものです。

 今回のシンポジウムでは、水災害対策を研究する国内外の研究者が集まり、各国における水災害対策の事例や知見を披露することで、「災害に適応する」 ための今後の展望と課題、対応する科学技術の可能性を探る機会となりました。

シンポジウムレポート

       加藤 俊一 研究推進支援本部長

まず、シンポジウムの開催に先立ち、加藤俊一研究推進支援本部長より、開会の挨拶として、参加者への謝辞および「災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクト」の展望を述べました。

つづいてご来賓として、沖村憲樹氏(科学技術振興機構中国総合研究交流センター上席フェロ―/さくらサイエンス交流事業推進室長)、廣瀬昌由氏(内閣府政策統括官(防災担当)付参事官)よりご挨拶をいただき、それぞれのご経験から、災害に対する取り組みのご紹介いただき、また本プロジェクトへの期待をお寄せいただきました。

 基調講演では、首藤伸夫先生(東北大学・名誉教授)にご講演いただきました。

 日本また世界における津波災害とその対策事例を交えながら、津波対策の変遷をご紹介いただき、今後の津波対策へ貴重なご提言をいただきました。特に、本プロジェクトで構築していく「災害適応科学プラットフォーム」をどう社会へ伝えていくか、という核心的な問いをお示しいただき、本プロジェクトが向き合うべき課題を示唆していただきました。

 本プロジェクトでは、水災害という世界的な課題に対し、水災害対策に関する国際的なネットワークを構築し、各国の実情を踏まえた防災・減災設計を実現するためのプラットフォーム開発を目指しています。

 本シンポジウムでは、トルコよりAhmet. C Yalciner先生(Middle East Technical University)、モロッコよりDriss Ouazar先生(Mohamad VI Polytechnic University)、シンガポールよりPhilip L-F. Liu先生、チリよりPatricio Wincker Grez先生の4名の研究者をお招きし、それぞれの水災害対策の事例と知見をご発表いただきました。

 

 また、本プロジェクトで開発するプラットフォームでは、豪雨・高潮・津波時における浸水データや構造物の脆弱性や人の災害時の行動データといったものに加え、まちづくりに関する法律や訴訟の判例データや人口予測に関するデータも集積し、都市デザインに資する情報を総合的プラットフォームとして構築することを目指しています。

 そのためにも総合大学として本学の強みを十分に生かし、人文社会系と理工系の研究を融合した学際的な研究プロジェクトとして、本プロジェクトを実行していきます。

 本シンポジウムでは、和田光平教授(経済学部)、山田正教授(理工学部)が、災害適応というテーマを軸にそれぞれの知見を発表しました。

 

 各講演の後、本プロジェクト代表者である有川太郎教授(理工学部)より、災害適応科学プラットフォーム開発プロジェクトの主旨および展望について説明しました。また、本プロジェクトを象徴するロゴを紹介し、「自然災害に適応する術を世界中の人たちと一緒に考え、災害で人命が失われないような世界を目指したい」という本プロジェクトの核となる思いを述べました。

       樫山 和男 理工学部長・研究科委員長

最後に、樫山和男理工学部長・理工学研究科委員長より、閉会の挨拶として、本学における水理研究の取り組みを紹介するとともに、改めて講演者・参加者への謝辞を述べ、今後の本プロジェクトへの協力・提言を求めました。

 なお、シンポジウム終了後、実験施設「沿岸防災再現水槽」「沿岸防災VRシステム」を公開し、実験の様子をご覧いただきました。

なお、本シンポジウムの各講演については、後日、動画を公開する予定です。