保健体育研究所

知的障がい者・精神障がい者スポーツ研究班

2025年度研究計画概要

競技性の高い障がい者スポーツと日常行われる障がい者スポーツの現状について調査をし、障害者スポーツの頂点と裾野の融合を図るための方策を検討することを目的とする。2025年度は、2024年夏に行われたパリ・パラリンピックに関係したフランスの障害者スポーツ機関を訪問し、いわゆる「レガシー」として今後の競技性の高い知的障がい者スポーツを発展させていくための方策を考える一助とする。一方、障害者スポーツの裾野については、長年地域で知的障がい者スポーツに取り組んでいる特別支援学校(大阪)とスポーツクラブ(沖縄)の当事者の生活調査を行い、スポーツの日常生活の取り入れの可能性を探る。

過年度研究活動報告

2024年度研究活動報告

1.研究概要
本研究班では,競技性の高い知的障がい者・精神障がい者スポーツの現状調査と将来に向けた活動を支援するための科学的研究を行っている。生理学,心理学,医学,社会学,情報 科学など幅広い科学分野をベースとして,スポーツ,身体活動,リラクゼーション,余暇活動などが,障がい者のみならず一般人の広い意味での健康に関与する可能性について研究をしていく。

2.研究活動報告
2-1.高度行動障害はスポーツによって症状改善が図れるか?(高度行動障害とは…自傷他害行動の他,強迫,多動,偏食,睡眠障害なども含み,通常対応は困難であ る)米国ボストン東スクールを訪問調査した。 調査日:2024年 4 月 2 日~ 3 日
出張者:宮崎伸一,斎藤利之
調査内容:米国ボストン東スクールは自閉症児のための教育機関であるが,高度行動障害児を積極的に受け入れている.同校の取り組みを視察し,米国の特別支援教 育の制度の中で,高度行動障害をどのように実践しているのかを同校の教職員から直接ヒアリングを行った。調査結果は世界各国の特別教育を比較するための基礎資料となった。また,今後はスポーツが高度行動障害を改善する可能性を探る予定である。
2-2.特別支援学校の生徒および卒業生を対象として,スポーツ活動が知的障がい者の心理面への影響を調査する。
今年度は予備調査として,障がい者の日常生活とスポーツ活動についての現状把握を行った。
訪問先:大阪府立八尾支援学校(2025年 3 月16日~18日 出張者 宮崎伸一)
沖縄県琉球スポーツサポート(2025年 3 月29日~31日 出張者 宮崎伸一)
2-3.論文発表
斎藤利之,宮崎伸一「特別支援学校における知的障がい児の性教育の現状に関する研究:教材開発にむけて」,中央大学保健体育研究所紀要,第42号 pp. 1-19, 発行日 2024-09-30谷口広明,斎藤利之,宮崎伸一「1970年代以降の英国におけるインクルーシブ教育の歴史と現状」,中央大学保健体育研究所紀要,第42号 pp. 21-29,発行日 2024-09-3