保健体育研究所

知的障がい者・精神障がい者スポーツ研究班

研究班概要

本研究班では、競技性の高い知的障がい者・精神障がい者スポーツの現状調査と将来に向けた活動を支援するための科学的研究を行っている。生理学、心理学、医学、社会学、情報科学など幅広い科学分野をベースとして、スポーツ、身体活動、リラクゼーション、余暇活動などが、障がい者のみならず一般人の広い意味での健康に関与する可能性について研究をしていく。

2023年度研究計画概要

(課題)睡眠が知的障害スポーツ選手のパフォーマンスに与える影響
(目的)時差を伴う海外への遠征時の睡眠覚醒リズムを調査し、競技パフォーマンスを高めるための睡眠の方法を知る。
(方法)睡眠覚醒リズムは、装着型デバイスを用いて客観的に測定し、競技パフォーマンスは覚醒度(PVT)、疲労度(VAS)を指標とする。通常生活時をベースラインとして、海外遠征時と比較する。

過年度研究活動報告

2022年度

①研究テーマ1:自律神経活動からみたマインドフルネス呼吸法とヨーガ療法の効果
活動期間:前年度より継続中
目的:マインドフルネス呼吸法とヨーガ療法(以下両者合わせて「療法」)の効果を、自律神経活動の測定により客観的に評価する。
測定場所:中央大学多摩キャンパス2号館8階会議室
被験者:本学学生ボランティア21名
検査方法:療法施行前の心理検査(web)と自律神経活動の測定(動画をみながら指示に従う。その間の自律神経活動を測定)。その後8週間で療法を毎日行い、8週後に心理検査と測定を行い、療法の効果をみる。)
現在、測定データの解析中。自律神経活動の専門家である榛葉俊一博士(静岡済生会病院医師)と測定データについてディスカッションをした(2023年2月28日、同院にて)。
研究者:宮崎伸一,井上智子,劉双語

②研究テーマ2:知的障がい者の生活等状況調査
日時:継続調査(2020年7月~)
対象者:知的障害を持つバスケットボール選手(日本代表レベルの男女各10数名)
調査方法:①質問項目にオンラインで毎日回答してもらう。
②活動量計による睡眠調査を行う。必要に応じ、選手およびその指導者に直接デバイスの使用方法を説明して装着してもらう。今年度は愛知県の指導者に現地で説明した(2022年10月30日、名古屋)。
継続研究であり、次年度は海外遠征中の睡眠等の調査をする予定。
研究者:宮崎伸一

③研究テーマ3:競技性の高い知的障害スポーツの現状調査
日時:①日本知的障害者スキー大会(2023年2月17日~2月19日、札幌)
②日本知的障害者バスケットボール大会(2023年3月24日~3月26日、新潟)
対象者:知的障害を持つスキー選手、バスケットボール選手(日本代表レベルの男女)
調査方法:大会の視察、主催者、選手へのインタビュー
今後も主要な知的障害者スポーツの活動を調査する予定。
研究者:宮崎伸一(①および②),山口聖子(②)

2021年度

テーマ:自律神経活動からみたマインドフルネス呼吸法とヨーガ療法の効果
活動期間:2021年10月開始、継続中
目的:マインドフルネス呼吸法とヨーガ療法の効果について自律神経活動を測定することで客観的に評価する。
測定場所:中央大学多摩キャンパス2号館8階会議室
被験者:本学学生ボランティア9名
測定方法:動画をみながら指示に従う。その間の自律神経活動を測定。その後8週間マインドフルネス呼吸法またはヨーガ療法を自宅で行い、8週後に再測定。
研究者:宮崎伸一、井上智子、西川真帆、劉双語

2.現地調査
日 時:2020年7月~(オンラインにて継続中)
テーマ:知的障がい者バスケットボール選手の生活等状況調査
対象者:知的障害を持つバスケットボール選手
調査者:宮崎伸一

2020年度

知的障がい者バスケットボールおよびスキー選手の生活等状況調査をon lineおよび研究出張にて調査した。
調査期間 2020年7月~(オンラインにて継続中)
研究出張 2020年11月6日~11月8日 福岡市(対象:バスケットボール選手,出張者:宮崎伸一)

2019年度

【論文掲載】

1)宮崎伸一、斎藤利之「英国における知的障害者の支援-スポーツと性教育の視点から-」中央大学保健体育研究所紀要37号(2019)45-52

2)宮崎伸一、斎藤利之、谷口広明「豪州における知的障害者の支援-スポーツと性教育の視点から-」中央大学保健体育研究所紀要37号(2019)53-58

2019年4月より、主査宮崎伸一がスタンフォード大学医学部にて在外研究(テーマは睡眠に関する基礎的研究)を開始した。