保健体育研究所

身体運動研究班

研究班概要

本研究班は1992年に古武道研究班として結成された。東洋独自の身体技法に幅広く注目し、その現代的意義を問うため、歴史研究や科学的検証など幅広いアプローチから研究成果を発表してきた。2020年、構成研究員の変化に伴い、それぞれの専門分野を包含した名称として現在の身体運動文化研究班に改称した。研究内容としては、従来の東洋身体技法に関する研究に加え、日本の近代体育史に関する研究や身体運動の価値評価(特に芸術評価)に関する哲学的・社会学的研究などを加え、それぞれの研究員を中心に活発な共同研究を展開している。

2023年度研究計画概要

① 中国伝統太極拳に関する研究(理論・技術・指導方法)

② 近代武道(主に空手)に関する研究(歴史および武道論)

③ 太極拳の健康効果に関する研究(生理学的アプローチ並びに文献レビュー)

④ 古武道の理論・実技に関する研究(理論・技術)

⑤ 呼吸法・気・気功・ヨーガに関する学祭的研究(理論・技術・効果測定)

⑥ 身体運動の価値評価(美や強さ)に関する研究(哲学的・社会学的アプローチ)

⑦ 近代体育史に関する研究(テーマ:寺田勇吉)

⑧ 登山に関する研究

過年度研究活動報告

2022年度

該当期間については、新型コロナウイルスの影響により、必ずしも予定していた研究活動を十分に実施することができず、幾つかのテーマについては各自が研究準備を実施するにとどまっている。
その中での成果として、テーマ②の派生課題についての論文が刊行され、テーマ③について、2021年に刊行した論文の内容を関連機関誌で紹介した。
一方、テーマ⑥について、実践的研究として実際の審判活動に従事しながら、最新の状況把握と現場への適用についての調査研究・適切な運用についての検討を行った。また、テーマ⑧に関して、研究準備として各種出張を実施し、情報収集を進めながら研究の土台構築を進めている。

■国内調査

【テーマ:身体運動の価値評価に関する研究関連】
浦谷は(公財)日本体操協会審判委員会新体操審判部員として以下の大会での審判・講師活動に従事するとともに、テーマ「身体運動の価値評価に関する研究]に関する調査・検討を行った。

日程 内容
① 2022年4月14日~4月16日
② 2022年5月7日
③ 2022年5月13日~5月15日
④ 2022年5月19日~5月22日
⑤ 2022年8月25日~8月28日
⑥ 2022年9月17日~9月19日
⑦ 2022年10月26日~10月30日
⑧ 2022年11月17日~11月20日
⑨ 2023年2月20日
⑩ 2023年3月7日
2022新体操日本代表選考会(高崎アリーナ) 審判
ユースチャンピオンシップ・東インカレ オンライン審判研修会 講習担当
第55回東日本学生新体操選手権大会(高崎アリーナ) 審判
第20回全日本新体操ユースチャンピオンシップ(東京体育館) 審判
第74回全日本学生新体操選手権大会(宮城県白石市文化体育活動センター) 審判
第77回国民体育大会(栃木県立県南体育館) 審判
第75回全日本新体操選手権大会(高崎アリーナ) 審判
第40回全日本ジュニア新体操選手権大会(高崎アリーナ) 審判
新体操コントロールシリーズ1:日本代表選考会(東京女子体育大学) 審判
新体操コントロールシリーズ2:日本代表選考会(町田市立総合体育館) 審判

【テーマ:登山に関する研究関連】

日程 内容
① 2022年6月25日~6月26日 日本山岳会関西支部主催第7回ヒマラヤ登山塾「五大宝蔵カンチェンジュンガ縦走」(講演者:重廣恒夫、6/25)に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。
② 2022年7月24日 日本山岳会関西支部主催第8回ヒマラヤ登山塾「極地法とアルパインスタイルの山 マッシャブルム~ブロードピーク」(講演者:重廣恒夫)に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。
③ 2022年9月23日~9月25日 日本山岳会関西支部主催第10回ヒマラヤ登山塾「日中国交回復20周年の山ナムチャバルワ」(講演者:重廣恒夫、9/23)ならびに第30回藤木祭(9/25)に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。
④ 2023年1月29日 日本山岳会関西支部主催第12回ヒマラヤ登山塾「関西支部の山ナンガマリⅡ峰」(講演者:重廣恒夫)に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。
⑤ 2023年3月25日~3月26日 日本山岳会関西支部主催第14回ヒマラヤ登山塾「第2回グレート・ヒマラヤ・トラバース」(講演者:重廣恒夫、3/26)に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。
■研究成果

① 学会発表
特になし。

② 論文発表
中谷康司 武道における「礼に始まり、礼に終わる」の発生と受容ならびにその解釈. 中央大学保健体育研究所紀要 40, 23-38, 2022.6.30.

③ 解説・コラムなど執筆
中谷康司 -健康と太極拳- 太極拳の実施と主観的幸福感. 武術太極拳 397, 14-15, 2023.3.10.

■学会出張

会議名:日本体育・スポーツ哲学会第44回大会
主催:日本体育・スポーツ哲学会
日時:2022年8月20日~8月21日
会場:兵庫県学校厚生会館
参加者:浦谷郁子

2021年度

■国内調査

①日程:2021年11月11日~14日(研究所予算)
日本山岳会越後支部管理の藤島蔵書に中谷が出張し、調査・取材を実施した。

■国内調査(研究会)

①主催:日本山岳会関西支部
テーマ:第2回ヒマラヤ登山塾「世界最高峰エベレストの登山の歴史」
日程:2021年11月27日~28日(私費)
講演者:重廣恒夫
※11月28日に参加するとともに、関係者への取材を行った。

②主催:日本山岳会関西支部
テーマ:第3回ヒマラヤ登山塾「世界で一番美しい双耳峰ナンダ・デヴィ」
日程:2021年12月26日(私費)
講演者:重廣恒夫
※12月26日に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。

③主催:日本山岳会関西支部
テーマ:第4回ヒマラヤ登山塾「白き氷河の果ての山K2」
日程:2022年1月29日~30日(研究所予算)
講演者:重廣恒夫
※1月30日に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。

④主催:日本山岳会関西支部
テーマ:第5回ヒマラヤ登山塾「ヒマラヤ鉄の時代 ラトックⅠ峰」
日程:2022年2月26日~27日(研究所予算)
講演者:重廣恒夫
※2月27日に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。

⑤主催:日本山岳会関西支部
テーマ:第6回ヒマラヤ登山塾「第2次大戦後初開放のチョモランマ北壁」
日程:2022年3月19日~21日(研究所予算)
講演者:重廣恒夫
※3月20日に中谷が参加するとともに、関係者への取材を行った。

■研究成果

①学会発表
主催:日本体育・スポーツ哲学会第43回大会
テーマ:採点競技における「質」と芸術の関係
日程:2021年8月29日
開催方法:オンライン開催
参加者:浦谷郁子

②論文発表
投稿誌:「中央大学保健体育研究所紀要」 第39号, 35p-50p.
テーマ:「中高年層における太極拳実践者の主観的幸福感」
執筆者:中谷康司、青木清隆、宮本知次、赤羽悟美 
刊行日:2021年6月

投稿誌:「中央大学保健体育研究所紀要」 第40号
テーマ:武道における「礼に始まり、礼に終わる」の発生と受容ならびにその解釈
執筆者:中谷康司 

■学会出張

①主催:日本体育・スポーツ哲学会
会議名:日本体育・スポーツ哲学会第43回大会
日時:2021年8月28日~29日
会場:オンライン
参加者:浦谷

②主 催:日本養生学会
会議名:日本養生学会第23回大会
日時:2022年3月5日
会場:オンライン
参加者:中谷(大会実行委員)

2020年度

【研究活動概要】
本研究班は、6月3日(水)開催の第1回研究員会・運営委員会において承認された名称変更に基づき、「古武道研究班」から「身体運動文化研究班」へ名称変更した。
本研究班では、①中国伝統太極拳に関する研究、②空手道の近代化に関する研究、③太極拳の健康効果に関する研究、④古武道の理論・実技に関する研究、⑤呼吸法・気・気功に関する学際的研究、⑥身体運動の価値評価に関する研究を現在の主要テーマとしている。
該当期間については、新型コロナウイルスの影響により、本来、予定していた研究活動を十分に実施することができなかった。しかしながら、テーマ③については、中谷を中心に保健体育研究所紀要39号へ以下の原著論文を投稿し、掲載が採択された。
中谷康司・青木清隆・宮本知次・赤羽悟美(2021)「中高年層における太極拳実践者の主観的幸福感」 中央大学保健体育研究所紀要, 39: 35-50
また、名称変更に伴い、新たにテーマに加える予定である体育史に関する研究について青木が下記の原著論文を発表した。
青木清隆(2021)「 明治期・大正期における寺田勇吉の学校体育振興活動に関する研究(1) 口述と著述による学校体育改革に対する啓蒙活動について」 体育研究, 55: 1-41

【研究会・出張等の実施】

日程 内容
11月14~15日  日本体育・スポーツ哲学会第42回大会(オンライン)に浦谷が参加した。
3月6日 日本養生学会第22回大会(オンライン)の大会実行委員を中谷が務め、大会を運営した。

※本年度は新型コロナウイルスの影響で、上記のオンライン上での学会参加以外、研究会・出張は実施しておらず、必要な情報交換・論文準備については主にメールを通じて実施した。

2019年度

【研究活動報告】
古武道研究班では、①中国で失われようとしている伝統太極拳の技法、哲理や指導体系の研究・保存、②空手道の近代化に関する研究、③太極拳の健康効果に関する研究、④古武道の理論・実技に関する研究、⑤呼吸法に関する研究を現在の主要テーマとしている。
テーマ①について、継続して調査・取材を実施している。テーマ②について、「空手道の競技化の歩み」についても資料収集を実施している。テーマ③について、新たな実験プロトコルの可能性を検討している。テーマ④について、引き続き「土佐英信流」に着目して、その術理について検討を行っている。テーマ⑤について、高所において有効な呼吸法について測定を実施しながら検討を行った。
また、これまでの研究成果などを踏まえて、青木、中谷、浦谷が中央大学保健体育研究所編『健康スポーツ50講』において、それぞれ担当項目について執筆した。

【研究会・出張等の実施】

日程 内容
3月9日~10日 :日本養生学会第20回大会(日本女子体育大学)において中谷が大会実行委員を務め、参加するとともに、一般研究発表の座長も務めた。
8月31日~9月1日 人体科学会合宿研修の企画を遠藤・宮本(講師)が担当し、照沼も含めて3名が参加した。
9月1日~14日 公益社団法人日本山岳会のエクアドル外交樹立100周年記念登山隊に中谷が帯同し、4,800mの山小屋において極限状態で有効な呼吸法の検討を実施した。
9月17日~18日 日本体育・スポーツ哲学会第41回大会(京都国際会館)に浦谷、中谷、遠藤が参加し、下記の研究発表を実施した。
演題:学生が考えるスポーツの美と芸術の捉え方 ―アンケート調査から―
発表者:浦谷郁子・中谷康司
11月30日~12月1日 人体科学会第29回大会(東海大学清水キャンパス)に宮本、遠藤が参加した。

※研究発表に向けて、研究会を随時開催した(研究員の個人研究室に於いて)。