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2020年03月05日

2020年3月5日(木)公開研究会開催報告 (フランス経済社会研究会)

【日   時】   2020年3月5日(木) 10:00~11:30

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室1

【テーマ】 フランス家族手当の現状と『史的研究』の論点

【報告者】   宮本 悟 研究員(経済学部教授)

【要 旨】

 

 宮本悟研究員より、まず、フランス家族手当制度の歴史と独自性に関する概要説明がなされ、それを踏まえて、フランス家族手当研究に関して社会政策学会で取り上げられている論点の解説が行われた。報告の前半では、家族手当の歴史的展開過程を跡づけた上で、フランス家族給付制度の特徴が指摘された。具体的には、①普遍主義的性格を維持した家族手当(わが国の児童手当に相当)を基礎に据えつつ重層的な給付体系を構築し、②各世帯の多様なニーズにも対応するべく一定の予算を確保しており、③その財政は伝統的に雇主拠出が中心になって支えている、などのフランス的特徴が示された。

 

引き続き後半では、社会政策学会におけるフランス家族手当の研究動向が取り上げられ、若干の論点が紹介された。そのうち、1932年「家族手当法」の適用対象をめぐる論点について、詳細な解説が加えられた。すなわち、同法の適用対象は、「農業労働者以外の賃金労働者」に限定されていたとする見解と、「農業労働者を含む賃金労働者」であったとする見解に分かれているものの、この学問分野における古典的名著を著したDominique CECCALDI、家族政策・都市問題・貧困問題など幅広い研究で著名な社会学者Michel MESSU、社会政策分野を専門とする研究者でパリ第12大学の名誉教授であるMarc de MONTALEMBERTなど、家族手当の歴史に造詣の深い3人のフランス人研究者はいずれも、同法制定時の当面の適用対象に農業労働者は含まれていなかったとの認識で一致していることが詳説されたのであった。

 新型コロナウイルス問題の影響もあり参加者は少なかったものの、活発な質疑応答が行われ、有意義な研究会であった。