経済研究所

2020年1月14日(火)経済研究所・企業研究所 公開研究会 主催: 中央大学経済研究所「アジア経済圏研究会」(幹事 小森谷徳純) 共催: 中央大学企業研究所「社会経済制度の理論研究と実証分析」(主査 江口匡太)

2020年01月14日

2020年1月14日(火) 公開研究会を開催しました。

【日   時】   2020年1月14日(火) 15:00~17:30

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室4

【テーマ】 Financial Frictions and Foreign Direct Investment: Evidence from Japanese    

      Microdata”(Journal of International Economics, 2018)

【報告者】   Michael Ryan 氏(西ミシガン大学教授、日本学術振興会招聘研究者、中央大学客員教授)

【テーマ】 Bonus versus promotion incentives in corporate innovation

【報告者】   山下 直輝 氏(RMIT University Senior Lecturer(主任講師))

【要 旨】

Michael Ryan

ライアン教授が2号館研究所会議室4にて、“Financial Frictions and Foreign Direct Investment: Evidence from Japanese Microdata” (Journal of International Economics, 2018)の報告を行った。経済研究所主催の公開講演会である。経済学部から小森谷准教授、阿部教授、松浦准教授、吉見准教授、商学部から伊藤教授、小野教授、本庄教授、羽田教授、原田教授、山田准教授、田中准教授、学外から山下氏(豪州RMIT大学)が参加し、活発な議論が行われた。貿易論履修者の商学部学部生も大勢聴講した。


ライアン教授の報告の概要は以下の通りである。
Using Japanese microdata for the period 1980 to 2000 we find evidence for two transmission channels from financial shocks to foreign direct investment: a collateral channel, whereby changes in the value of investors' landholdings affect their borrowing ability; and a lending channel, whereby changes in bank health affect banks' lending ability. Decreasing land values by 55% on average from their peak in 1990 to the sample mean reduces the predicted number of investments by 17%. Reducing banks' market-to-book ratios by an average 61% from their high in 1986 to the sample mean lowers predicted investment counts by 21%.

(山下 直輝)

日本企業内の賃金や人事評価制度と、特許出願・取得との関係を分析した研究について、報告していただいた。当研究は、山下氏が一橋大学の神林龍教授と共同で行っているもので、経済産業省の『企業活動基本調査』と厚生労働省の『賃金構造基本調査』を個票レベルで接合し、さらに、日本企業の特許出願・登録情報とを接合したデータベースを作成して分析が行われている。

 

従業員にとって、ボーナスは短期のインセンティブ、昇進は長期のインセンティブと想定し、短期のインセンティブが大きいかまたは長期のインセンティブが大きいかで、従業員が所属する企業の研究開発成果が異なるかどうかを検証している。暫定的な分析結果によると、短期のインセンティブは特許数や特許の質で測った研究開発成果を高める効果が認められた。

 

複数の統計調査を接合することによるサンプル数減少の問題や、短期・長期のインセンティブの計測方法、日本企業におけるボーナス報酬の決定ルールや昇進制度等、セミナー参加者から活発に質問やコメントが寄せられた。分析方法・内容について、セミナー参加者の間で活発な議論が行われた。