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2019年11月20日

2019年11月20日(水)公開研究会開催報告 (非線形経済理論研究会)

【日   時】2019年11月20日(水)16:00~17:30

【場   所】多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室3

【テーマ】連続時間における流動正リスクの単純な銀行モデル

【報告者】青木 慎 客員研究員(東洋大学非常勤講師)

【要 旨】

 

本論は、流動性リスクについて動学的な銀行モデルを扱います。流動性リスクは、預金者が緊急な消費のために銀行から預金を突如引き出すリスクのことです。このリスクの起因は、各預金者が事前では同じ選好関係にありますが、事後ではランダムに選ばれた一部の預金者が緊急に消費を必要とする選好に切り替わる不確実性によって発生します。

本モデルは、先行文献と比較して2つの特徴があります。1つは、離散時間ではなく、連続時間であることです。もう1つの特徴は、動学的に平時のシステムと流動性リスクが起きるシステムに交互に離散時間的に瞬時に切り替わることです。本論は、公衆が確実に知っているケースと不確実に知っているケースに関して、それぞれ最適行動をHJB(Hamilton-Jacobi-Bellman)方程式を使って最適な均衡経路の解を計算しました。

 

この計算の結果、興味深い預金者の行動パターンを示すことができました。システムの確実な切り替えのケースでは、各状態の消費と預金は、一意な定常値になります。先の解を基準にして、システムの不確実な切り替えのケースにおける各状態の消費と預金は、時間を通じて変化をもたらします。まず平時の状態では、預金者は消費を抑えて預金を増やしていきます。次に、流動性リスクの状態に切り替わると、預金者は緊急要因もあり消費を増やして預金を取り崩していきます。

つまり、預金者は不確実な流動性リスクの到来を予想して、予備的な預金行動をすることになります。こうした結論がモデルを通じて数理的に証明できたことは、研究の貢献と言えると本論は考えます。