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2019年11月02日

2019年11月2日(土)経済研究所・大学院経済学研究科合同シンポジウム開催報告 (日中経済比較研究会)

【日   時】   2019年11月2日(土)13:30~16:30

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室4

【テーマ】 「中国経済のいま」

【報告者】 谷口 洋志 研究員(経済学部教授)

         丸川 知雄 氏(東京大学社会科学研究所教授)

         唐 成 研究員(経済学部教授)

         張 誠 氏(首都経済貿易大学金融学院博士後期課程)

【要 旨】

 

高度成長が終焉した中国経済は直面している課題とは何か、どのようにして持続可能成長を維持しようとしているのか。シンポジウムでは、中国経済研究者により、政府、企業及び家計の視点からそれぞれの動向を捉えて、「中国経済のいま]を考えてみた。

 

まず、谷口研究員より「「一帯一路」は債務のわななのか」と題した報告を行った。「一帯一路」構想を打ち出した背景には、中国経済が抱える「過剰生産の問題」、2020年平均所得倍増目標、質の高い成長モデルの転換、リバランシングなどの経済課題と深く関わっていることを明らかにした。次に、「一帯一路」が批判されている「融資国に過剰債務をさせている」を焦点として、実際の債務国の現状を明らかにしたうえで、「債務のわな」仮説は妥当性に欠けていることを8つの論点から検討を行った。

 

次に、東京大学の丸川知雄氏が「華為と中国のイノベーションモデル」と題した報告を行った。丸川氏は長年にわたる華為観察の蓄積を活かしながら、日本企業と比較しつつも華為の企業成長、特に技術開発に焦点を当てた。結論としては、華為自身も認めたように、これまではなにか独創的な製品を生み出したわけではなく、世界でコンセンサスができる技術の発展方向に向かって誰よりも速く疾走し、5G 技術に関しては世界トップの特許を取得している。総じていえば、華為はいわゆる漸進的なイノベーションを得意技としていると結んだ。

最後に唐研究員「中国家計はなぜ債務が急増したのか」と題した報告を行った。中国における家計債務はその伸び率が高く、規模も大きいことや、リーマンショック直前の米国の家計の水準やいまの⽇本に匹敵するほど、急増していることを明らかにした。次に、その急増の要因をめぐって住宅資産価格の急上昇,消費債務が急増加結果、特に中西部、農村部で顕著に現れている消費負債の増加につながっているのではないかと仮説を提起している。

 

最後に、急増する家計債務がもたらす影響について、これまでの研究でわかったことを報告した。