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2019年10月15日

2019年10月15日開催 公開研究会開催報告 (経済政策研究部会)

2019年10月15日(火) 公開研究会を開催しました。

【日   時】   2019年10月15日(火)15:30~17:00

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室2

【テーマ】 医療現場、医療政策にみる神経経済学の可能性

【報告者】 若泉 謙太 氏(Northwestern University, Feinberg School of Medicine Post-doctoral fellow )

【要 旨】

 

今回の報告者である若泉謙太氏(ノースウェスタン大学)は医学博士と経済学修士を修めており、医療現場の様子にも神経経済学にも精通している。そこで同氏には実務の話と研究活動、それらを踏まえ、政策への応用についても報告をしていただいた。本研究は慢性通と時間割引の関係に焦点を当てるものであり、同氏は脳撮像の研究からこの着想を得たという。

 研究戦略は2つの支柱からなっている。まず、健常者と慢性通患者でマッチング・タスクを行い、両者のあいだで時間割引に差がないこと、しかし時間割引と相関する変数は異なることが確認された。

次に、脳が複雑な神経ネットワークを有していることを指摘したうえで、fMRIで計測した脳神経活動に健常者と慢性通患者とで差がないかを検証する。ネットワーク解析・分析の結果、両者で時間割引に関し重要な役割を担う脳部位が異なることが示された。これは前述のとおり、時間割引と相関する変数が両者で異なるためである。各変数と時間割引の相関は因果的にも有意であり、政策への応用の展望についても非常に説得的であった。

 神経経済学という性質上、脳部位や神経物質等の名称が頻出したが、適宜それらの役割の解説、また参加者からの質問に応答しつつ報告していただけた。そのおかげで、研究方法とその結果に曖昧さが残らない有意義な研究会となった。