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2019年10月09日

2019年10月9日開催 公開研究会開催報告 (経済政策研究部会)

2019年10月9日(水) 公開研究会を開催しました。

【テーマ】 A Manifesto for a New Non-Capitalist Market Economy

【報告者】 Carsten Herrmann-Pillath

      (エアフルト大学マックス・ヴェーバー・コレーグ教授)

【日   時】   2019年10月9日(水)17:00~18:30

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室2

【要 旨】

 

冷戦の終焉によって資本主義経済vs.社会主義経済の闘いは資本主義側が勝利したようにみえた。しかし近年では、一見すると資本主義の限界と思われる現象が観察されるようになってきた。とくにリーマンショック以降、アカデミアではトマ・ピケティが『21世紀の資本』で、アカデミア外ではウォール街の「WE ARE THE 99%」のスローガンを掲げた民衆が、ここ日本においても大々的に報道されたことは記憶に新しい。資本主義の限界は、格差の問題だけでなく、保護主義を主張するトランプ大統領の誕生や気候変動への取り組みへの難しさにも見て取れる。

 Carsten Herrmann-Pillath氏には、このような限界に抗する非資本主義市場経済の構想を報告していただいた。本報告は哲学者ヘーゲルの思想、とくに市民社会論に着想を得たもので、人倫的生活(Sittlichleit, ethical life)の観点から新たな市場経済についての展望が語られた。最終的には、そうした市場の支柱となる7つの価値および10個の原則が提示された。資本主義と市場経済の結びつきは必然的でないという指摘、非資本主義市場経済のキーワードとしての「承認」が強く印象に残る報告であった。

 報告に最中にも、参加者から鋭い問いかけがなされたことで、報告に対する参加者全体の理解が深まり、Herrmann-Pillath氏自身も「頭の中が整理された」と明るい表情を浮かべ、独創的なアイディアがさらに洗練される有意義な研究会となった。