経済研究所

2019年9月10日開催 公開研究会開催報告 (「現代政策研究会」、共催「中国政治経済研究部会」)

2019年09月10日

2019年9月10日(火) 西南政法大学経済学院会議室5032室で、公開研究会を開催しました。

時   間   :  9:30~12:00

テーマ   : Exploring New Perspective in Law and Economics: Reconstruction of Sustainable    

     Mechanism in Global Communities

第1部

    ①経済学部田中ゼミの学生
     Issues and Problems in Japanese Globalization、
     An active practice toward sustainable community~Kamiyama, Tokushima prefecture~、
     Tourism supported by local industry
    
    ②日中学生による討論

第2部
    ③ 田中 廣滋 氏による報告

参加者  :  60名

使用言語:   英語(通訳なし)、質疑のみ通訳あり

【要 旨】

 9月9日(月)に東京圏に上陸した台風15号のため交通機関がマヒしたため、航空機に搭乗できないという事態が発生して、この国際シンポジウムへの日本からの予定参加者22名中16名が本シンポに参加できないという異常事態が発生したが、一部の予定報告者の欠席のままで、シンポは実施された。報告の言語は英語で、ただし、質疑には通訳があるという体制がとられた。シンボのキーワードが、グローバル社会と地域社会の持続可能性であったので、日中の参加者の間の現状認識の差を確認するための討論が行われた。討論の材料として、経済学部田中ゼミの学生から、

Issues and Problems in Japanese GlobalizationAn active practice toward sustainable

community~Kamiyama, Tokushima prefecture~、Tourism supported by local industry

3つの報告が実施された。中国の出席者からは、日本で問題にされる少子化も問題が現時点では、深刻な問題をもたらしていないのかという疑問が表明された。襲来の課題に対して、日本人はリスク管理をしようとする姿勢があるのに、中国では、現実問題を処理するのがリスク管理であるという理解があるように感じた。また、ローカル視点とグローバルな接近からの持続可能問題のつながりに関する説明が求められた。この問題は、2つの予定報告が取りやめられたことによってシンポの全体の枠組みが不鮮明になったことが原因の一つになっていると言える。

 

第2部は、田中が上記のテーマの報告をした。

この内容は2019年に、Journal of Global Issues and Solutions とAnnals of Social Sciences and Management Studies に掲載する論文を要約したものであった。その内容は次のように書かれる。デジタル経済のイノベーションの効果を分析するために、消費活動と生産のプロセスを同時に説明する理論が体系化される必要がある。この理論は新制度学派の理論をベースにおきながら、ステークホルダーをインサイド、アウトサイド、エクスターナルの3グループに分けて、取引費用を新しく定義しなおす。議論の結論は、グローバル経済の拡大を牽引した企業の集権的な枠組みはエクスターナル・ステークホルダーを大量に発生させグローバル問題を深刻化させる。デジタル革命の進展は市場価格の低下という要因を伴いながら、アウトサイトステークホルダーを増大するシェアビジネスなどをもたらす。この過程では、アクティビストの提唱するガバナンス改革が企業組織の外部から進められる。

しかしながら、米中の貿易戦争や気候変動問題などのグローバルな諸課題が深刻化を続ける。社会の持続可能性を実現するためには、ESGやSDGsなどの取り組みが示唆するように現在の集権的な枠組みに分権化の仕組みを取り入れることが必要になる。この過程は、経済活動の生産量を抑えることになると予想される。