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2019年09月17日

2019年9月17日開催 公開研究会開催報告 (経済研究所 「思想史研究会」 、後援「ロバアト・オウエン協会」)

2019年9月17日(火) 公開研究会を開催しました。

【日   時】  2019年9月17日(火)14:00~17:00

【場   所】  中央大学駿河台記念館 660号室  

【テーマ】 Marx and the Idea of Post-Consumer Society

【報告者】 Gregory  Claeys  University of London  Professor)

【後 援】    ロバアト・オウエン協会

【要 旨】

 

産業革命期以降に急激な発達を遂げてきた資本主義社会は、生産力の発展に伴う物質的富裕とともに単なる生存を維持するために必要なものを超える多様なニーズを生み出し、高度な消費社会を実現させてきた。それは我々の生活を快適で便利で豊かにする一方で、とりわけ環境面において深刻な問題を提起しつつある。

こうしたポスト消費社会のあり方を考えるためには、諸商品に対する人間の関係を深く考察したカール・マルクス(1818-1883年)の思想および旧ソ連の実際の経験を振り返る必要がある。マルクス自身は、単なる生存欲求を満たすものを超えるニーズを全否定していたわけではない。文化的・教育的・公共的なものに代表されるような、資本主義後に生じる諸々のニーズも認められていた。また彼によれば、人間の諸欲求の形成は後天的・環境的な要因によって大きく左右されうる。

資本主義社会の発展がもたらす地球環境への負荷が明らかになりつつある今日、すでに実現された生活水準のレベルを少しずつ下げていく努力が今後ますます求められるであろう。

そのための手段としては、富裕な少数者の私的な奢侈を抑制する代わりに多数者の公共的な奢侈を維持すること、労働時間の短縮、都市のリモデル化、広告や過剰包装の抑制、人口抑制政策、スローフード化および配達時間の短縮をめぐる過度な競争の制限、シェアリング・エコノミー化などが考えられる。これらを行うことは非常に困難なことではあるが、人間社会の持続的発展と地球環境の保全の両立をはかるために、少しずつでも実現に向けて進んでいかなければならない。