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2019年06月10日

2019年6月10日開催 公開研究会開催報告 (食農連携研究会)

2019年6月10日(月) 公開研究会を開催しました。

 第1報告「観光による地方創生は可能か―銚子の事例研究を通じて―」

      湯藤 由季 氏・中原 優利 氏(中央大学経済学部3年)

 

第2報告  「カレーライスを中国でも人民食に―ハウス食品の対中国市場開拓作戦―」

     

       羽子田 礼秀 氏(本社アドバイザー・前ハウス食品中国社長)

 

【日   時】   2019年6月10日(月)17:00~19:00

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室4

【要 旨】

 

第1報告

「観光による地方創生は可能か―銚子の事例研究を通じて―」では、人口減少・少子高齢化・財政難という課題を抱える千葉県銚子市を舞台に、観光振興による地域活性化の方策を示した。銚子観光では客単価が低い日帰り客が主であり、現状のままでは観光が地域活性化の起爆剤とはなりにくい。そこで、銚子市を訪問した観光客へのアンケート調査をもとに具体的な課題を探り、①観光資源の開発・活用(農漁業での産業観光やお土産の充実)を基軸に、②観光インフラの整備(周遊バスの運行や案内表示の改善)を行うとともに、③効果的な情報戦略(観光情報サイトの一元化や情報ツールの活用)をとることが集客につながることを明らかにした。こうした取り組みを促進するためには、今後は観光協会やDMOを中心にした推進体制を構築し、銚子市全体が連携することが必要であることが提起された。

 

2報告

「カレーライスを中国でも人民食に―ハウス食品の対中国市場開拓作戦―」では、報告者自身が実践したハウス食品による中国市場の開拓の歴史と展望が示された。「米を食べる国では必ずカレーは売れる」という同社社長の言葉を実践するため、報告者が41歳の時(1995年)に単身赴任で上海に渡り、中国事業をスタートさせた。今や中国ハウス食品の資本金は日本本社を抜く勢いであり、中国市場で同社の日本式カレーライスが一人勝ちになっている。こうしたハウス食品の成功要因の第1は、商品開発を現地化(ローカライズ)していることである。中国人はカレー=黄色というイメージを持っていることから、日本式の茶色カレーを黄色カレーに変え、さらに中国人の舌に馴染めのある香辛料「八角」も入れて商品化した。第2に、中国で増え続ける中間層が買える価格に設定したことである。2020年には11億人にもなる中間層をターゲットにすることは今後の市場拡大にもつながる。第3に、流通戦略と販売チャンネル設定を工夫したことである。カレールウの市場開拓では食材との同時購入や利用頻度が重要であるため、スーパーやハイパー、CVSなど中国全土でカレールウの取扱店舗を広げた。さらに、プロモーション活動にも力を入れ、カレーを知らない中国人にカレーライス啓蒙活動や小売店店頭での活動紹介、工場見学など、カレールウの品質や安全性をアピールし、子どもたちを味方につけることの努力も欠かさなかった。このほかにも、日系企業の社員食堂や学校の給食に業務用製品の積極的な投入やレストラン、CVS弁当への導入による中食・外食への展開も売り上げ増につながった。

以上のような取り組みの背景には、中国の文化や商習慣などを理解し、徹底した現場に基づいた経営を実践することが挙げられ、それがハウス食品の中国ビジネスの成功を支えたという点も重要な示唆であった。