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2019年06月29日

2019年6月29日開催 公開研究会開催報告 (日中経済比較研究会)

2019年6月29日(土) 公開研究会を開催しました。

【テーマ】 公的年金制度の改革と労働供給に与える影響:日中比較

【報告者】 馬 欣欣 氏(富山大学准教授)

【日   時】   2019年6月29日(土)16:00~18:00

【場   所】   多摩キャンパス2号館4階 研究所会議室2

【要 旨】

 

研究会では、まず中国経済研究者による現在中国経済が抱える課題について、簡単な報告を行った後、富山大学准教授の馬欣欣氏に「公的年金制度の改革と労働供給に与える影響:日中比較」というテーマで報告をしていただいた。同氏の近著であるEconomic Transition and Labor Market Reform in China, Palgrave Macmillan(2008)は国内外的に注目を浴びている。今回は日本と中国との比較の視点から、公的年金制度の改革と労働供給に与える影響についての報告をいただいた。同氏はまず、中国における労働市場の主な問題として、①体制移行と経済発展による労働市場の分断化(国有企業対非国有企業、独占産業対競争産業、都市住民対出稼ぎ労働者、自営業者対雇用者、地域間の格差、②人口高齢化と社会保障の問題)社会保障格差の断片化、介護問題、「一人っ子」政策の規制緩和ー出生率の低下問題、③就業問題として、女性労働参加率の低下、新規大卒の就職率が低い(7割前後)、早期退職制度、など数多くの問題があると指摘した。次に、報告者は『Economic Transition and Labor Market Reform in China』のChap.8に基づいて、中国と日本における年金制度、年金の加入、高齢者の労働参加などに関する日中比較研究、特に(1)中国の農村都における新型農村年金制度(NRPS)が高齢者の労働参加にどのような影響を与えているのか、(2)日本における高齢者の労働供給の決定要因、という2つの課題に対する実証的な分析を行った。分析の結果から公的年金制度は高齢者の福祉を向上させる可能性があるが、中国と日本の両方の長期的な経済成長に悪影響を与える可能性があることが示唆された。またその悪影響を解決するためにも公的年金制度をいかに設計していくべきか、中国と日本の両方にとって重要な問題であると指摘した。