経済研究所

2018年11月24日開催 公開研究会開催報告 (中国経済政策研究部会)

2018年11月24日

2018年11月 24日(土) に公開研究会を開催しました。

 

【共 催】現代政策研究会

【テーマ】日本における企業経営、金融、イノベーション

【日   時】 2018年11月24日(土)13:30~17:00

【場   所】 研究所会議室 1

 

仲 継銀氏(中国社会科学院経済研究所主席研究員)は、「中日公司制企業発展和公司治理改革比較」(中日会社制度のもとでの企業発展とコーポレートガバナンス改革の比較)をテーマとして、中日両国における会社制度導入の過程と発展の違い、両国におけるコーポレートガバナンス改革と動因と経路の違い、日本の経験がもたらす教訓について報告された。


趙 志君氏(中国社会科学院経済研究所研究員)は、「経済学個人主義方法論反思」(経済学の個人主義方法論再考)をテーマとして、経済学における個人主義方法論の進展、方法論に関する中国の伝統的考え、集団行動仮設と労働分業理論、主要な分析結果について報告された。欧米諸学派の方法論や経済思想を丹念にフォローするとともに、中国の伝統的考えや理論モデルによる分析結果などが提示された。


呉 延兵氏(中国社会科学院経済研究所研究員)は、「地方政府投資的邏輯」·(地方政府の投資の論理)をテーマとして、中国の地方政府支出では投資支出の比率が高く、諸外国と比べても突出していること、地方政府が税財政制度等を通して投資を吸収し、企業活動にも積極的に関与してきたことを指摘し、こうした傾向が生まれた理由を中国式連邦制、幹部の昇進競争や政府人仮設などに基づいて考察された。


張 小溪氏(中国社会科学院経済研究所副研究員)は、「創新金融生態建設」(革新的な金融環境建設)をテーマとして、金融センターとして発展を遂げている上海の金融環境を取り上げ、金融とイノベーションの結合が進展し、金融環境も整備されてきたものの、下から上へのイノベーションが不足し、退出しにくいことが投資を抑制しているとして、その改革方策について報告された。


報告後の質疑では、中日会社制度やコーポレートガバナンスの違いにおける制度と現実の違い、取締役会の役割や機能、新古典派経済学の方法論の頑健性、中央・地方政府関係や地方政府の独立性などについて熱心な議論が行われた。第一級の研究業績をお持ちの先生方による報告はどれも興味深く、参加者の研究意欲を誘発する刺激的なものであった。