Eventイベント

人文科学研究所

人文科学研究所公開研究会開催のお知らせ(「世界史の中のネットワークとアイデン ティティ―転換期にのぞんで―」チーム)

日程
2025年3月12日(水) 13:00~15:00
場所
多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室1
日程
2025年3月12日(水) 13:00~15:00
場所
多摩キャンパス 2号館4階研究所会議室1
内容

報告者  松村 公仁 氏(⦅公財⦆中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所上級研究員)

 

テーマ  アナトリア、ビュクリュカレ遺跡発掘調査:未解明のヒッタイト史 フリ文化の要素

 

要 旨  トルコ共和国クルッカレ県において、2009年に始まったビュクリュカレ遺跡発掘調査では、これまでに様々なフリ的要素が確認されている。それはヒッタイト時代初期にはじまり、さらには帝国時代においても見られる。

 

1.ヒッタイト時代の初期においては、カールム時代からヒッタイト王国にかけて居住された宮殿址からフリ文化の影響を示すと考えられるガラス製の壺が出土した。なぜこの時代にフリ文化の要素であるガラス製の壺がビュクリュカレから出土したのか、その謎に迫る。

 

2.2019年以降、毎年フリ語楔形粘土板文書が出土している。これまでに出土総数28点となった粘土板片のほぼ半数がフリ語文書である。ヒッタイト領域内でフリ語粘土板文書が出土している遺跡は、これまではボアズキョイ(ハットゥーシャ)、オルタキョイ(シャピヌワ)、そしてカヤルプナル(サムッハ)の3遺跡のみであり、これらの都市はすべてヒッタイト王家が居住した都市である。そしてそこにビュクリュカレが加わることとなった。

ヒッタイト帝国においてはフリ人の王女と結婚したトゥドゥハリヤI世、トゥドゥハリヤII世、そしてハットゥーシリIII世の3人の王の治政下でフリ語の粘土板文書が製作され、フリの影響を強く示しているが、ビュクリュカレ出土の粘土板の中にはヒッタイト領内で見つかっている最古のフリ語文書の一つと考えられるものをはじめとし、ハットゥーシリIII世の時期のものまで存在し、3時期すべての粘土板文書が出土している。

 

このようにフリの影響を強く示す遺跡ビュクリュカレとはいったいどんな都市 だったのかは未だ解明されておらず調査を継続中である。

 

 

【注意事項】

・構内でのマスクの着用については個人の判断に委ねることが基本となりますが、3密を回避できない場合はマスクの着用を推奨します。

・手洗い手指消毒などの基本的な感染防止対策にご協力ください。   

参加費

無料

参加手続き

事前申し込みは不要です。

企画実施名義

主催:人文研チーム「世界史の中のネットワークとアイデンティティ―転換期にのぞんで―」チーム(責任者:杉崎 泰一郎 研究員)