研究

2013年度

公開研究会
主催 研究会チーム「島と港の歴史学」
日時 2014年3月27日(木)14:00~
場所 2号館4F 研究所会議室3
報告者 近藤 剛 客員研究員(開成学園教諭)
テーマ 『大槐秘抄』の考察-日本・高麗関係記事の理解のために-
要旨 藤原伊通が応保2年(1162)頃に執筆した『大槐秘抄』の対外関係に関する記事の中には、いわゆる「渡海制」のことを指すと理解されている「制」という語がみえる。報告者は中央史学会第37回大会(2012年開催)において「11世紀末~12世紀における日本・高麗関係について」と題する口頭発表を行い、この「制」については別の解釈も可能なのではないかという見通しを述べた。しかしながら、『大槐秘抄』の活字本である『群書類従』第28輯(続群書類従完成会、1933年)や、『日本教育文庫家訓篇』(同文館、1910年)が校訂の際に利用した写本とは別系統のものがあることが、久保常晴氏「享和本「大槐秘抄」」(『立正史学』26、1962年)によって指摘されている。 これによると、写本間での字句の異同が少なからずみられるため、写本レベルでの考察が必要であると思われる。そこで本報告では、蒐集した『大槐秘抄』諸本を検討して本文の確定を行う。その上であらためて該当箇所について考えてみたい。
報告者 石井 正敏 研究員(中央大学文学部教授)  
テーマ 対外関係史二題
要旨 日本・新羅関係及び日本・高麗関係に関する基本史料について取り上げ、検討を加える。
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2014年3月14日(金)15:00~18:00
場所 3号館9F 3913号室
講 師 辻本 悟史 氏(Nielsen NeuroFocus,Director of Neuroscience)
テーマ 「神経科学のマーケティングへの応用」
要旨 消費者の購買意思決定は、しばしば意識化・言語化できない要因に左右される。そのため、商品開発やパッケージ、広告制作、販売促進などのマーケティングにおいて、従来の質問紙調査やインタビューに加えて、神経科学によるアプローチが注目されている。演者の所属するニールセン・ニューロフォーカスでは、脳波計測と視線追跡を組み合わせて、これまでに世界30ヶ国以上で約4千の広告調査を手がけるなど、神経科学を応用したマーケティングリサーチとそれに基づくコンサルティングを幅広く展開している。本講演では、最初にニューロマーケティングの背景にある考え方を簡単に述べた後、具体的にどのように調査をして、どのような結果が出てくるのか、実例を(可能な範囲で)紹介する。さらに、これらの取り組みから明らかになってきた購買行動の認知過程と、それに寄与する刺激の特性や法則性などを紹介し、ニューロマーケティングの現状を共有して、課題と展望を議論したい
公開研究会
主催 研究会チーム「モダニズム研究」
日時 2014年3月14日(金)14:00~17:00
場所 駿河台記念館500号室
講 師 野村 喜和 氏(詩人)
テーマ 私のランボー体験  ②「ジュール・ラフォルグを読む――モダニズム再考」
要旨 「絶対に現代的moderneであらねばならない」と『地獄の季節』に書いたランボー。その作品が日本に紹介されて百有余年、中原中也をはじめさまざまな詩人・文学者がランボーからの衝撃を受け止めてきました。その末端に私も位置するようです。翻訳こそしていませんが、昨年は美術家北川健次氏とのコラボレーションで、ランボーをモチーフにした『渦巻カフェあるいは地獄の一時間』という詩画集を上梓しました。それを紹介しつつ、私の詩にあらわれたランボーの痕跡──あるいはテクスト間交流──を辿ることによって、日本におけるランボー受容の一端を示すことができればと思います。
報告者 桑田 光平 客員研究員(東京大学大学院 准教授)
テーマ 「ジュール・ラフォルグを読む――モダニズム再考」
要旨 エズラ・パウンド、T.S.エリオット、マルセル・デュシャンらがその影響を隠そうとはしないモダニズムのひとつの参照点としてのジュール・ラフォルグ。27歳という若さで夭逝したこともあって、あまり日本では言及されていないが、それでも例えば、よく知られているように、吉田健一はラフォルグに関する評論によって執筆活動をはじめ、ラフォルグの詩のなかに、近代の悪徳、退廃、虚ろさの予見的なヴィジョンを見てとった。「現代性(モデルニテ)」の美学を定式化したボードレールの詩に馴染み、「絶対に現代的(モデルヌ)であらねばならない」といったランボーから大きな衝撃を受けた――このランボーのスローガンにおける「現代的」という語が侮蔑的な意味で用いられているというメショニックの指摘には耳を傾けなくてはならないだろう――ラフォルグの「現代性(モデルニテ)」とは何だったのか。今回の発表では、文芸におけるモデルニテの再検討という大きな目的を掲げながらも、代表的なラフォルグの詩や、あまり知られていない散文やノートなどをとりあげ、やや導入的にこの詩人の「現代性(モデルニテ)」について事実確認や紹介も含めながら検討してみたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日時 2014年3月4日(火)15:00~17:30
場所 2号館4F 研究所会議室3
講 師 篠目  清美 氏(東京女子大学教授)  
テーマ 「ザクロの種を食べたのは誰?-イーディス・ウォートンの手紙を書く女たち」
講 師 渡辺 信二氏(フェリス女学院大学特任講師)
テーマ 「うたはアメリカの大義から-パウンドの詩学」
講 師 畑中佳樹 氏(東京学芸大学教授)
テーマ 「犯罪逃避行ものの系譜」
要旨 今回は3人の講師をお呼びして、ミニシンポをおこないます。藤平育子研究員の退職
を記念して、本研究チームの名前をテーマとする発表を、女流作家、アメリカ映画、ア
メリカ誌というそれぞれの研究分野からお話しいただきます。
公開研究会
主催 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究]
日時 2014年3月3日(月)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 岡山 敬二 客員研究員 (日本大学法学部助教)
テーマ 「現象学は秘教なのか――「知の循環と開放」の哲学」
要旨 メルロ=ポンティの講義「人間の科学と現象学」をおもな手がかりにしながら、フッサールの現象学的考察に潜む循環構造を炙(あぶ)りだしてみようと思います。同時に、この循環の必然性と意義を問いなおしてみることで、現象学という哲学的考察に胚胎する「開かれた知」としての哲学の可能性を確認してみようと思います。
公開研究会
主催 研究会チーム「英文学と映画」
日時 2014年3月2日(日)15:00~18:00
場所 駿河台記念館310号室
講 師 篠崎 実 氏(千葉大学教授)
テーマ 「シェイクスピア劇劇映画化の諸問題」
要旨 シェイクスピア劇の映画化にはさまざまな困難をともなう。書割のないグローブ座で上演すべく書かれた劇は、視覚的イリュージョンの生成に大きく依存する映画と芸術様式として根本的にちがうものであるからだ。そのことを時間表象に関わる問題として論じてみたい。主として扱うのはRomeo and Juliet, dir. Franco Zeffirelli (1968)、Othello, dir. Orson Welles (1955; 'restored' 1992)、Hamlet, dir. Laurence Olivier (1948)、Hamlet, dir. Kenneth Branagh (1996)。 
 
講 師 加藤めぐみ氏(東京学芸大学特任講師)
テーマ 「クローンたちのブルースーー『わたしを離さないで』における人権をめぐるグローバルネットワークと生政治(バイオポリティクス)」
要旨 一見、外の世界から隔絶された「セカイ」で展開する『わたしを離さないで』。その背後にある生政治(バイオポリティクス)を検証したとき、新自由主義化がすすむ1970年代に可視化した「被支配層/クローン」と彼らの「人権」を擁護しようとするグローバルネットワークの構図が立ち現れる。さらに本発表では、作品のタイトルが様々な解釈の可能性を孕む「クローンたちの魂の叫び」であることを詳らかにしたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2014年2月28日(土)16:00~17:30
場所 3号館9F 3913号室
講 師 中野 泰志 氏(慶應義塾大学教授)
テーマ 生活を支援するための視機能評価と環境整備
--教育や福祉の現場では視機能は何のために知る必要があるのか?--」
 
要旨 視力や視野等の視機能検査は、眼疾患の発見や治療効果を評価する等の医療的なケアを目的に開発されてきた。教育や福祉の現場では、視機能に基づいて、教材作成や環境整備を行う必要があるが、医療的ケアを目的にした視機能検査だけでは、十分な情報を得ることが出来ない。なぜなら、医療的視機能検査の場面と教育や福祉の現場では、照明等の環境が異なるからである。また、教育や福祉の現場では、日常の様々な活動との関係で視機能を評価する必要がある。例えば、おもちゃを発見できるかどうか、電源ボタンを操作できるかどうか、安全に移動できるかどうか、ある程度のスピードで読書ができるかどうか等、生活をする上で意味のある活動との関係で視機能を評価する必要がある。本報告では、教育や福祉の現場で必要とされている視機能評価の方法や意義について紹介する。
公開研究会
主催 研究会チーム「音楽の文化史」
日時 2014年2月27日(木)   12:30~
場所 3号館7F 東洋史学共同研究室
テーマ マックス・ウェーバー『音楽社会学』及び研究会の目的について
談話会
日時 2014年2月27日(木)   16:00~
場所 2号館4F 研究所会議室1
報告者 阪口 修平 研究員 (文学部教授)
テーマ 「近世ヨーロッパのドイツ史学」
公開研究会
共 催 「NIHUイスラ―ム地域東京大学拠点」
共 催 研究会チーム「イスラーム地域における聖地巡礼・参詣」
日時 2014年2月15日(土)13:00~17:00
場所 東京大学東洋文化研究所3F 第1会議室
講 師 Pedram KHOSRONEJAD(ペドラム・ホスローネジャード) 氏(セント・アンドリューズ大学研究員)
テーマ 「"Ziyarat,Shrines and their  Mural Paintings in Iran: Historical background and resources”]
講 師 SUGAWARA  Jun (菅原 純 氏)(Tokyo University of Foreign Studies)
テーマ Comprehensive Approach to Islamic Sacred Sites in Xinjiang”            
講 師 YASUDA  Shin (安田 慎 氏) (Teikyo University )
テーマ “Formalizing “Shi’ite” Sacred Sites:Renovation Movement of Sayyida Zaynab Shrine and Sih’ite Communities in Syria”
要旨 イスラーム地域における聖廟参詣の様相とその歴史的背景について、それぞれの地域における政治的・社会的・文化的条件も視野に入れつつ、通地域的に考えたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「性と文化」
日時 2014年2月9日(日)14:00~18:00
場所 駿河台記念館580号室
講 師 黒岩 裕市氏(フェリス女学院大学他非常勤講師) 
テーマ  「同性愛の種族化」について
要旨 ①本報告は、ミシェル・フーコーが指摘した「同性愛の種族化」について考えるものである。日本では1910~20年代に西洋の精神医学の影響を受けた通俗的なセクソロジーが流行し、同性愛を種族化する見解が浸透したのだが、本報告では、1930年前後に出された大衆的なテクストの男性間の性的な関係を具体的に読む。江戸川乱歩の小説『一寸法師』(1927年)や雑誌『犯罪科学』に掲載された記事を取り上げる予定である。照テクスト:江戸川乱歩『一寸法師』(『江戸川乱歩全集 第2巻 パノラマ島綺譚』光文社文庫、2004年)
講 師 菅野  優香氏(小樽商科大学准教授)
テーマ  「風景」に抗して―沖縄をめぐる映画的想像力批判
要旨 本報告では、沖縄をめぐる映画表象の系譜を辿りながら、おそらくは「すでに」人種化されている欲望について、『BLUES HARP』(三池崇史監督、1998年)という映画テクストを手がかり 
に考える。このテクストが召喚する、人種化されたホモセクシュアルな欲望は、なぜ「混血」と「沖縄」を必要としたのか?風景としての「沖縄」を批判的に再考しながら、この問題にアプローチしてみたい。
参照作品:『BLUES HARP』(三池崇史監督、1998年)
公開研究会
日時 2014年2月8日(土)
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 梅田 定宏 氏(多摩大学附属中学高等学校教諭)
テーマ 「「改良進歩」と地方政治 」
要旨 北多摩郡茶業組合の活動を通して、明治前半期の地域経済と政治の問題を考察する。当該期の北多摩地域における「改良進歩」とはどのようなものであったか、小平市史編纂の過程で新たになった北多摩郡茶業組合の紛争を取り上げ、北多摩地域の経済活動と政界の関係を検討する。
公開研究会
主催 研究会チーム「言語の理解と産出」
日時 2014年2月1日(土)13:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 森田 順也 氏(金城学院大学教授)
テーマ 「分散形態論の展望」
要旨 本発表では、まず分散形態論(Distributed Morphology: DM)の骨組み及び基本システムを、名詞化現象を用いて例示する(Harley and Noyer (2000)、Morita (2007))。次に今後の検討課題として、「l節点仮説」と「後期挿入」をめぐる初期のDMと近年のDMの見解を比較・検討し(Takano (2003)、森田(2005)、Harley (2009)、Embick (2010))、最後に、これまでDMの枠組みで余り扱われていない事象―形態‐統語の相互関係の制約―について短評する。
 
講 師 乙黒 亮 氏(早稲田大学准教授)
テーマ 「語彙機能文法:並列的言語処理モデルと心理的実在」
要旨 語彙機能文法(Lexical-Functional Grammar; LFG)は生成文法の中でも制約に基づく理論として発展を続けてきた理論である。LFGでは統語的派生が存在せず,複数の異なった情報が並列的に対応付けられる言語処理モデルを仮定することによって,言語使用者に内在する言語知識を心理的実在性のある形で解明することを目指している。本発表では,LFGの理論的枠組みを導入しながら,派生理論において移動を仮定することで説明される現象の分析を概観し,それらが言語理論に対して示唆する点を議論する。
講 師 広瀬 友紀 氏(東京大学准教授)
テーマ 「大人と子供の日本語関係節処理のあり方を探る:眼球運動測定実験を通して」
要旨 関係節の処理においては、要素が節内のどの位置から抜き出されているかにより、処理コストが異なると考えられている。主語関係節と目的語関係節を比較した先行研究では、言語に関係なく一様に主語関係節がよりスムーズに処理ができるという見方が大勢だが、異なる言語を題材に調べてみると、実は、データにおいても、理論的予測においても、結論は一致していない。また、成人と発達段階にある子供では異なる振る舞いをすることも指摘されている。本研究では、日本語関係節処理にかかわる、成人と6-7歳児の眼球運動測定データを報告し、先行研究の結果との比較、議論を行う。    
公開研究会
主催 研究会チーム「軽度発達障害の縦断的研究」
日時 2014年1月28日(火)18:30~21:00
場所 駿河台記念館660号室
講 師 中田 洋二郎 氏 (立正大学心理学部 教授)
テーマ 「発達障害と障害受容」
要旨 主として発達障害の保護者の障害受容の話をするが、時間の許す範囲で、当事者告知のことや大学での発達障害のことも言及する予定である。
公開研究会
主催 研究会チーム「島と港の歴史学」
日時 2014年1月25日(土)14:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
報告者 中澤 寛将客員研究員(青森県教育庁文化財保護課)    
テーマ 「中世十三湊の景観-近年の十三湊関連遺跡発掘調査から-」    
要旨 津軽半島北西部に位置する「十三湊」は、室町時代末期に成立した『廻船式目』に三津七湊の一つとして登場する、中世日本を代表する湊町である。近年は、十三湊遺跡のみならず、十三湖周辺にある山王坊遺跡や福島城跡、明神沼遺跡等で発掘調査が進められ、広義の「十三湊」の景観が明らかになってきた。本報告では、十三湊遺跡とその関連遺跡の調査成果を紹介し、十三湊の景観と意義について述べる。   
講 師 工藤雄一郎 氏 (国立歴史民族博物館 准教授)
テーマ 「東アジアの土器出現の年代と煮炊きの内容物の検討」
要旨 東アジアは世界でも最も古く土器が出現した地域である。日本列島では1万6千年前頃に最古段階の土器が確認され,1万5千年前以降になると列島各地へ急速に土器が広がった。近年,土器付着炭化物の分析によって,どのような食料が煮炊きされていたのかについて研究も進展しつつある。そこで,日本列島と朝鮮半島の遺跡での分析事例を紹介しつつ,土器出現の意義について検討する。
公開講演会
企 画 共同研究チーム「世界史における「政治的なもの」」
日時 2014年1月22日(水)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 余 欣(よ・きん)氏   (復旦大学教授)
テーマ 「出土文献にみえる漢唐の相六畜法の源流」
要旨 「相六畜」(家畜の鑑定)は、中国前近代の占法「形法」の重要な一領域である。「形法」とは形をとおして対象の本質を見極める技術で、世界やその存在意義を理解する手段でもあった。近年、相六畜に関係する「相書」が陸続と出土しているが、系統的な分析はいまだ不充分である。本報告では、伝世文献や各種出土資料・画像資料を駆使しつつ、漢唐期の相六畜の源流について探ることで、「形法」についての認識を深めんとするものである。
公開研究会
主催 共同研究チーム「ルソー研究」
日時 2014年1月9日(木)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 川出 良枝氏 (東京大学法学部教授)  
テーマ 「人為的悪 (le mal moral) の発見 ― ルソーとリスボン地震」
要旨 リスボン地震(1755年)は、甚大な被害とともに、それをめぐって
18世紀後半のヨーロッパに知の枠組みの変容をもたらしたことで知られてい
る。なかでもヴォルテールとルソーの間で展開された論争は大きな意義をも
つ。あらためて両者の間の論争をふりかえることで、近代の知のあり方に対す
る反省の契機としたい。
(川出良枝氏は白水社ルソー・コレクション全4巻、2012年の編者。)
講 師 重田 園江氏( 明治大学政治経済学部教授) 
テーマ 「ルソーにおける ''多数'' の問題」
要旨 ルソーはその政治思想において、多数 (plurarit ) の問題にユニー
クなしかたで答えようとした。たとえば「一般意志」の理念は多数をどう捉え
るかへの解答を含んでおり、しかもその内容は一つに集約することが難しい。
また、政治的判断において多数決 (majorit ) や ''党派''がもたらす問題を指
摘したことでも知られる。この報告では、多数を手がかりにルソー思想のおも
しろさに迫りたい。
(重田園江氏の近著に『社会契約論 ― ホッブス、ヒューム、ルソー、ロール
ズ』ちくま新書、2013年がある。)
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2013年12月21日(土)15:00~19:00
場所 3号館9F 3913号室
講 師 大塚 由美子 氏(University of Sydney,ポスドク研究員)
テーマ 「頭部の向きが視線方向の知覚に及ぼす影響に関する二重経路モデル」
要旨 これまでに視線方向の知覚に対する頭部の向きの影響として、反発効果と誘引効果という相反する2種類のバイアスが報告されている。反発効果は、頭部の向きとは反対方向に視線が偏って知覚されるバイアス(Gibson & Pick,1967など)であり、誘引効果はWollaston錯視(Wollaston, 1824)に観察されるような頭部の向きと同一方向に視線が偏って知覚されるバイアス(Todorovic, 2009など)である。本研究では視線方向のカテゴリー分類課題を用い、頭部全体画像および眼球領域画像からの視線方向の知覚を計測し、各画像条件での頭部の向きの影響を検討した。実験の結果、両画像条件で反発効果が観察されたが、この効果は頭部全体画像条件では眼球領域画像条件よりも有意に減少した。これらの結果に基づき、頭部の向きの影響により生じる視線方向知覚の2種類のバイアスの関係を統合的に説明する視線知覚の二重経路モデルを提案する。
公開研究会
主催 研究会チーム「新しい外国語教育のあり方」
日時 2013年12月19日(木)15:00~17:00
場所 2号館12F 21261号室
講 師 小寺京子 氏 (元文学部兼任講師)                                      吉村 謙輔 研究員
テーマ 「即応力重視の語学授業」
要旨 外国語重視のコミュニケーションにおいては、文法や語彙量以上にコンテクスト応じたとっさの即応力が重要である。今回はイタリア語などの例から、即応力型の授業について検討する。
公開講演会
企 画 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日時 2013年12月18日(水)15:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講演者 董新林 (ドンシンリン)氏  (中国社会科学院考古研究所教授)
テーマ 「遼上京と祖陵(遼太祖・耶律阿保機陵墓)の考古新発見」
要旨 遼(りょう)(916-1125)は、東北アジアの遊牧狩猟地域出身の契丹(キタイ)人が中国大陸の農業地域を征服して建国した王朝である。ユーラシア大陸東部の歴史をふりかえる時、遼は、遊牧・農業両地域を包含する体系的な統治制度を創造した点において、歴史の画期をなす国家となる。近年の遼研究を国際的に先導する董教授は、今回の講演において、自ら発掘を指導した遼の都城・上京と遼の太祖・耶(や)律(りつ)阿保機(あぼき)(872-926)陵墓の考古新発見をもとに、都城と王陵の関連を新たに分析する。
公開研究会
主催 研究会チーム「地域史研究の今日的課題」
日時 2013年12月14日(土)16:00~
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 白川部 達夫 氏(東洋大学教授)
テーマ 「近世質地請戻し慣行と東アジア社会」
要旨 16世紀は東アジアでは、各地で小農経営が展開し、これにもとづく伝統社会が形成されました。本報告では、質地請戻し慣行という日本 の土地売買慣行の展開を起点に、東アジアの土地売買慣行をそれぞれの土地所持観念のレベルで比較・検討し、その意義を考えます。
公開研究会
主催 研究会チーム「性と文化」
日時 2013年12月14日(土)14:00~17:00
場所 駿河台記念館580号室
報告者 米谷  郁子 客員研究員
テーマ 「 Traub の 'The New Unhistoricism in Queer Studies' を読む」
要旨 ヴァレリー・トラウブが「クィア・タイム」議論へよせた批判を読みながら、文学における「歴史」や「距離」への批評的介入の可能性を共に考えたいと思います。コア・テクスト: Valerie Traub, 'The New Unhistoricism in Queer Studies'(PMLA  128.1 (2013) )
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2013年12月11日(水)11:00~12:30
場所 2号館4F 2403号室
講 師 海老坂 武 氏(一橋大学名誉教授)
テーマ 「加藤 周一における政治と文学」 
要旨 百科全書的知識人だった加藤周一における政治と文学の関係を検証する。    講師は岩波新書『加藤周一 20世紀を問う』  (2013)の著者でフランス文学者。 
公開研究会
主催 研究会チーム「視覚と認知の発達」
日時 2013年11月30日(土)14:00~17:00
場所 3号館9F 3913号室
講 師 柏野 牧夫 氏 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所 上席特別研究員・人間情報研究部 部長)  
テーマ 「成人高機能自閉症スペクトラムにおける基礎的聴覚機能の特異的欠損」
要旨 自閉症スペクトラム障害(ASD)の当事者の中には、純音聴力に問題がないにもかかわらず、複数の音が同時に存在するような状況では所望の音を聞き取ることが困難であると訴える人がしばしばいる。この原因を突き止めるため、我々は、成人ASD当事者の基礎的聴覚機能(周波数分解能、時間分解能、両耳機能など)を心理物理学的実験によって多角的かつ詳細に測定し、対照群と比較した。その結果、ASD群の一部には、感音性難聴や加齢効果とは異なる、きわめて特徴的な機能欠損が見られた。具体的には、音響信号波形の時間微細構造に基づく音の高さの弁別や、両耳間時間差に基づく音の空間定位の弁別の成績などが特異的に低下していた。これらの機能は、複数音源を分離して特定の対象を選択的に聴取するうえで重要な役割を果たすものであり、聴覚系の比較的低次の、脳幹の神経核(上オリーブ核など)で処理されることが知られている。解剖学的知見も考慮すると、ASDにおいては、先天的な脳幹の機能不全が基礎的聴覚機能の欠損を引き起こし、円滑な音声コミュニケーションの発達を阻害したのではないかという仮説が浮上してくる。脳幹の機能不全という観点から、ASDにおける感覚系や運動系の様々な問題を統一的に理解できるかもしれない。さらに、感覚系や運動系の基礎特性に基づくASDの客観的かつ早期のスクリーニングの可能性も拓けてくる。
講 師 軍司 敦子 氏 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 知的障害研究部 治療研究室室長)
テーマ 「音声コミュニケーションを支える認知の発達と障害」
要旨 発達障害児にしばしば認められる対人関係のつまずきは,社会性認知に基づく障害との関連が指摘されつつある.しかし,その病態の個人差は著しいため,支援ニーズを実質的に満たすためには,それぞれの認知についての詳細な状態把握が必要となる.そこで私たちは,彼らの社会性認知の状態を客観的に評価するため,神経生理学的検査による指標作成に取り組んできた.本日は,音声コミュニケーションに関連する認知に焦点を絞り,自閉症スペクトラム児にみられる行動や脳機能のデータを紹介する.
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2013年11月21日木 )11:00~12:30
場所 3号館 3260号室
講 師 フランソワーズ・ヴェルジュス氏 (ロンドン大学教授)
テーマ 「アンチ-ルの文学の思想 エメ・セゼールとマリーズ・コンデ を中心に」  
要旨 フランスの奴隷制植民地だったカリブ海のマルチニックとグァドループ、インド洋のレユニオンで生まれたクレオール語 クレオール文化をポストコロニアルの視点から分析する
公開研究会
主催 研究会チーム「モダニズム研究」
日時 2013年11月9日(土)15:00~18:00
場所 駿河台記念館500号室
報告者 本田 貴久研究員 
テーマ 「ジャン・ポーランとマダガスカル ―その理論的源泉として」
要旨 20世紀フランスの文学や思想を牽引した『新フランス評論』の編集長を長くつとめたジャン・ポーランは、自身『タルブの花』(1936)に独自の文学観・言語観を展開し、批評家としても文壇に影響力を行使した。しかし彼が独自の言語観を醸成するにあたって、若き日に滞在したマダガスカルでの言語体験があったことはさほど知られていない。本発表では、ポーランのマダガスカルに関連するテクストのなかに、ポーラン固有の言語観の萌芽を読み解いていく。
報告者 福嶋 伸洋 客員研究員
テーマ 「イパネマの娘 ――〈詩〉から〈詞〉を生み出すヴィニシウス・ヂ・モライス」
要旨 トム・ジョビンの曲で名高い「イパネマの娘」の詞の、破棄された異稿には、よく知られている挿話と別に、着想の源となっていたものの跡が見てとれる。いまだ作詞家ではない、西洋詩の伝統を継ぐ詩人としての若書きの作品も参照し、ヴィニシウスが、この「詞」を「詩」から生まれさせたプロセスをたどってゆく。
公開研究会
主催 研究会チーム「比較神話学研究」・「アーサー王物語研究」
日時 2013年10月30日(水) 14:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室3
講 師 Shchepetunina Marina(シピトゥーニナ・マリーナ)氏(大阪大学全学教育推進機構非常勤講師)
テーマ 「空(くう)」(Emptiness)をめぐる神話的・宗教的・民族言語学的考察  「世界観を形成する「空」という概念をめぐってー神話的な意味から宗教的な理解へ」 
要旨 西洋・東洋という2つの文化圏を分ける大きな要因のひとつに、「空」の概念、あるいはスペース感があげられる。本報告では、この概念を古代神道のテキストとして残る『古事記』・『日本書紀』において見ていく。記紀神話の思想的背景にある宗教、とくに仏教や神道的背景と「空」(sunyata)の概念を受け入れる思想の流れを考察し、記紀神話に見られる「空」という単語の用法と意義を考察する。
講 師 豊田 純一氏 (国際基督教大学アーツ・サイエンス学部言語科学科客員上級准教授)
テーマ 「空(くう)」(Emptiness)をめぐる神話的・宗教的・民族言語学的考察  「「空」の概念と文法-未来形を民族言語学的視点から」
要旨 言語と文化の関係は古くから論じられ、言語相対性仮説などにおいては、語彙におけるこの関係がかなり強く論じられている。本報告では、言語と文化の関連性を、語彙ではなく文法構造の中に探りたい。ここで取り上げるのは世界の言語の時制、特に未来形で、これを死や死後の世界という各地域の宗教観がいかに未来形の構成に影響を及ぼすのかを考察する。
公開講演会
企 画 研究会チーム「ユーラシア・アフリカ大陸における都市と宗教の比較史的研究」
日時 2013年10月27日(日) 14:00~~18:00
場所 駿河台記念館570号室
講演者 雷 聞 氏(中国社会科学院歴史研究所・研究員(教授)  
テーマ 「宮廷と山林のあいだ-中晩唐道教史上の劉玄靖」    
要旨 雷聞氏(1972年陝西旬陽生まれ。北京大学博士)は、主著『郊廟之外-隋唐国家祭祀与宗教-』(2009年)によって、中国社会科学院の胡縄青年学術奨を獲得した現在の中国隋唐社会史研究を先導する研究者の一人である。本講演では、9世紀における南岳天台派の著名な道士・劉玄靖の思想と事跡をてがかりに、会昌の廃仏をめぐる唐代の道教と仏教の関連、道教と国家との関連について新たな分析を加え、唐代道教の実態に迫る。
講演者 拜 根興 氏(陜西師範大学・教授)
テーマ 「入唐高麗移民墓誌との史料価値」
要旨 拜根興氏(1964年陝西省生まれ。韓国慶北大学博士)は、主著『七世紀中葉唐与新羅関係研究』(2003年、2008年重印)、『唐朝与新羅関係史』(2009年)、『唐代高麗百済移民研究』(2012)等で知られる、現在の東アジア交流史を牽引する研究者の一人である。本講演では、西安や洛陽等で出土した21方の高句麗遺民の墓誌の解読をふまえ、7~8世紀の東アジア外交史を再構築する。
公開研究会
共 催 人文科学研究所研会究チーム「イスラーム地域における聖地巡礼・参詣」
後 援 NIHU「イスラーム地域研究」東京大学拠点、NIHU「現代中国地域研究」早稲田大学拠点、中国ムスリム研究会、日本中央アジア学会
日時 2013年10月26日(土)15:00~19:00
場所 駿河台記念館510号室
講 師 張 承志氏(北京作家協会・副主席)
テーマ 「紅衛兵からパレスティナへ-中国・東アジア発、ムスリム作家の視点-」
公開講演会
企 画 共同研究会チーム「ルソー研究」
日時 2013年10月24日(木)14:40~16:40
場所 2号館4F 研究所会議室1
講演者 ブリューノ・ヴィアール 氏(エクス・マルセイユ大学教授)
テーマ 「精神分析者ルソー」 
要旨 17世紀のジャンセニストの後継者であるルソーは、原罪を破棄し、人間の行動の中心に自尊心(他者の視線を気にかけること)を置いたという意味で言葉のできる以前の精神分析者であった。だからルソーは完璧な人間学をうちたてた。
公開研究会
主催 共同研究会チーム「世界史における「政治的なもの」」
日時 2013年10月23日(火)15:00~17:30
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 趙 立新 氏(国立暨南国際大学助理教授)
テーマ 「皇弟皇子府」と南朝の宗室政治」
要旨 南朝期(5~6世紀)は、東晋以来の門閥貴族の支配に対して皇帝権が復興してくる時代にあたる。この時期にしばしばみられたのが、宗室が軍府を媒介として「皇弟皇子府」を形成し、地方を掌握するという現象であり、こうした動きによって生じた新しい権力構造は、官僚体制のみならず、社会・文化に対しても重大な影響を与えた。本講演では、この「皇弟皇子府」の形成過程に対して分析を試みる。 
公開研究会
主催 共同研究会チーム「ルソー研究」
日時 2013年10月15日(火)15:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 増田 一夫 氏(東京大学教授)
テーマ 「アーレントによるルソー批判」 
要旨 アーレントによるルソー批判――全体主義の批判で知られるハン ナ・アーレントは、『革命について』において、フランス革命とルソーを厳しく批判する。一般意志、人権、同情などの主要概念はすべて政治的な価値ではないという。なぜなのか。『人間のの条件』に読まれるアーレントの人間学を通じて、その問いを考えてみたい。 
公開研究会
主催 研究会チーム「暴力と文学的想像力」
日時 013年10月15日(火)18:15~19:45
場所 2号館4F 研究所会議室4
講 師 千石 英世 氏(立教大学教授 ) 
テーマ 「文学は暴力に抵抗できるか?」
要旨 戦争、紛争、奴隷制度、人種差別、植民地略奪、虐殺、テロなどの暴力は、忘れ去ることを望む体制側の企みによって、過去の集団の「歴史」として葬られていく。文学は、それらの暴力の犠牲となった人びとを集団の歴史から「個」としての人間性を奪還する試みである。このような意識にもとづいて、アメリカ奴隷制から、メルヴィル、フォークナー、モリスンなどのテキストをとりあつかいます。
今回の研究会は、藤平研究員との対談のかたちでおこないます
公開研究会
主催 共同研究会チーム「世界史における「政治的なもの」」
日時 2013年10月13日(火)15:00~17:30
場所 法政大学市ヶ谷キャンパス80年館 7階 会議室「丸」
講 師 趙 立新  氏(国立暨南国際大学助理教授)
テーマ 「台湾におけるヴェーバー研究の概況」
要旨 近年の台湾の学界におけるヴェーバー研究の軌跡をたどりつつ、その意義・影響について分析を試みる。とくに、1980年代以降の「韋伯熱(ヴェーバー・ブーム)」の回顧や、ヴェーバー研究と台湾現代思潮との関連を明らかにすることに力点をおく。日本のヴェーバー研究者の関心に応えるべく、単なる動向の分析にとどまらず、個別具体的な研究者・論文についても紹介する予定である。 
公開講演会
企 画 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2013年10月11日(金)18:30~20:30
場所 日仏会館
講演者 ジュスティーヌ・ラクロワ 氏 (ブリュッセル自由大学教授)
テーマ 「La citoyenneté européenne face à la crise」(危機に直面するヨーロッパ市民権)
要旨 ハンナ・アーレントの有名な1951年の著作(『全体主義の起源2帝国主義』)に依拠して、本講演は「権利をもつ権利」と定義される市民権をヨーロッパの場合に即して考察する。なぜなら、欧州市民権の原理は新しいフェデラルレベルの市民権の構築にあるのではなく、個々の加盟国のナショナル市民権を互いに他に開放することにあるからだ。この意味で、欧州市民権とは「権利をもつ権利」を欧州連合の全加盟国に拡大することを意味する。EUがかかる権利の脱ナショナル化の論理を積極的に推進していたならば、EUは基本権行使の条件とされてきたナショナル・アイデンティティの境界を突き崩す空間として立ち現れることもできただろう。
ここで条件法を使ったのは二つの理由による。第一の理由は、新しいものではなく、ヨーロッパは国籍上の帰属と権利の承認を切り離す試みの実験室たろうとする野心を掲げてきたし、一定の成果をあげてきたが、移民・庇護政策に関しては制限的な方針を採ってきたことである。第二の理由は、より最近のもので、国境を超えた世界市民的市民権が後退の危険にさらされていることである。獲得された世界市民的市民権はまだ脆弱なものだが、その成果が倒錯的なかたちで悪用されているとは言わないが、後退の危険にさらされているのである。ヨーロッパの諸国民が、相互承認から相互不信に傾き、人の移動が社会的国家の獲得物に寄生する危険が、こんにちわれわれの目の前にある。
公開研究会
主催 研究会チーム「批判的比較文化研究」
日時 2013年10月5日(土)16:30~18:00
場所 恵比寿日仏会館ホール
講 師 ベアトリス・ジャリュゾ 氏 (リヨン政治学院 准教授) 
テーマ 「富井政章と杉山直治郎-日仏会館創設における法学者の役割」 
講 師 アルノ・ナンタ 氏 (日仏会館研究員)
テーマ 「ジャン・レイ-両大戦間の日本の対外政策に対する-フランス人の視点」 
講 師 北村 一郎 氏 (東京大学名誉教授)
テーマ 「コメント:第一次大戦後の日仏接近における法学者の役割」
要旨 第一次大戦後フランスは、五大国の仲間入りした日本に注目し、敗戦国ドイツに代わって日本との関係を強めようとした。1924年の日仏会館設立はそのあらわれである。
明治期のボアソナード以来のフランス法の影響は存続し、法学分野での交流は第一次大戦後むしろ強まった。本研究会では両大戦間の日仏双方の法学者の仕事を振り返る。
公開研究会
主催 研究会チーム「アーサー王物語研究」
日時 2013年10月4日(金)15:30~17:30
場所 2号館4F 研究所会議室3
講 師 平島 直一郎 氏(西南学院大学 非常勤講師)
テーマ 「アイルランド語のアーサー王文学を読む」
要旨 アイルランド語で残るアーサー王関連の物語から、”Eachtra an Mhadra Mhail”『マドラ・ムイルの冒険』と”Eachtra Mhacaoimh an Iolair”『マックィヴ・アン・イラルの冒険』の二つの物語を紹介する。前者は15世紀にアイルランドで成立したとされる物語であり、サー・ガウェインに関連し、エジプトやギリシャなど様々な国が言及される冒険譚である。後者はフランス文学からの翻案ものとされる物語である。
公開研究会
主催 研究チーム「視覚と認知の発達」
日時 2013年10月4日(金)16:00~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 宇野 彰 氏(筑波大学教授)
テーマ 「日本語文字習得に必要な認知能力‐典型発達児童と発達性読み書き(発達性ディスレクシア)児童を対象として‐」
要旨 典型発達児童約1000名と発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)児童約50名を対象に、ひらがな、カタカナ、漢字習得に必要な認知能力に関して調査した結果を述べる。ひらがな・カタカナの習得には音韻認識能力が重要な要因であると報告されてきたが、ほかの能力も重要であることがわかってきた。また、ひらがな・カタカナ、漢字音読、漢字書字の表記の違い、言語様式の違いによってもかかわる認知能力の貢献度が異なっていた。一方、発達性読み書き障害児の多くは音韻認識能力障害と視覚認知障害の双方が併存していた。発達性読み書き障害が音韻障害単独、視覚認知障害単独で生じていると思われた児童は数名ずつ存在した。以上の結果から、日本語の文字習得に必要と考えられる認知能力に関してお話しする予定である。
公開研究会
主催 研究チーム「言語の理解と産出」
日時 2013年10月3日(木)16:30~18:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 石澤 徹 氏(山口福祉大学 講師)
テーマ 「英語を母語とする日本語学習者の特殊モーラ知覚―促音の誤聴に着目して―」
要旨 本発表では、第二言語として日本語を学ぶ英語母語話者が特殊モーラをどのように知覚しているかについて、アクセント核および重音節の位置の影響という観点から検討する。特に促音では誤聴の傾向を分析することで学習者の促音知覚の実態を示すとともに、母語の影響および第二言語独自の発達の可能性について議論したい。
公開研究会
主催 共同研究チーム「世界史における「政治的なもの」」
日時 2013年9月19日(土)14:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 魏斌(ぎ・ひん)氏 (武漢大学歴史学院教授)
テーマ 「古人堤簡牘と後漢の武陵蛮」
要旨 魏斌氏は、前近代中国南部の文化・社会について精力的に研究を進めている気鋭の学者である。今回の研究会では、従来注目されてこなかった後漢時代の出土史料・古人堤漢簡を用いつつ、謎に包まれている武陵蛮(現在の湖北省から湖南省にまたがる地域に居住していた人的集団)をめぐる諸問題の解明を試みる。 
シンポジウム
主催 研究チーム「モダニズム研究」・岩手大学・ボルドー第三大学
日時 2013年9月7日(土)・9月8日(日) 9:00~19:00
場所 駿河台記念館320号室
講演者 エリック・ブノフ教授他多数(ボルドー第三大学他)
テーマ 「定型詩の継承と逸脱」
要旨 本シンポジウムでは、定型詩の規範とそれからの開放という緊張において、詩の形式がいかなる様態で用いられるかについて検証する。その対象は主にフランスを中心とする西洋詩から、日本の詩(俳句の進化、定型詩から自由詩への変遷)まで幅広い。またたとえば、日本の詩におけるソネット形式の採用、あるいはフランス詩における「俳句」形式の採用など、日本の詩とフランスの詩とが交錯する現場にも踏み込むことになる。
公開研究会
主催 研究チーム「性と文化」
日時 2013年9月4日(水)16:00~19:00
場所 駿河台記念館660号室
報告者 森岡 実穂 研究員
テーマ  「『サロメ』とホモソーシャルな絆」
要旨 聖書、フローベール他→ワイルド→ラッハマン&シュトラウス→コンヴィチュニー演出という『サロメ』変遷におけるホモソーシャルな絆への批評性の話をする。男性中心的な社会で「王」というマッチョな権力の極みに置かれたヘロデという男、彼もまた性別二分にもとづいた強烈な性役割分業意識のもとで社会に追い詰められた存在であること、このシステムはど(ちら)の性にとっても暴力的なものであること。これらを諸テクストの間に読み込んでいく予定である.(参加者はオスカー・ワイルド『サロメ』(平野啓一郎訳、光文社古典新訳文庫)を事前に読んでから参加してください。)
公開研究会
主催 研究チーム「アーサー王物語研究]
日時 2013年8月2日(金)16:00~
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 Philippe Walter(フィリップ・ヴァルテール)氏(グルノーブル大学名誉教授)
テーマ 「民話、伝説、神話-神話批評のための3つのキーワードをめぐって」
要旨 本講演の眼目は、人間の想像世界が生み出した「神話」「民話」「伝説」という3つの概念(アンドレ・ヨレスに倣って言えば3つの「単純形式」)を相互に比較検討しながら定義するところにある。この3つの概念が、すべての時代やすべての文明に文化の上で共通する一般概念のうちに数えられるかどうかと問うこともできるだろう。それぞれの概念を表すフランス語のうち、古代ギリシア起源である「神話」(mythe)を別にすれば、「民話」(conte)と「伝説」(légende)という言葉は、中世まで遡ることができる。そのため3つの概念の初出を確認してみたい。「民話」が初めて書き留められ、「伝説」が登場するようになるのは中世期のことである。こうした口承から書承への移行は、3つの物語形式の性質そのものを変化させ、時代とともにそれぞれの本来の姿を分かりにくくしてしまった。近現代の民俗学者たちが行った民族学的な調査や類型学的研究(アールネとトンプソンによる民話の型目録)は今日、3つの概念に備わる深遠な性質や、それぞれが古い神話構造に根差していることを再検討するのに貢献してきた。
公開講演会
企 画 研究チーム「視覚と認知の発達」
日時 2013年8月2日(金)16:00~
場所 3号館9F 3913号室
講演者 Chang Hong Liu(チャン ホン リュウ) 氏(ボーンマス大学教授)
テーマ 「Face and Culture: Self Construals Modulate Face Perception」
要旨 known to capture greater attention relative to other familiar faces such as the face of a good friend. Although the adaptive value of self-importance in self-construals undoubtedly steps from a universal law of nature, a close scrutiny of this also reveals how self-construals are at least in part shaped by culture. This talk highlights how the way we see our own face relative to others is profoundly rooted in our cultural value system and how this culturally defined mode of self-face perception can be both stable and malleable over time. Event-related potentials (ERPs) from British and Chinese participants were recorded while they performed a simple perceptual judgment task of their own face or a familiar face. A clear cultural difference was observed in both their behavioural and ERP data. A follow-up study of these cultural groups also demonstrated malleability of their default processing mode after a simple self-construal priming procedure was given prior to the face perception task, where the priming procedure encouraged participants to see themselves either in the light of their own default cultural value or in a different cultural value.
公開研究会
主催 研究チーム「近代中国の思想と社会」
日時 2013年7月31日(水)11:00~12:30
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 欧陽 哲生 氏(北京大学教授)
テーマ 「胡適在現代中国」
要旨 講師として今回お招きする欧陽哲生教授は、中国の学界を代表する近代思想史研究者であり、著名な自由主義者であった胡適の思想が現代中国において持つ意味を検討する。
公開研究会
主催 研究チーム「歴史の中の「個」と「共同体」-社会史をこえて」
日時 2013年7月5日(金)17:00~18:30
場所 2号館4F 研究所会議室1
報告者 渡井 葉子客員研究員
テーマ 「新バビロニア時代の都市における住環境」
要旨 紀元前1千年紀バビロニア(新バビロニア時代)の家に関しては、考古学の分野ではいくつかの重要な研究がみられるが、文献資料に基づいた体系的な研究は今までのところなされていない。本発表では、紀元前1千年紀バビロニアの家に関する経済文書、つまり家の売買・賃貸・交換・家族間での分割相続文書等に基づき、考古学資料とも比較しつつ、当該時代の家がどのようなものであったのか、多角的に考察してみたい。
公開研究会
主催 研究会チーム「西洋合理主義にかんする比較思想的研究」・「ルソー研究」
日時 2013年7月4日(木)14:30~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 山田 雅大 氏(クレアモント大学院大学准教授)
テーマ 「自由主義・市場原理・価値観」 
要旨 分析哲学・政治哲学の立場から、自由・経済・価値について論じる
公開講演会
企 画 研究会チーム「英雄詩とは何か」
日時 2013年6月24日(月)13:00~
場所 2号館4F 研究所会議室2
講演者 フランシス・ジョアンネス氏(パリ第1大学教授)    
テーマ 紀元前一千年紀バビロニアにおける神殿で働く女性達 
要旨 紀元前1千年紀のメソポタミアの神殿には、高位の女性祭司といった上層階級の女性だけでなく、法的には自由身分であるが生計を立てるために神殿に従属し、夫や家族と共に神殿の農地で働く女性たちや、神に献身し従属するものとされる「修道女」širkatuと呼ばれる奴隷(相当)身分の女性たちがいた。後者の中には、子持ちではあっても夫がいない女性達のグループもあった。社会的に低い地位の女性達がなぜ、どのように都市神殿のような公的機関によって扶養され、神殿の生産システムにおいてどのような役割を果たしたのかを明らかにする。(講演言語:英語)    
講演者 松島 英子 氏(法政大学教授)
テーマ メソポタミア社会における女性の役割の一側面:主人公の傍らの女性 
要旨 古代メソポタミアが男性中心社会であったことは間違いなかろう。しかし神々の社会であるパンテオン、宗教儀式、神話の一説などに、ときおりヒーローや権力者に対し、助言やとりなしをする女神・女性の姿が見られる。これらの例は、実社会における女性の役割をある程度反映しているのではなかろうか。実例を検討しつつ考察してみたい。
公開講演会
企 画 研究チーム「近代中国の思想と社会」
日時 2013年6月12日(水)16:40~
場所 2号館4F 研究所会議室2
講演者 茅 海健氏(華東師範大学教授)
テーマ 「戊戌変法期間張之洞集団与康有為-派的関係」
要旨 戊戌変法期に清朝には改革を主張する二派、すなわち急進的な康有為派とやや穏健な張之洞派とがあった。そのため張之洞は「勧学篇」を著し、自身と康有為派との相違を示し、また康有為・梁啓超派と青年層を争奪すべく、『正学報』の刊行を準備した。中国社会科学院近代史研究所の図書館には、大量の「張之洞文書」が収蔵されており、その中の多くの文書は、張之洞集団と康有為派との分岐や暗闘を物語るものである。今回の講演においては、張之洞集団と康有為派との分岐の概要を紹介するとともに、「張之洞文書」に収蔵されている、張之洞の息子の張権が父に当てた密書を重点的に紹介する。この書簡は、戊戌変法の最も重要な時期の北京における康有為派の行動と、それに対する張之洞集団の反応を物語るものである。
公開研究会
主催 研究チーム「档案の世界」
日時 2013年6月5日(水)15:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 佐藤 文俊 氏(元筑波大学教授)
テーマ 「李自成の乱関係の史蹟探訪-プライベート調査旅行」
要旨 およそ270年の間中国を統治した明王朝は1644年に瓦解した。直接的にはそれは李自成の乱が引き金となった。国や県の保護対象以外の李自成関係遺跡は、ここ10数年の経済開発で多くが危機に瀕している。私は2011年から12年にかけて李自成遺跡を三次に分けて探索・探訪した。その地域は陝西省北部(西安―延安―米脂―府谷―楡林)、河南・湖北(西安―洛陽―南陽―襄陽)、北京に及ぶ。不十分ではあるが、その探訪結果を報告させていただくことにしたい。
公開研究会
主催 研究チーム「アーサー王物語研究」
日時 2013年6月1日(土)14:00~15:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 篠田 知和基 氏(広島市立大学国際学部元教授)
テーマ 「世界神話の可能性」
要旨 出雲神話、日向神話などのような地域神話を中央政権が統一神話にまとめあげたものが日本神話であり、エジプト神話もヘリオポリス、ヘルモポリス、テーベ、メンフィスなどの地方神話、あるいは上下二王国の神話の統一であるとすると、はたして<世界神話>というものが可能なのか、それはアレクサンドロス帝国やローマ帝国の版図内での仮説なのか、アメリカ先住民の世界やアフリカなどの神話を視野にふくめて考える
公開研究会
企 画 研究チーム「批判的比較文化研究」
日時 2013年5月29日(水)15:00~16:30
場所 2号館4F 研究所会議室1
講 師 樋口 陽一 氏(東京大学名誉教授)
テーマ 西欧近代立憲主義と非西欧世界-三人の日本知識人に即して」
要旨 西欧近代で生れた立憲主義が、文化的土壌の異なる日本にどのように移植されたかを、明治期の中江兆民と戦後期の丸山眞男・加藤周一に即して検証する。 
 
公開研究会
主催 研究チーム「アーサー王物語研究」
日時 2013年5月25日(土)14:00~17:00
場所 2号館4F 研究所会議室2
報告者 小宮 真樹子客員研究員 
テーマ 「乳兄弟と師弟愛:Le Morte Darthurにおけるケイの描写」 
要旨 ①アーサー王伝説に登場する円卓の騎士ケイは、現在では「意地悪な家令」というイメージが定着している。しかし、ケルトの伝承では勇敢なる戦士であった。本発表はケイという人物の変遷を、さまざまな作品を通じて考察する。
報告者 小路 邦子客員研究員
テーマ 「スコットランドにおけるモードレット像」
要旨
ジェフリー・オブ・モンマス以来、伝統的にモードレッドはアーサーの王位と王妃を簒奪しようとした悪者とされている。しかしながら、スコットランドにおいては状況が異なる。ユーサーの「庶子」であるアーサーこそが王位の簒奪者であり、ブリテン王の正当な後継者はモードレッドと考えられて来た。このことは、イングランドによるスコットランド支配への抵抗と表裏一体のものとして、数々のスコットランド年代記に記されて来た。その状況について概観する。
公開研究会
主催 研究チーム「イギリス小説、その伝統と革新」
日時 2013年4月20日(土)13:00~
場所 2号館4F 研究所会議室2
講 師 Dr. Stefano Evangelista(University of Oxford)
テーマ Journeys of the Self in Virginia Woolf's To the Lighthouse
要旨 To the Lighthouse (1927) is a pioneering modernist novel in which Virginia Woolf experiments with an impressionistic style that captures the subjective nature of reality by means of narrative fragmentation and an intensely lyrical prose. Set on the island of Skye, off the Scottish coast, in the years around the First World War, the novel weaves together private and public history. It is an autobiographical meditation in which Woolf looks back on her childhood and reflects on her ongoing anxieties as writer; but it is also an analysis of the effects of the war on British society and, more broadly, of how historical change affects families and communities.
公開講演会
企 画 研究チーム「批判的比較文化研究」
日時 2013年4月13日(土)14:30~16:30
場所 2号館4F 研究所会議室2
講演者 ヴィヴィオルカ,オリヴィ 氏  (カシャン高等師範学校歴史学教授)
テーマ ヴィシー政府はフランス式 全体主義か?
要旨 講師はフランスの第二次世界大戦とくにレジスタンス研究の第一者です。「ドイツ占領下ヴィシー政府の歴史について話していただく。