人文科学研究所
活動内容・研究目的
共同研究チーム
No.123
世界史における「政治的なもの」
民族や国家の正統性のためにする歴史叙述のありかたが問い直されるようになって久しい。社会史や経済史、ネットワーク論にとびつけばすむ時代も終わった。いま求められているのは、歴史を構造化することではなく、歴史を動かしてきた人間どうしの生々しい葛藤――カール・シュミットの『政治的なものの概念』によれば「友」と「敵」の対立――をそれとして捉えなおし、その現代社会に落としている影を意識化することである。本チームは、現代社会・現代政治について鋭い考察を加えている気鋭の学者たちを迎え、彼らとの対話の中から、世界史上の「葛藤」の姿を剔抉することを目的とする。
研究会チーム
No.126
英文学と映画
本研究は、英文学の作品を原作とした映画を具体的かつ理論的に論じるアダプテーション研究である。映画と原作との異同、それにかんする解釈(どうして異同が生じたのか、それが映画にどのような新しい意味をあたえているか)を個々の作品について論じるとともに、映画にとっての原作へのフィデリティの問題を理論的に研究する。
No.137
芸術と批評
文学・映像・舞台芸術などさまざまな分野、またさまざまな国の言語・文化の研究者が集い、芸術作品についていろいろな意味で横断的な研究を深めていくことを目的とする。また、その過程をできる限り公開して、研究会以外の聴衆にもその成果を積極的に伝え、現代における教養の存在意義を訴えていきたい。
No.139
近代英文学の基盤
十年以上にわたる「十七世紀の英詩とその伝統」研究チームの活動において、それ以後の詩をはじめとするさまざまな文学作品の先駆けともなり下地構造ともなった十七世紀英国の諸作品について研究を行った。その過程で得られた研究成果を生かし、それらの対象の背景をなす文化・思想・歴史も視野に入れつつ、他方「その伝統」面にも注力して研究の敬継承的な展開と深化を目指したい。具体的には十七世紀から二十世紀初めまでのいわゆる近代英国の、詩、演劇、小説、批評その他諸ジャンルの言説について、それらを生成した基盤を問う問題意識を持って、個々の作品分析を通しての探求・考察を行いたい。
No.142
惑星的視点とアメリカ文学研究の可能性
近年地球的規模に研究手法が拡大してきたアメリカ文学研究の可能性を批判的に考察する。19世紀以降世界的覇権へと国家が変容していくなかで、その射程を拡大していったアメリカ文学を、どのように再解釈すべきか。トランスパシフィック・トランスアトランティック、半球的思考、南北アメリカといった研究フィールドの広がりを、批判的に検討する。
No.145
言語知識の獲得と使用
日本語や英語を含む言語を対象に、母語話者のもつ言語知識(語形態、統語、音声、意味)の獲得と使用、また第二言語および継承語としての獲得と使用について、理論的および実証的な研究を行い、相違点や類似点を見出すことを目的とする。
No.146
南北アメリカの歴史、社会、文化
本研究チームは、グローバル化の中でますます変容する世界において、南北アメリカ諸国の政治、経済、社会、文化、国際関係がどのように変化しているかを読み解き、その歴史を分析することを目的とする。
No.147
18・19世紀英国の女性詩人
20世紀後半のフェミニズム批評の隆盛によって、それまで歴史の中に埋もれていた多くの優れた女性詩人が再発見され、その後も彼女たちの作品の文学的価値やその歴史的・社会的文脈における意義などが研究されてきた。しかし研究の歴史はまだ浅く、彼女たちの作品の価値や意義が十分解明されているとは言い難い。本研究チームでは、とりわけ多くの優れた女性詩人を輩出した18世紀および19世紀の英国に焦点を当て、その時代の女性詩人の作品をより深く理解するとともに、作品の歴史的・社会的意義を解明し、新しいキャノンの構築を試みることを目指す。
No.148
子どもから成人までの包括的メンタルヘルスに関する臨床心理学的研究
わが国では近年さまざまな世代でメンタルヘルスの問題が複雑化し、多くは未解決である。子どもにおいては不安、抑うつ、トラウマなどの影響が顕在化し、さらに成人以降においてはパーソナリティの病理やアディクションなどが加わり、この多くは困難な課題である。本研究の目的はさまざまな世代の多様なメンタルヘルスの諸課題を実証的に取り上げ、臨床心理学的な解決を模索・検討することである。
No.149
リアリティの哲学
デジタルICTをはじめとするテクノロジーの発展が現実と虚構、自然と人工、人間と機械の境界線を曖昧にしつつある。本研究は、現在起こっているこの変化の本質を「リアリティ」という鍵概念を軸に明らかにし、この変化が私たち人間の世界観や在り方にどのような影響を与えるのかを哲学的に考察する。
No.151
短編小説の宇宙
短編小説の多様で豊饒な宇宙を探索し、作品を歴史的かつ理論的な視点から分析する。研究対象は主として英語で書かれた作品となるが、ときには翻訳を通して非英語圏の短編小説も読み、英語圏の作品との比較対照を試みたい。短編小説は英語の授業で使われることも多いので、授業でのその効果的な使用法について研究することも考えている。
No.152
高次脳機能の総合的理解
近年、心理学的アプローチは拡大し、従来の実験心理学的手法や神経心理学的手法に加えて、脳機能イメージングによる手法が台頭してきた。研究チームでは、これらのアプローチについて相互の立場から論議し、これらを統合・発展させ、高次脳機能を理解する新たな可能性について探求する。
No.153
多言語話者の言語知識
多言語話者の言語知識について、音・形態・統語・意味・語用などの言語面のみならず、その心理的基盤、社会的・文化的背景、使用者のアイデンティティー等の視点から、習得・喪失・教育的側面などについて、学際的な研究を行う。
No.154
現代アメリカの言語と文化
20世紀以降の世界において大きな影響を与え続けているアメリカ合衆国を、政治・経済のみならず、言語・文化といった「ソフトパワー」の観点から重層的に考究したい。文学作品のみならず、絵画・映像芸術・教育といった様々な要素の探求が、現代アメリカを理解する上で重要であるという基本認識で研究会を運営していきたいと思う
No.155
中国文化研究の新展開
多様化する中国の文化状況を的確に分析するため、ベテランから若手まで幅広い人材を集め、語学・文学・芸術など諸領域を横断した学際的な研究を展開していく。
No.157
第2言語情報処理過程のより正確な測定
本研究チームの目的は、第2言語における言語情報のより正確な測定に必要な議題を整理し、実証研究を行うことである。言語情報は脳内で処理されるため直接観測することが難しく、観測するにはタスク(設問・課題)を与え、学習者が従事している言語情報処理過程を可能な限り明示化する必要がある。ただし、どのようなタスクを使うかによって、その後の言語情報処理過程は異なると考えられる。本研究ではタスクの違いなどに焦点化し、言語情報処理過程との関係を解明する。研究の結果、タスクの違いを考慮し、言語情報のより正確な測定に貢献できる。研究の知見を活かし、より効果的な指導、教材開発、テスト開発にもつなげる。
No.158
スペイン語圏の歴史と文化
16世紀におけるグローバリゼーション(世界の一体化)を牽引したのはスペインである。スペインはアメリカを発見・征服し、東アジアのフィリピンまでを支配下に収めた。こうして形成されたスペイン語圏の重要性は、イギリスやアメリカがグローバリゼーションを主導するようになって以降も薄れることはなく、現代においてはむしろ高まっているとさえ言える。本研究チームはこのスペイン語圏の歴史と文化について研究することを目的とする。
No.159
ジェンダー/セクシュアリティと表象文化
ジェンダー/セクシュアリティに関する理論の考察や、文学、映像、舞台芸術、美術などの作品分析を行い、性の表象と社会・文化のかかわりを探る。あわせて教育実践におけるジェンダー/セクシュアリティ表象の扱いについても検討を行う。
No.161
ベルリン反ユダヤ主義論争
「ベルリン反ユダヤ主義論争」とは、1879年から81年にかけて交わされたいわゆる「ユダヤ問題」をめぐる論争である。歴史家トライチュケの反ユダヤ主義論文をきっかけにして、多くの学者、知識人、政治家を巻き込んだ論争は、今日の移民・難民問題、排外主義の問題にもつながる重要性を持っている。本チームでは、日本において本格的な紹介のないその全体像を解明したい。
No.165
16世紀における「寛容」
西洋世界そして日本においても16世紀はその華やいだ外見(ルネサンス文化、南蛮文化)とは裏腹に、戦争や処刑(宗教戦争、異端者の処刑)の恐怖がたちこめる暗い側面を有した時代でもあった。この暗部に巣食う不寛容に対して「寛容」の精神はどのような形で現れ、何を成し遂げたのだろうか。西洋の文献を中心に16世紀研究を行うが、寛容の精神を忘れかねない21世紀にとっても重要な課題を提示することになるだろう。
No.166
日本語教育の再構築
在住外国人の増加、海外での日本語需要の高まりを受け、日本語教育は学際分野を包含させた領域として今日に至っている。だが一方で、日本語教育を社会的文脈で捉えること、学問的課題に応えようとする学としての位置づけは曖昧なままになっている現状がある。 そこで本チームでは、多文化共生やグローバル化に係る諸政策、教室内外の学習活動、教師の実践、留学生の生活世界等に着目する。それらを理論と実践の両面から調査、考察することで、単に「日本人が外国人に日本語を教える」という見方に留まらない、日本語教育の学問的可能性を再構築していく。
No.167
ピグマリオン神話の表象
ギリシャ神話に伝わるピグマリオン神話を基点に、バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』や、その他の多様な芸術形態の中で展開されていったピグマリオン神話の表象の様々なかたちを見ていくことで、神話のバリエーションの広がりと普遍性について考えていく。あわせて、ショーの戯曲に現れた、階級考察や社会主義、音声学、女権拡張論といった様々な付随する議論も本チームの考察の対象としている。神話の多くのバリエーションを見る中で、多分野の専門家の協力を仰ぎながら、学際的な広がりを持つ場となるよう努めている。
No.168
英国モダニズム文学・文化史研究
本研究は、「モダニズム」をキーワードとして、英国文学・文化史についての英米の最新研究を学ぶとともに、20世紀初頭以降に英国内で醸成された文学、ジャーナリズム、建築、写真、絵画等の表現様式について多角的に考察する。あわせて、諸外国から英国へ移住/亡命した知識人たちが、英国の文化表象に様々な影響と変化をもたらした過程についても分析する。
No.169
ストレス・マネジメント
本プロジェクトでは、ストレスに関する基礎研究、ストレス・マネジメントプログラムの開発、メンタルヘルス維持向上のための心理社会的要因の検討などを行ないます。
No.170
世界史の中のネットワークとアイデンティティ―転換期にのぞんで―
さまざまな面で転換期を迎えた現代にあって、議論が進んでいるアイデンティティやネットワークをはじめ多くのテーマを、世界史におけるさまざまな地域や時代について考察し、研究を深めることを目的とする。
No.171
外国語教育における複言語・複文化能力の育成と実践
本研究は外国語の運用能力を含むコミュニケーション力を身に付け、それを生かすことができる人材の育成をめざすために、必要となる複言語・複文化の概念、大学での教育のあり方について研究する。
No.172
認知心理学の応用
主に消費者行動を理解するための認知心理学的研究を展開し,実社会への応用を視野に入れた知見の蓄積を目指す。
No.173
言語発達障害児の語用能力の発達について
日本語を母語とする発達障害児と日本語を含む多言語を習得する児童を対象に、語用能力の発達状況を調査し、言語と語用能力の発達的関係を明らかにするとともに、効果的な指導法や介入を検討することにつなげることを目的とする。
No.174
シチズンサイエンス・シチズンプラクティスを基盤としたコミュニティエンパワーメント
シチズンサイエンスは、専門家でない一般の市民が専門家と協調して行う科学的活動である。また、シチズンプラクティスとは、市民がシチズンサイエンスで得た結果をもとに行う支援等の実践活動を指す。 本研究チームでは、一般の市民を第1層とし、保育士、看護師等の資格を所持しているものの、現在就業していない市民を第2層に潜在人材として位置づけ、さらに、大学・企業・行政に所属する専門家を第3層とした多層的ネットワークを構築する。
そして、新型コロナウイルス感染症の影響で深まった若者、養育者、高齢者の孤立・孤独と、それに伴って増悪する心の問題について、第3層の専門家が調査計画を立案し、第1層、第2層の市民が調査を実施するシチズンサイエンスを展開する。これにより、孤立・孤独が生じるメカニズムを明らかにする。
また、前述のシチズンサイエンスを通じて、若者、養育者、高齢者の孤立・孤独の実態について調査結果が得られたら、それをもとに孤立・孤独を低減・予防する介入方法を第3層の専門家が計画し、第1層、第2層の市民が孤独・孤立に悩む個人に対して介入するシチズンプラクティスを展開する。
No.175
妖精とは何か
中世フランス文学研究者ロランス・アルフ=ランクネール(Laurence Harf-Lancner)は、1984年に刊行した『中世の妖精』(Les Fées au Moyen Age)の中で、中世ヨーロッパの妖精物語を2つに分類するために、代表的な妖精としてモルガーヌ(Morgane)とメリュジーヌ(Mélusine)を取り上げた。アーサー王の異父姉妹にあたるモルガーヌは、人間男性を異界へ連れ去ろうとする妖精であり、フランスのリュジニャン(Lusignan)家の始祖妖精メリュジーヌは、夫が禁忌を破ると異類になり姿を消してしまう。本研究ではアルフ=ランクネールによる分類を参考にしながら、検討対象を中世ヨーロッパだけでなく古代から近現代まで拡大し、文学・歴史学・神話学・民族(俗)学・美術史などに基づく学際的な視点から妖精像の変容に照明をあてる。
No.176
リアルとイマジナリーな顔身体学
顔と身体の持つインタラクション性に着目し、アートやパフォーマンスの中の、多様な顔と身体のインタラクションを解明する。現代社会の中で痛みを伴った身体が、アートやパフォーマンスの中で昇華される過程を、イマジナリーとリアルな顔身体が情動に及ぼす働きとして痛みを処理する内受容感覚から解明する。
No.177
日中知的交流と近代の模索
19世紀から20世紀にかけて、日本と中国が近代化の道を模索する上で、互いに相手との関係が重要な思想的・政治的課題であった。すなわち、一方で日本においては脱亜論とアジア主義がともに重要な思潮となり、他方で中国にとっては日本がモデルとも脅威ともなり、それが留学や翻訳を通じた両国間の知的交流を促した。本研究は日本と中国がどのような「近代」を模索してきたのかを、両国の中間領域となった台湾や、また東アジアで重要な影響を持った欧米をも視野に入れつつ、多角的に検討する。
No.178
考古学からみた歴史、歴史学からみた考古
考古学と歴史学とは、人類社会のあゆみの歴史的復元を目指す共通の目標を持ちつつも、対象とする資史料や研究方法に大きな違いがある。歴史研究者と考古研究者が、真に共同して研究し、互いの可能性を拡げたい。そのために、歴史学・考古学それぞれの伝統的研究方法を深めると同時に、両分野のみならず自然科学的分析や人類学・民族学・民俗学との協同を積極的に進め、日本列島における人々の足跡を顕かとする文化史的再構成のための学際的研究フィールドを構築することを目的とする。
No.179
東アジア地域における自由主義の展開
近代の東アジアでは、欧米のリベラリズムの受容を一つの契機として、専制政治からの解放、徴兵制への抵抗、経済活動の広範囲な活性化、内面の不可侵などが人々によって主張され、各国の憲法規定にも盛り込まれてきた。しかし一方で、経済や軍事が国家で上位システムとして優先される場合に、市民的自由が抑圧されてきたのも歴史が示す通りである。21世紀の現在にあっても、世界では自由が基層的人権として定着していない国もあり、また東アジアの諸地域でも自由が後退してしまっている局面が見受けられる。
本研究では東アジア地域を対象にして、19世紀から現在に至る自由主義の展開を明らかにしていくことを課題にする。その際に、欧米リベラリズムの受容や反映の精度から東アジアの自由主義を論じるのではなく、19世紀以前の政治、経済、宗教などの伝統との関係も積極的に考察していきたい。
No.180
通信制教育研究会
近年、通信教育は、その存在感を増しており、特に通信制の高校・大学の生徒・学生数が急増している。このうち通信制の大学の近年の入学者には、若年者が増加しており、従来のような生涯学習といったものとは異なる役割が期待されるようになってきていると考えらえる。また、開設される通信制大学も、従来のものとは異なる性質をもつものが多い
そこで、本研究会では、通信制大学の学生に対して行った質問紙調査のデータを分析することや通信制大学の教職員や事務へのインタビューを行うことで、入学者の入学動機・大学適応・キャリア形成の実態を明らかにすることを目的とする。
No.181
言語と文化の多様性の追求
宗教やイデオロギーに加え、人種や性の多様化の受容と衝突が世界的に起こる中で、言語や文化の多様性をどのように捉え、どのように記述していくべきであるか、各研究員が専門とする言語や文化について、実証的に具体的用例や事例を明示しながら、共時的あるいは通時的に考察することを目的とする。本研究チームでは、従来の統語論、意味論、社会言語学、音声学などの言語研究、他の言語の伝統的な研究、英語や日本語に関する教育や言語習得に関する研究、外国語文化に関する研究も積極的に受け入れ、多様性を尊重した研究を行いたい。
No.182
大学における第2外国語としてのスペイン語教育・学習のアップデート
スペイン語は、世界の諸言語のなかでも話者人口及び学習者人口が多く、中南米への日本人移民の歴史とその子孫の存在により特別な位置を占める。この言語を、日本の大学でどのように教え学ぶのか、培った知識や経験は学習者の人生や社会にどう活かせるのか。現代の社会や個人の状況およびニーズに合った教育・学習の姿を模索する。
