企業研究所

2019年6月28日開催 公開研究会開催報告 (研究チーム:「社会経済制度の理論研究と実証分析」)

2019年06月28日

2019年6月28日(金) 公開研究会を開催しました。

【テーマ】Product innovation, product diversification and firm growth:Evidence from Japan’s                              early industrialization

【報告者】大山 睦 氏一橋大学イノベーション研究センター准教授)      

【日 時】 2019年6月28日(金)17:00~18:40

【場   所】 多摩キャンパス 2号館4階 研究所会議室1

【要 旨】

 

本研究では,日本の綿糸紡績業を対象に,製品のプロダクトイノベーションを通じた製品多様性 (product variety) が企業成長に与える影響を分析する.本研究では,1893-1914年に綿糸紡績業というように,歴史的なデータを分析に用いている.また,本稿の特徴として,「番手」(count) と呼ばれる綿糸の太さのデータによって綿糸紡績の技術の違いをとらえている.

モデルによる推定結果から,製品多様性の高い企業ほど成長が速いことが明らかとなった.また,機械や職人の存在が供給制約を軽減し,垂直的あるいは水平的な製品多様性の実現を可能にしていることも明らかになった.さらに,成長企業が長期的な相補性を追求していることを示した.こうした分析結果から,綿糸紡績業における企業規模の右側の分布(すなわち,規模を拡大した企業群)について,供給制約を克服して多角化を達成した企業と示唆される.