中央大学経済学部教授の佐藤拓也が、カナダ・ブロック大学のマリー・E・G・スミス名誉教授との長年にわたる国際的な研究交流の結実として、共編著(および訳)『21世紀資本主義の危機の構造:マルクスの価値理論と利潤率低下法則にもとづく研究』を桜井書店より刊行しました。本書は、現代の資本システムが直面する歴史的・構造的な危機の根源を、マルクス経済学の核心的な理論を用いて理論・実証の両面から解明しようとする意欲的な研究書です。
著者(佐藤教授)によるコメント
本書は、マルクス経済学の価値理論と利潤率低下法則に基づき、現代資本主義を分析した研究書です。編著者の1人である私は、2012年から2014年にかけて、当時マリー・E・G・スミス教授が所属していたカナダのブロック大学に在外研究で滞在していました。以来、長年にわたりスミス教授とは深い研究交流を続けてきました。2022年6月頃、この分野を研究する他の論者を含む計6名の論考を体系的にまとめ、日本語で出版しようという企画が立ち上がり、約4年の歳月を経てようやく刊行に至りました。
日本のマルクス経済学界では、利潤率低下法則に対して誤解を含むさまざまな批判もあり、これを実証分析のツールとする研究は決して多くないのが実情です。しかし本書は、この法則を軸に据えながら、マルクスの経済学体系に基づいて、現代資本主義の長期停滞から金融化、国際関係、環境問題、さらには社会主義への展望までを論じています。本書をきっかけに、現代資本主義論における新たな議論が展開される一助となれば幸いです。
目次
- まえがき(マリー E. G. スミス)
- 序 章(佐藤拓也)
- 第1部 マルクスの価値法則と利潤率低下
- 第1章 価値法則と21世紀資本主義の三重の危機
- 第2章 マルクスの価値・資本および利潤率低下の理論
- 第3章 現在の危機の長期的要因:ケインジアン、財政緊縮派、およびマルクスの利潤率法則
- 第4章 日本の長期停滞、マルクスの利潤率の傾向的低下法則、独占資本主義の理論
- 第2部 21世紀世界資本主義の価値増殖の危機
- 第5章 価値増殖の危機、金融化、グローバル恐慌への道
- 第6章 マルクスの利潤率低下法則:実証と論点
- 第7章 貨幣、価格、価値
- 第3部 エコロジー、帝国主義、社会主義
- 第8章 価値と自然
- 第9章 現代帝国主義の経済学
- 第10章 中国はどこへ行くのか?
- 第11章 価値論と社会主義建設
- 文献一覧
- 訳者あとがき(佐藤拓也)
詳しくは桜井書店のHPをご覧ください。
https://www.sakurai-shoten.com/content/books/131/bookdetail.html