本学理工学部電気電子情報通信工学科助教 李 恒らの研究原著論文が『Advanced Sensor Research』誌のCover Feature(カバーイラスト)に選定されました。
詳細は下記の通りです。
〇 論文内容
| 題 目: | Structural Stability-Driven Dynamic Range Analysis of Carbon Nanotube Photo-Thermoelectric Sensors |
| 著 者: | Hayato Hamashima, Norika Takahashi, Honghao Li, Ryoga Odawara, Asumi Sano, Naoko Hagiwara, Qi Zhang, Minami Yamamoto, Noa Izumi, Junyu Jin, Yukio Kawano, Kou Li |
| 掲載情報: | Advanced Sensor Research 5, 2, e00133, 2026. |
| 掲載日 (Back cover): |
2026年2月24日 Advanced Sensor Rsearch 5, 2, e70132, 2026. |
〇 『Advanced Sensor Research』誌・Cover Featureについて
『Advanced Sensor Research』は、Wiley社により刊行される査読付き国際学術誌・科学誌であり、センシングを基軸とする高品質なテクノロジー・サイエンス研究が収録されています。Cover Featureは同誌の中でも科学的・技術的な観点から特にスポットライトを浴びている論文が選定され,Volume毎に専用のイメージページが設けられます。
〇 コメント
この度の研究ハイライトに際し、身に余る光栄に存じます。「センシングを基軸とするテクノロジー・サイエンス」は、私の研究の根幹を成す領域であります。同分野ならびに本学の研究・教育発信に微力ではございますが引き続き貢献できますよう、上記ハイライトを励みに今後も誠心誠意取り組んでまいります。これまでに取り組んできた内容の成果、そして今後の発展性を高く評価していただいた形になりますが、私1人では決してこの様な栄誉にあずかることはありませんでした。特に本論文は本学・理工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 修士課程の濱島 隼人君、卒業生の李 泓豪君(研究当時:理工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 修士課程)、技術員の佐野 明日美様・出水 のあ様、そして元 技術員の高橋 典華様(研究当時:理工学部 電気電子情報通信工学科)らが中心となり、弛まぬ努力で結実させてくれた成果となります。河野 行雄先生(理工学部 電気電子情報通信工学科)や産業技術総合研究所・鈴木 大地博士をはじめとする長年にわたる共同研究者の皆様方、また電気電子情報通信工学科の先生方・スタッフ様をはじめ、日頃から校務にてご指導いただいております理工学部の皆様方に改めまして厚く御礼を申し上げます。そして、日々、失敗や困難が続いても粘り強く一生懸命に研究を支えてくださっている当グループの皆様方(学生さん、技術支援員様、事務支援員様)、最後に最大の支えである家族に心より深く感謝を申し上げます。

李助教らの論文によるCover Feature(Advanced Sensor Research誌)。DOI: 10.1002/adsr.70132より引用。
○ 研究ダイジェスト
本論文において李助教・濱島氏・佐野氏・出水氏・高橋氏・李氏らは、カーボンナノチューブ(CNT)光熱起電力(PTE)センサに対する光応答ダイナミックレンジを体系的にまとめました。PTE効果では室温での超広帯域なミリ波–赤外センサ検出という利点に加えて、超低ノイズな動作が強みとなります。光センサ感度は応答信号とノイズとの比となり、従来設計のPTEセンサでは低ノイズ化が主流となります。一方でCNT型PTEセンサのシートデバイスとしての操作性を検査現場においても発揮するためには、光応答の高強度化が必須となります。実験室内で活躍する有線データロガーではCNT型PTEセンサから微弱な光応答の読み出しも可能となる中、屋外でのオンサイト利用に向けたワイヤレスデータロガーでは二桁mV超の高強度センサ信号が不可欠です。光応答の増大にはレーザ照射強度を高めることが考えられますが、CNT型PTEセンサではダイナミックレンジ(高強度なレーザ照射に対して飽和せず適切に増大された信号を示すか?)が未解明なままでした。
そこで本研究チームは、CNT型PTEセンサへレーザ照射強度を幅広く変え、光応答ダイナミックレンジに対する支持基板からの影響を調べました。これにより、PIテープ基板の利用によるCNT型PTEセンサへの悪影響を発見しました。CNTは液体材料としてセルロースアセテート濾紙に形成され、耐熱ポリイミド(PI)テープによる所望箇所への転写も幅広く行われています。
具体的には、PIテープ表面の粘着層を担うメチル基・水酸基が、電子供与基としてCNT型PTEセンサ元来の受光界面であるpn接合へ不必要なn型ドーピングを施し、結果的には受光界面(pn接合)の消失に陥りました。一方で、非粘着性な濾紙基板上において、ゼーベック係数に秀でる半導体CNTによるPTEセンサを構成することで、PIテープ基板素子では10 mV弱に留まっていた光応答を最大112 mVという極めて高いレンジにまで底上げしています。また、これらの基礎科学を基に、本成果は半導体CNT型PTEセンサとワイヤレスデータロガーにより、高所環境におけるリモートIR非破壊検査へと展開しました。

李助教らの論文における研究ダイジェスト
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